令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(25)われはいとはじ

2010年06月04日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年8月24日】

百年ももとせに 老舌おいじたでて よよむとも
              われはいとはじ 恋ひはすとも



〈機知に富んだ  女人であった
 年上とはいえ  
 訳知り女も  味があるやも知れん
 チラと見た姿  まだまだの色香であった〉
〈今一度の  誘いを 試しみるか〉

うづら鳴く りにしさとゆ 思へども なにそも妹に 逢ふよしも無き
奈良ならきょうに ったときから 気にしてた 逢える手立てが なんで無いんや》
                         ―大伴家持―〈巻四・七七五〉 

続けざまの  恋文
紀郎女 躊躇ためらいが先に出る
またもやの  肩すかしを思いながらも 筆をとる

かむさぶと いなとにはあらね はたやはた かくしてのちに さぶしけむかも
《恋するに 歳はかかわり 無い云うが 誘いに乗って いへんやろか》
                         ―紀女郎―〈巻四・七六二〉 
玉のを 沫緒あわをによりて むすべらば ありてのちにも 逢はざらめやも
《この命 あわつぶつなぎ 延ばせたら 先ではきっと 逢うことできる》
                         ―紀女郎―〈巻四・七六三〉 

百年ももとせに 老舌おいじたでて よよむとも われはいとはじ 恋ひはすとも
百歳ひゃくになり 舌垂れ身体からだ よろけても わしかまへんで なおすがな》
                         ―大伴家持―〈巻四・七六四〉 

紀郎女の「その気」に  心決めの家持
その家持に  魔が差す
参内宮中  見覚えある後ろ姿
〈あの時も 宮中であった あの娘子おとめ
 何という奇遇〉 
つれなくされた思いも忘れ  
抑え隠れた恋心  一挙火を吹く

前年をととしの さきとしより 今年ことしまで 恋ふれどそも 妹に逢ひがた
一昨年おととしも 去年今年も ずううっと 思とるいうに なんで逢えんか》
                         ―大伴家持―〈巻四・七八三〉 
うつつには またもはじ いめにだに 妹が手本たもとを 卷きとし見ば
《お前とは  ほんま寝たいと まで言わん 夢でええから 寝てみたいんや》
                         ―大伴家持―〈巻四・七八四〉 
わが屋戸やどの 草の上白く 置く露の 命もしからず 妹に逢はずあれば
《逢われんで るくらいなら この命 草露みたい 消えてもえで》
                         ―大伴家持―〈巻四・七八五〉 
いもが家の 門田かどたを見むと うち出来でこし こころもしるく 照る月夜つくよかも
門前もんまえの 田んぼ見ようと 出てきたら うまい具合に え月やがな》
                         ―大伴家持―〈巻八・一五九六〉 

開かれぬ門戸もんと
夜露に  濡れそぼつ家持
やがての あかつきの訪れ
い仕儀の結末 
移り気家持 またもやの為損しそん


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