【掲載日:平成24年6月1日】
夕されば 野辺の秋萩 うら若み 露にぞ枯るる 秋待ちかてに
秋の訪れ 雁呼び来たり
聞く雁が音は 切無う響く
萩連れ鹿は 声響かせて
時雨降る度 萩花散らす
春草を 馬咋山ゆ 越え来なる 雁の使は 宿り過ぐなり
《咋山を 越え来る雁の 家使いやに 此処飛び過ぎた 家どやろかな》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一七〇八)
巨椋の 入江響むなり 射目人の 伏見が田居に 雁渡るらし
《巨椋池 入江鳴き声 響いてる 伏見の田ぁへ 雁渡るんや》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一六九九)
(射目人=狩りで獲物を射る人→伏せて待つ→伏見)
秋風に 山吹の瀬の 鳴るなへに 天雲翔る 雁に逢へるかも
《秋風で 山吹の瀬ぇ 騒ぐ時 空飛ぶ雁の 声聞こえたで》
―柿本人麻呂歌集―(巻九・一七〇〇)
(山吹=地名)
三諸の 神奈備山に たち向ふ 御垣の山に 秋萩の 妻を枕かむと 朝月夜 明けまく惜しみ あしひきの 山彦響め 呼びたて鳴くも
《神奈備の 山の向かいの 三垣山 秋萩妻を 誘おして 月夜明けるん 惜しいでと 声響かして 雄鹿鳴いとるよ》
―柿本人麻呂―(巻九・一七六一)
明日の宵 逢はざらめやも あしひきの 山彦響め 呼びたて鳴くも
《今夜にも 逢えるんやろに 山陰で 声響かして 必死鳴いとる》
―柿本人麻呂―(巻九・一七六二)
(明日=一日は日没から始まると考えた)
さ雄鹿の 心相思ふ 秋萩の 時雨の降るに 散らくし惜しも
《雄鹿の 心の妻の 秋萩が 時雨降る度 散るんは惜しで》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇九四)
夕されば 野辺の秋萩 うら若み 露にぞ枯るる 秋待ちかてに
《夕方が 来たら秋萩 若い葉ぁ 露で枯れるで 秋来るまでに》
―柿本人麻呂歌集―(巻十・二〇九五)
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