【掲載日:平成24年4月6日】
春山の 友鴬の 泣き別れ 帰ります間も 思ほせ我れを
互いに問うが 相問で 消息聞くが 元の意味
遣り取り交わし 移り来て 恋歌同義 相問歌
春の相問 採り上げ題は
鳴く鶯に 咲き誇り花
春立つ霞 芽吹きの柳
浮き立つ春は 恋相応しい
春山の 友鴬の 泣き別れ 帰ります間も 思ほせ我れを
《泣く泣くに 別れて帰る 帰り道 道々思て このうちのこと》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九〇)
(春山の友鶯の→鶯鳴く→泣き)
冬こもり 春咲く花を 手折り持ち 千度の限り 恋ひ渡るかも
《待っとって 咲いた春花摘み 抱きしめて あんたずうっと 思てんねんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九一)
春山の 霧に惑へる 鴬も 我れにまさりて 物思はめやも
《春山の 霧に迷うた 鶯も わし程悩み 苦しみせんで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九二)
出でて見る 向ひの岡に本繁く 咲きたる花の 成らずは止まじ
《家の前 向いの丘で 咲く花は きっと実に成る うちの恋かて》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九三)
霞立つ 春の長日を 恋ひ暮らし 夜も更けゆくに 妹も逢はぬかも
《霞立つ 春の一日 恋い続け 夜更けんのに 逢われへんのか》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九四)
春されば まづ三枝の 幸くあらば 後にも逢はむ な恋ひそ我妹
《春に咲く 三枝みたい 生きてたら 逢うこと出来る 悩みなお前》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九五)
春されば しだり柳の とををにも 妹は心に 乗りにけるかも
《春来たら 柳葉枝垂れ 撓てくる あの児わし胸 撓いかかるで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・一八九六)
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