goo blog サービス終了のお知らせ 

令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・越中編(二)(07)左夫流(さぶる)その児に

2011年07月29日 | 家待・越中編(二)歌心湧出
【掲載日:平成23年5月17日】

・・・左夫流さぶるその児に ひもの いつがり合ひて 
                  鳰鳥にほどりの 二人・・・



 嘆かわしい限りじゃが これも 世の流れか
 書記官 尾張少咋おわりのおくいの奴 
 いくら 妻女さいじょ殿 くにに置きしとはいえ
 新しきとの たわむ
 それも 屋敷うちに入れての ていたらく
 かみとして 説諭せつゆ行うべしじゃが
 じかには いかにも 大人げ無い〕

大汝おほなむち 少彦名すくなひこなの 神代かみよより ぎけらく
大汝おおなむち 少彦名すくなひこなが ったう 神のからの 言い伝え》
父母ちちははを 見ればたふとく 妻子めこ見れば かなしくめぐし 
うつせみの 世のことわりと かくさまに 言ひけるものを
 
《「父母ちちはは見たら 尊いで 妻子つまこ見たなら 可愛かいらしで
 それが世間 ことわりや」 それはそうやで ホンマやで》
世の人の 立つる言立ことだて ちさの花 咲ける盛りに 
しきよし その妻の児と 朝夕あさよひに みみまずも うち嘆き 語りけまくは
 
みなそう思い 誓いして ちさ咲く花の さかりどき
 いとしい妻と 朝夕に 嬉し悲しを かち合い 嘆きながらも うのんや》
永久とこしへに かくしもあらめや 天地あめつちの 神こと寄せて 
春花の  盛りもあらむと 待たしけむ 時の盛りぞ
 
《「苦しいのんは  続かへん 神さんちゃんと 見てはって
 春の花咲く 時来るで」 そうて待った 春いまや》
はなれ居て 嘆かす妹が いつしかも 使のむと 待たすらむ 心さぶしく 
《離れて暮らす 奥さんが 使いは何時いつに るんかと 心さみしに 待ってるに》
南風みなみ吹き 雪消ゆきげはふりて 射水川いみづかは 流る水泡みなわの 寄るなみ 
左夫流さぶるその児に ひもの いつがり合ひて 
鳰鳥にほどりの 二人 奈呉なごの海の おきを深めて さどはせる
 
《春風吹いて 雪溶けて 射水川かわに流れる あわみたい
 流離さすらびとの 左夫流さぶると ひもみたい からまって
 鳰鳥におどりみたい 連れ立って 奈呉なご海みたい おきふこう はまって仕舞しもて 女狂くるうてる》
君が心の すべすべなさ
《あんたの心 救いないな》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一〇六〕

青丹あおによし 奈良にある妹が 高々たかだかに 待つらむ心 しかにはあらじか
奈良ならみやで 家まもる妻 伸びして 待ってる気持ち それが夫婦みょうとや》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一〇七〕
里人の 見る目づかし 左夫流さぶるに さどはす君が みや後姿しりぶり
里人さとびとの 見る思うと 恥ずかしい まかどきの いそいそ姿》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一〇八〕
くれなゐは うつろふものぞ つるはみの 馴れにしきぬに なほかめやも
くれないは すぐ色あせる 地味じみ色の 着なれたふくに まさるもんない》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一〇九〕
                               五月十五日】

左夫流さぶるが いつきし殿に 鈴けぬ 駅馬はゆま下れり 里もとどろに
左夫流さぶるが 着く屋敷に 駅鈴すずなしの 早馬来たで 騒動そうどう連れて》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〔巻十八・四一一〇〕
                               五月十七日】


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

サービス終了に伴い、10月1日にコメント投稿機能を終了させていただく予定です。