令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

憶良編(8)二つの石を

2009年09月21日 | 憶良編
【掲載日:平成21年9月23日】

けまくは あやにかしこし 足日女たらしひめ 神のみこと 韓国からくにを たひらげて 御心みこころを しづめ給ふと い取らして いはひ給ひし 真珠またまなす 二つの石を・・・

【深江子負原八幡・鳥居前の石は安政年間建立の万葉歌碑】


かねがね 訪れたいとの思い  
やっと叶って 
今 憶良は 怡土郡いとのこおり深江村にいる
玄界灘の向こう  
はるかに 壱岐・対馬  
韓国からくには かすみの向こうか

深江の浜を望む 小高い丘に それは あった 
大小 径一尺を越す 二つの長丸石 
往来の者 すべからく 拝すという 
那珂郡なかのこおり蓑島の 建部たけべ牛麿の言葉 そのままに

いしりの古老の話に 憶良は 筆を執る
けまくは あやにかしこし 足日女たらしひめ 神のみこと 韓国からくにを たひらげて 
御心みこころを しづめ給ふと い取らして いはひ給ひし 真珠またまなす 二つの石を 
世の人に 示し給ひて 万代よろづよに 言ひぐがねと

神功じんぐうの 皇后はんが 韓国からくにの 征伐行く時 持ってった 心しずめの 祈り石
 二つを見せて 世の人に 後々あとあとまでも 言い継げと》
わたの底 沖つ深江の 海上うなかみの 子負こふの原に み手づから 置かし給ひて 
かむながら かむさびいます 奇魂くしみたま 今のをつつに 尊きろかむ

《海を望める 子負こふの丘 自らまつる 神の石
 年月としつきって 今見ても なんと尊い この石よ》
                         ―山上憶良―〔巻五・八一三〕 
天地あめつちの ともに久しく 言ひげと 此の奇魂くしみたま 敷かしけらしも
《この話 ずうっとずっと 伝えよと お置きになった 神宿り石》 
                         ―山上憶良―〔巻五・八一四〕 

一衣帯水いちいたいすい 
韓国からくにとの海峡は 
交易につけ 軍事につけ 船の行き交った海 
その昔 若い憶良を もろこしへと運んだ海
憶良の はるか 昔 
伝説が 伝える ちん懐石かいいしの置かれた小丘

憶良の老いの眼が 海の向こうを見ている 



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