【掲載日:平成25年4月9日】
伊勢の海人の 朝な夕なに 潜くといふ 鰒の貝の 片思にして
辛い苦しで 片恋云うは
長う思おが 深思おうが
投げた手玉は 受け手が無うて
坂を転げて 行き先知れん
相思はぬ 人のゆゑにか あらたまの 年の緒長く 我が恋ひ居らむ
《思うても くれへん人を 当てにして ここ何年も 焦がれてるんや》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五三四)
愛しきやし 逢はぬ君ゆゑ 徒に この川の瀬に 玉裳濡らしつ
《ぼぉおっと 川瀬行ってて 裳濡らした 逢うてもくれん あんた思てて》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七〇五)
青山の 岩垣沼の 水隠りに 恋ひやわたらむ 逢ふ縁をなみ
《澱み水 隠れて忍ぶ 焦がれ恋 続くんやろか 逢う伝手無しに》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七〇七)
かくしつつ 我が待つ験 あらぬかも 世の人皆の 常にあらなくに
《恋焦れして うち待つ甲斐は あるんかな 人の命は 儚い云うに》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五八五)
ねもころに 片思ひすれか このころの 我が心どの 生けるともなき
《片思いに 疲れ萎びて この頃は 生きた心地も 無い毎日や》【正述心緒】
―作者未詳―(巻十一・二五二五)
水くくる 玉に交れる 磯貝の 片恋のみに 年は経につつ
《うちの恋 磯貝みたい 片貝や 片思いままで 年過ぎてくで》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九六)
伊勢の海人の 朝な夕なに 潜くといふ 鰒の貝の 片思にして
《うちの恋 伊勢海人潜り 朝晩に 採る鮑やで 片思いなんや》【寄物陳思】
―作者未詳―(巻十一・二七九八)
――――――――――――――――――――
【古事記ものがたり】への誘い
古事記編纂1300年を期し 一大叙事詩を作ってみました
こちらを ご覧下さい。
【古事記ものがたり】へ
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます