【掲載日:平成26年2月4日】
かく恋ひむ ものと知りせば 我妹子に 言問はましを 今し悔しも
昨日別れて 旅行く空に
浮かぶ雲さえ 面影見える
山を隔てた 遙かな空に
思い託した 便りよ届け
玉桙の 道に出で立ち 別れ来し 日より思ふに 忘る時なし
《道立って 別れした日の その日から 忘れられんで 思いずっとや》
―作者未詳―(巻十二・三一三九)
かく恋ひむ ものと知りせば 我妹子に 言問はましを 今し悔しも
《悔しいな こんな焦がれん 知ってたら あの児ともっと 声交わしたに》
―作者未詳―(巻十二・三一四三)
みさご居る 洲に居る舟の 漕ぎ出なば うら恋しけむ 後は相寝とも
《帰ったら また共寝られるが 港から 舟出て仕舞たら 切無うなるで》
―作者未詳―(巻十二・三二〇三)
雲居なる 海山越えて い行きなば 我れは恋ひむな 後は相寝とも
《帰ったら また共寝られるが 海山を 越えて行くんで 焦がれるこっちゃ》
―作者未詳―(巻十二・三一九〇)
遠くあれば 姿は見えず 常のごと 妹が笑まひは 面影にして
《変わりない お前笑顔が 目ぇ浮かぶ 遠に離れて 姿見えんが》
―作者未詳―(巻十二・三一三七)
真澄鏡 手に取り持ちて 見れど飽かぬ 君に後れて 生けりともなし
《いつ見ても 見飽きんあんた 旅出して 後残されて 生きた気せんわ》
―作者未詳―(巻十二・三一八五)
たたなづく 青垣山の 隔なりなば しばしば君を 言問はじかも
《山多数 隔てられたら あんたへの 便り屡々 出来ん様なるか》
―作者未詳―(巻十二・三一八七)
玉葛 幸くいまさね 山菅の 思ひ乱れて 恋ひつつ待たむ
《仕様なしに 辛う焦がれて 苦しけど どうか無事でと 祈って待つわ》
―作者未詳―(巻十二・三二〇四)
(玉葛=蔓が先へ伸びる→幸く)
(山菅の=根が乱れ伸びる→乱れて)
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