犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(155)なかなかに

2012年10月31日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【十月三十一日】放映分

なかなかに 人とあらずは さかつぼに 成りにてしかも 酒にみなむ
《酒壺に 成って仕舞しもうて 酒にも 鳴かず飛ばずの 人生よりか》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三四三)

【万葉歌みじかものがたり】にごれる酒を》

(わしは 酒に逃げてるのではない
  それにしても しらっと 中座しおって・・・)
 まだき 奥の座敷 
文机ふづくえを前に 端座たんざする旅人たびとがいる
 の上 大徳利 
なみなみと注がれた酒坏さかづき
 人は どうして 酒を飲むのか
 たのしきにつけ 悲しきにつけ
 一杯目 これが また美味うま
  一杯の酒が 次の酒を呼ぶ・・・
  また一杯 もう一杯 さらに一杯・・・
  やがて 酔いつぶれて・・・
 もう 金輪際こんりんざいとの 二日酔い・・・
 めぬうちの 酒坏さかづき・・・
 性懲しょうこりもなくの 繰り返し・・・)
 酒に 罪があろうか
 酒は 飲むべきもの むべきもの)

しるしなき 物をおもはずは 一坏ひとつきの にごれる酒を 飲むべくあるらし
仕様しょうもない 考えせんと 一杯の どぶろく酒を 飲むえで》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三三八)
酒の名を ひじりおほせし いにしへの おほひじりの ことのよろしさ
《酒のこと ひじりやなんて 適切うまいこと 言うたもんやな 昔の聖人ひとは》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三三九)
いにしへの ななさかしき 人どもも りせしものは 酒にしあるらし
《名ぁ高い なな賢人けんじんも 人並みに 欲しがったんは 酒やでやっぱ》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三四〇)
さかしみと 物言ふよりは 酒飲みて ゑひ泣きするし まさりたるらし
えらぶって 講釈ものゆうよりは 酒飲んで 泣いてる方が えんとちゃうか》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三四一)
言はむすべ むすべ知らず きはまりて たふときものは 酒にしあるらし
《なんやかや たりおもたり てみても 行きつくとこは やっぱり酒や》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三四二)
なかなかに 人とあらずは さかつぼに 成りにてしかも 酒にみなむ
《酒壺に 成って仕舞しもうて 酒にも 鳴かず飛ばずの 人生よりか》
                          ―大伴旅人おおとものたびと―(巻三・三四三)

(わしが 真面まともなのか
 あやつが 正当まともなのか・・・)
き合いの悪い 相手と
ついつい 酒におぼれる 自分
忸怩じくじたる思いの 旅人がいる



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