【掲載日:平成26年1月31日】
旅にして 妹を思ひ出で 著く 人の知るべく 嘆きせむかも
今日の旅立ち 覚悟はしても
いよよ別れの そのとき来たら
去かしとう無い 行かねばならん
別れその日が 焦がれの始め
な行きそと 帰りも来やと かへり見に 行けど帰らず 道の長手を
《「行った嫌」 言て戻るかと 振り向くが 戻って来んわ 旅長いのに》
―作者未詳―(巻十二・三一三二)
旅にして 妹を思ひ出で 著く 人の知るべく 嘆きせむかも
《旅先で お前思うて あぁあ言て 人知れるほど 嘆くんやろか》
―作者未詳―(巻十二・三一三三)
里離り 遠くあらなくに 草枕 旅とし思へば なほ恋ひにけり
《里を出て まだどれ程も 来てないに 旅や思たら 家恋しいで》
―作者未詳―(巻十二・三一三四)
白栲の 袖の別れは 惜しけども 思ひ乱れて 許しつるかも
《袖離し 別れん惜して 嫌言たが 虚来て仕舞て 行かして仕舞た》
―作者未詳―(巻十二・三一八二)
草枕 旅行く君を 人目多み 袖振らずして あまた悔しも
《人目多て 旅出るあんた 気ぃ使こて 袖振りせんと 悔し限りや》
―作者未詳―(巻十二・三一八四)
朝霞 棚引く山を 越えて去なば 我れは恋ひむな 逢はむ日までに
《朝霞 靡く山越え 去て仕舞たら 恋い焦がれるで 逢うまでずっと》
―作者未詳―(巻十二・三一八八)
月変へて 君をば見むと 思へかも 日も変へずして 恋の繁けむ
《月替わり せんと逢えんと 思たなら その日内から 恋してならん》
―作者未詳―(巻十二・三一三一)
うらもなく 去にし君ゆゑ 朝な朝な もとなぞ恋ふる 逢ふとはなけど
《あっさりと 旅出たあんた 毎朝に 恋し思うで 逢えん云うのに》
―作者未詳―(巻十二・三一八〇)
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます