犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(210)年長く

2013年07月13日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【一月三十日】放映分
・・・昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
《あれこれ思い わずろうて 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)


【万葉歌みじかものがたり】うちかぎりは》
天平 五年(733)
老身ろうしん憶良は やまいとこにあった 数えて七十四

たまきはる うちかぎりは たひらけく 安くもあらむを 事も無く くあらむを よのなかの けくつらけく
《生きてる内は 病気せず 楽に死にたい おもうても 世の中つろて 苦しいわ》
いとのきて 痛ききずには 辛塩からしほそそくちふが如く ますますも 重き馬荷うまにに 表荷うはに打つと いふことのごと 老いにてある が身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷なまきず 塗るみたい 追い荷重荷おもにに 積むみたい 老い身に病気やまい 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
《あれこれ思い わずろうて 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)
慰むる 心はなしに 雲がくり 鳴き行く鳥の のみし泣かゆ
 安らかな 気持ちなれんで ピイピイと 鳥鳴くみたい 泣き続けとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九八)
すべも無く 苦しくあれば で走り ななと思へど 児らにさやりぬ
《苦しいて あの世こかと おもうても 子供邪魔して 死ぬこと出来でけん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九九)
富人とみひとの 家の児どもの み くたつらむ きぬ綿わたらはも
《金持ちの 家の子供は ふくを んとか 絹や綿入れ》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇〇)
荒栲あらたへの 布衣ぬのきぬをだに 着せかてに くや嘆かむ むすべを無み
《捨てるよな ボロふくさえも ささんと 嘆いてみても どもならんのや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇一)
水沫みなわなす もろき命も 栲縄たくなはの 千尋ちひろにもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長ごとねごうて 暮らしてるんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇二)
倭文手しつたまき 数にもらぬ 身にはれど 千年ちとせにもがと 思ほゆるかも
安物やすもんの 飾りみたいな このわしも せめて長生き おもとるのんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇三)
かた すえ 心休まらぬ 憶良がいる



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