【掲載日:平成24年6月22日】
百磯城の 大宮人の 罷り出て 遊ぶ今宵の 月の清けさ
巻七集う 歌の数 百が三つに 拾五つ
人麻呂歌集を 除いたら 三百弱の 二九五
含む種類は 三種類 雑歌比喩歌 挽の歌
雑歌多くて 二百弱 内羈旅歌が 八十六
先ずは雑歌の 登場で 自然風物 題材に
天体詠むは 月多い 景色愛でるは 山や川
日暮れ来たなら 真っ暗闇夜
月が出たなら 心は晴れる
月よ照れ照れ この地を覆え
西による月 留まれ暫し
ひさかたの 天照る月は 神代にか 出で反るらむ 年は経につつ
《あの月は 神代生まれて それ以来 出ては隠れて これまでずっと》
―作者未詳―(巻七・一〇八〇)
大夫の 弓末振り起し 狩高の 野辺さへ清く 照る月夜かも
《良え月や 高円野原 照らす月 いつもに増して 清らか見える》
―作者未詳―(巻七・一〇七〇)
明日の宵 照らむ月夜は 片寄りに 今宵に寄りて 夜長くあらなむ
《明日照る 分まで今夜 照ってんか 今日の良え月 長ご見たいんで》
―作者未詳―(巻七・一〇七二)
百磯城の 大宮人の 罷り出て 遊ぶ今宵の 月の清けさ
《宮仕え人 仕事済まして 遊んでる 今夜の月は 偉ろ澄んでるで》
―作者未詳―(巻七・一〇七六)
ぬばたまの 夜渡る月を おもしろみ 我が居る袖に 露ぞ置きにける
《月清よて ずっと見てたら わしの袖 夜露に濡れた 気ぃ付かん間に》
―作者未詳―(巻七・一〇八一)
水底の 玉さへ清に 見つべくも 照る月夜かも 夜の更けゆけば
《夜更けて 月益々に 冴えて来た 水底玉が 良う見えるほど》
―作者未詳―(巻七・一〇八二)
靫懸くる 伴の男広き 大伴に 国栄えむと 月は照るらし
《大伴が 治める御津の 難波の地 映え栄えやと 月照っとるで》
―作者未詳―(巻七・一〇八六)
常はさね 思はぬものを この月の 過ぎ隠らまく 惜しき宵かも
《いつもなら そは思わんに 今日の月 西隠れるん 偉ろ惜しいがな》
―作者未詳―(巻七・一〇六九)
ぬばたまの 夜渡る月を 留めむに 西の山辺に 関もあらぬかも
《空移る 月留めたいな 西空の 山の辺りに 関所が欲しで》
―作者未詳―(巻七・一〇七七)
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