【掲載日:平成21年9月21日】
百日しも 行かぬ松浦路 今日行きて
明日は来なむを 何か障れる
【玉島川(松浦川) 玉島東方簗場付近】
「旅人殿 ひとつ 松浦路への遠出の宴 と言うのは 如何かな」
満誓が提案した
憶良の 気鬱を気遣ってのもの
「さよう 憶良殿は 任務に忠実過ぎていかん
いま少し 余裕がなくては」
《暑気払い宴の企画 これあり
領布振山での松原俯瞰並びに松浦川での鮎釣り
諸般 公務多忙の折と思われるが
万障繰り合わせての参加を乞う》
〔またまた 旅人殿 遊び人満誓に そそのかされての企てか
規定に『諸国の国司 大宰府官人の役目 管内巡行 民情視察にあり』とあるに 視察に名を借りての 遊興三昧 許されることではないわ
それにしても 佐用姫の領布振山か 帯日売の松浦川か・・・
いやいや 任務遂行 お役目大事〕
旅人に 憶良からの 欠席詫び状が届く
松浦県 佐用比売の子が 領巾振りし 山の名のみや 聞きつつ居らむ
《佐用姫が 領布振った言う 山の名を 聞かすだけかい 独り残して》
帯日売 神の命の 魚釣らすと 御立たしせりし 石を誰見き
《帯日売 釣りする言うて 立った石 見るんは誰や わしも見たいわ》
百日しも 行かぬ松浦路 今日行きて 明日は来なむを 何か障れる
《百日も 掛るわけない 松浦路 行って帰るに 障りがあるか》
―山上憶良―〔巻五・八六八~八七〇〕
「満誓殿 どう見られる いやはや お堅い お堅い」
「やせ我慢も ほどほどに と言いたいが まあ 我々だけで 行くべし 行くべし」
通人の心 謹厳実直の人に 通じず
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