【掲載日:平成24年6月5日】
巻向の 檜原もいまだ 雲居ねば 小松が末ゆ 沫雪流る
露草結び 霜降りたって
颪風吹き 時雨に暮れる
やがて秋行き 冬訪れて
雪舞う季節 霰も混じる
妻隠る 矢野の神山 露霜に にほひそめたり 散らまく惜しも
《神山は 露霜降りて 色付いた 散るん惜しいな そのまま居れよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二一七八)
(妻隠る=屋に隠る=屋(ヤ)→矢野)
朝露に にほひそめたる 秋山に 時雨な降りそ あり渡るがね
《朝露で 色付き出した 秋の山 このまま居れよ 時雨よ降るな》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二一七九)
一日には 千重しくしくに 我が恋ふる 妹があたりに 時雨降る見ゆ
《時置かず 頻り恋しゅう 思う時 あの児居る辺 時雨しとしと》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二二三四)
【泉川での歌】
妹が門 入り泉川の 常滑に み雪残れり いまだ冬かも
《泉川 滑らか岩に 薄っすらと 雪残ってる まだ冬なんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九五)
(家の門=出入りする→入り出ず→泉川)
我が袖に 霰た走る 巻き隠し 消たずてあらむ 妹が見むため
《降り掛る 霰を袖に 包み持ち 消さんとからに お前に見せよ》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二三一二)
あしひきの 山かも高き 巻向の 崖の小松に み雪降り来る
《あしひきの 巻向山が 高いんか 崖の小松に 雪降りかかる》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二三一三)
巻向の 檜原もいまだ 雲居ねば 小松が末ゆ 沫雪流る
《晴れとって 巻向檜原 雲無いに 松の小枝に 沫雪流れてる》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二三一四)
あしひきの 山道も知らず 白橿の 枝もとををに 雪の降れれば
《山道も 見えん様なった 白樫の 枝撓むほど 雪降ったんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二三一五)
――――――――――――――――――――
【新しい試みです】
「歌心関西訳」の作成過程をご覧ください。
これなら あなたも 訳せますよ。

※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます