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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(一)(17)足卜(あうら)をぞせし

2010年07月06日 | 家持・青春編(一)恋の遍歴
【掲載日:平成22年7月27日】

月夜つくよには かどに出で立ち 夕占ゆふけ問ひ
             足卜あうらをぞせし 行かまくを欲り



世間の眼をはばかるあまり
妻問いの足は  遠のく

せめて 歌のり取りでも と思うが
屋敷うちの眼ともなれば
往き来にも  増して
気を配らねばならない  日々

春日山かすがやま 霞たなびき こころぐく 照れる月夜つくよに ひとりかも寝む
《春日山 霞棚引き 人恋し え月やのに ひとすんか》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・七三五〉 
月夜つくよには かどに出で立ち 夕占ゆふけ問ひ 足卜あうらをぞせし 行かまくを欲り
え月や 家の外出て いろいろと 占いしたで 行きたいおもて》
                         ―大伴家持―〈巻四・七三六〉 

離されれば  離されるほど
絆は  固さを増す
今の我慢は 後々のちのちの逢瀬のため 
抑え心が 後々のちのちの結びつき誓いへと 駆りたてる

かにかくに 人はふとも 若狭道わかさぢの 後瀬のちせの山の のちはむ君
《なんやかや 他人ひとは言うけど 後々あとあとは 添い遂げられる そうやなあんた》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・七三七〉 
世間よのなかし 苦しきものに ありけらし 恋にへずて 死ぬべき思へば
《世の中は 苦しいもんと 分かったわ 苦恋こい堪え切れず 死にそなるから》
                         ―大伴坂上大嬢―〈巻四・七三八〉 
後瀬のちせ山 のちも逢はむと 思へこそ 死ぬべきものを 今日けふまでも生けれ
後々あとあとに 一緒になろと 思うから 死なんと来たで 今日まで生きて》
                         ―大伴家持―〈巻四・七三九〉 
ことのみを のちも逢はむと ねもころに われをたのめて 逢はざらむかも
《そのうちに 一緒なろやと うまいこと 言うてこのわし だますんちゃうか》
                         ―大伴家持―〈巻四・七四〇〉 

心に生まれる  一抹不安
かろうじての諧謔かいぎゃくで 打ち消しにかかる家持


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