犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(226)勝鹿の

2013年11月23日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【二月二十一日】放映分
勝鹿の 真間の手児名てこなが 麻衣あさぎぬに 青衿あをくびけ ひたを にはて 髪だにも きはけづらず くつをだに 穿かず行けども にしきあやの 中に包める 斎児いはひごも いもかめや 
《葛飾真間の 手児名てこなて云う児 色えりの 麻ふくかぶり 麻そのままの 粗末穿いて 髪もけずらん 裸足はだしの児やに にしき服着て 育った児にも 負けん位に 器量きりょうえ児》


【万葉歌みじかものがたり】手児名てこなし思ほゆ》
これほどの つたえ話があろうか
宇合うまかい様も さぞ満足されるであろう
下総しもふさ真間ままではあるが 常陸ひたち隣国りんごく 
番外 に収録することで 世に伝えられる

とりが鳴く あづまの国に いにしへに ありける事と 今までに 絶えず言ひる  
あずまの国に 伝わる話 昔を今に 伝える話》
勝鹿の 真間の手児名てこなが 麻衣あさぎぬに 青衿あをくびけ ひたを にはて 髪だにも きはけづらず くつをだに 穿かず行けども にしきあやの 中に包める 斎児いはひごも いもかめや 
《葛飾真間の 手児名てこなて云う児 色えりの 麻ふくかぶり 麻そのままの 粗末穿いて 髪もけずらん 裸足はだしの児やに にしき服着て 育った児にも 負けん位に 器量きりょうえ児》
望月もちづきの れるおもわに 花のごと みて立てれば 夏虫の 火にるが如 みなとりに 船漕ぐ如く 行きかぐれ 人のいふ時 
綺麗きれえ面差おもざし 笑顔で立つと 火に入る虫か 湊集あつまる船か 男押しかけ 嫁にと騒ぐ》
いくばくも けらじものを 何すとか 身をたな知りて 波のの さわみなとの おくに 妹がこやせる 
《なんぼ生きても 短い命 私ごときに このな騒ぎ そんな値打ちは うちには無いと 水底みなそこ深く 沈みてすよ》
とほき代に ありける事を 昨日きのふしも 見けむがごとも 思ほゆるかも
《昔のことと 伝えは言うが 昨日きのうのことに 思えてならん》
                         ―高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ歌集―(巻九・一八〇七)

葛飾かつしかの 真間まま見れば 立ちならし 水ましけむ 手児名てこなし思ほゆ
真間ままの井を 見てると幻視える あの手児名てこな ここで水汲む 可愛かいらし姿》
                         ―高橋蟲麻呂たかはしのむしまろ歌集―(巻九・一八〇八)

それにしても 可哀想かわいそうなことをしたものだ
昔のおみなは こうも純情じゅんじょう可憐かれんであったか
 の女ときたら・・・
言う まい 言うまい

蟲麻呂の固い心に ひと時 みがこぼれる




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