【掲載日:平成24年4月3日】
この川ゆ 船は行くべく ありといへど 渡り瀬ごとに 守る人のありて
【木に寄せて】
天雲の たなびく山の 隠りたる 我が下心 木の葉知るらむ
《雲靡き 山隠れてて 見えんけど わしの奥心は 木の葉知ってる》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇四)
見れど飽かぬ 人国山の 木の葉をし 我が心から 懐しみ思ふ
《気に入った 人国山の 木の葉っぱ 心底わしは 惚れ惚れしてる》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇五)
木の葉あの児や 可愛いあの児
繁る枝中 あの葉やあの児
【花に寄せて】
この山の 黄葉が下の 花を我れ はつはつに見て なほ恋ひにけり
《黄葉下 咲く花わしは ちらと見て そのまま恋に 落ちて仕舞たで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇六)
見掛け一目で 惚れたんやがな
逢いに行こ行こ 今晩にでも
【川に寄せて】
この川ゆ 船は行くべく ありといへど 渡り瀬ごとに 守る人のありて
《この川を 通ると船は 行き良いが どの渡場も 番人居るで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇七)
訪ね来てみた 家外立って
窺い見たら 警戒固い
【海に寄せて】
雲隠る 小島の神の 畏けば 目こそば隔て 心隔てや
《隠れてる 小島の神が 怖いんで 逢わんと居るが 心は違うで》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三一〇)
守る両親 怖ぁてならん
けどわしあの児 諦め切れん
大海を さもらふ港 事しあらば 何方ゆ君は 我を率凌がむ
《荒れる海 港無理出て もしもなら このうちちゃんと 守るかあんた》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇八)
親の反対 押切り誘て
強引連れ出して 責任取りや
風吹きて 海は荒るれど 明日と言はば 久しくあるべし 君がまにまに
《風吹いて 海荒れるから 止めるてか うち待たれへん どうかせんかい》
―柿本人麻呂歌集―(巻七・一三〇九)
連れて来たのに 今更何で
躊躇ぐずぐず しっかりしいや
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