犬養万葉今昔―犬養孝先生著「万葉の旅」を訪ねて

犬養孝先生名著「万葉の旅」記載の万葉故地309箇所を訪ね、先生が撮られれたのと同じ場所に立った写真撮影を目指す紀行。

■日めくり万葉集Vol・2(060)くへ越に

2011年11月02日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
ご覧下さい。

【六月十七日】放映分

柵越くへごしに 麦小馬こうまの はつはつに 相見し子らし あやにかなしも

柵越さくごしに 仔馬食う麦 一寸ちょっとだけ 一寸ちょっと逢うた児 可愛かわいてならん》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三七)



【万葉歌みじかものがたり】真間ままつぎはし

 眺めるだけの 時過ごし やっと逢うまで 漕ぎつけた

案ずるよりも 生む方がやす
手にしたあの児 可愛かわいい限り

柵越くへごしに 麦小馬こうまの はつはつに 相見し子らし あやにかなしも
柵越さくごしに 仔馬食う麦 一寸ちょっとだけ 一寸ちょっと逢うた児 可愛かわいてならん》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三七)
柵越せごし 麦む駒の はつはつに 新肌にひはだ触れし 児ろしかなしも
柵越さくごしに 仔馬食う麦 一寸ちょっとだけ 一寸ちょっと肌触れた児 可愛かわいてならん》
                          ―東 歌―(巻十四・三五三七 或る本)
かみ毛野けの まぐはしまとに 朝日さし まきらはしもな ありつつ見れば
まとに射す 朝日みたい まぶしいな お前まっすぐ 見続けとると》
                          ―東 歌―(巻十四・三四〇七)
あしひきの 山沢やまさは人の 人さはに まなと言ふ子が あやにかなしさ
山沢やまさわの 村人むらびとみんな 手出すなと 言うて守る児 えろ可愛かいらしで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四六二)

可愛いさこうじ 逢いたさ募る
自分 一人を 見ていて欲しい

おとせず 行かむ駒もが 葛飾の 真間の継橋つぎはし やまずかよはむ
《足音の てへん馬が 無いもんか 真間の継橋 ずっと来るのに》
                          ―東 歌―(巻十四・三三八七)
しも毛野けの 三毳みかもの山の 小楢こならのす まぐはし児ろは か持たむ
三毳山みかもやま 小楢こならみたいに 可愛かいらし児 誰のめし盛る そらワシやんか》
                          ―東 歌―(巻十四・三四二四)

待つはつらいが 逢うのは嬉し
逢えばうたで 別れがつら

遅速おそはやも をこそ待ため むかの しひ小枝こやでの 逢ひはたがはじ
おそうても わし待ってるで しいの枝 かさなるみたい 逢えるんやから》
                          ―東 歌―(巻十四・三四九三)
逢はずして 行かば惜しけむ 麻久良我あくらがの 許我こが漕ぐ船に 君も逢はぬかも
《逢わんまま 別れて仕舞たら 名残なごり惜し 許我こがの渡しで 逢われんもんか》
                          ―東 歌―(巻十四・三五五八)
伊香保ろの 沿ひの榛原はりはら 我がきぬに きよらしもよ 一重ひたへと思へば
《伊香保山 ふもとはん う染まる わしに染まりや 一途いちずな気ぃで》
                          ―東 歌―(巻十四・三四三五)
白遠しらとほふ 小新田山をにひたやまの る山の うらなな 常葉とこはにもがも
小新田山おにいたで 守り育てる 木やあの児 枯らすことう 緑のままに》
                          ―東 歌―(巻十四・三四三六)

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■日めくり万葉集Vol・2(069)すべもなく

2011年11月02日 | 日めくり万葉集
NHK教育TVで「日めくり万葉集」第2弾が始まりました。
平日の午前中ということで 勤めの方は 見る機会に恵まれません。
また 見落とされた方も 居られるやも知れません。
そこで ここで取り上げて 訳し・「みじかものがたり」を 掲載したく思います。
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【六月三十日】放映分

すべも無く 苦しくあれば で走り ななと思へど 児らにさやりぬ

 《苦しいて あの世行こかと おもうても 子供邪魔して 死ぬこと出来でけん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九九)



【万葉歌みじかものがたり】うちかぎりは》

天平 五年(733)
老身ろうしん憶良は やまいとこにあった 数えて七十四

たまきはる うちかぎりは たひらけく 安くもあらむを 事も無く くあらむを よのなかの けくつらけく
《生きてるうちは 病気せず 楽に死にたい おもうても 世の中つろて 苦しいわ》
いとのきて 痛ききずには 辛塩からしほそそくちふが如く ますますも 重き馬荷うまにに 表荷うはに打つと いふことのごと 老いにてある が身の上に 病をと 加へてあれば
《塩を生傷なまきず 塗るみたい 追い荷重荷おもにに 積むみたい 老い身に病気 重なって》
昼はも 嘆かひ暮し よるはも 息衝いきづき明かし 年長く 病みし渡れば つきかさね うれさまよひ 
《夜は溜息 昼嘆き 長患ながわずらいの 続くうち》
ことことは 死ななと思へど 五月蝿さばへなす さわどもを てては しには知らず 見つつあれば 心はえぬ 
《いっそ死のかと おもたけど 餓鬼がきどもって 死なれへん 子供見てると 胸痛む》
かにかくに 思ひわづらひ のみし泣かゆ
 あれこれ思い 悩みして 考えあぐね 泣くばかり》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九七)
慰むる 心はなしに 雲がくり 鳴き行く鳥の のみし泣かゆ
 安らかな 気持ちなれんで ピイピイと 鳥鳴くみたい 泣き続けとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九八)
すべも無く 苦しくあれば で走り ななと思へど 児らにさやりぬ
《苦しいて あの世行こかと おもうても 子供邪魔して 死ぬこと出来でけん》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・八九九)
富人とみひとの 家の児どもの み くたつらむ きぬ綿わたらはも
《金持ちの 家の子供は ふくを んとってる 絹や綿入れ》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇〇)
荒栲あらたへの 布衣ぬのきぬをだに 着せかてに くや嘆かむ むすべを無み
《捨てるよな ボロふくさえも ささんと 嘆いてみても どもならんのや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇一)
水沫みなわなす もろき命も 栲縄たくなはの 千尋ちひろにもがと 願ひ暮しつ
《泡みたい すぐ消えるよな 命でも 長ごとおもて 暮らしてるんや》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇二)
倭文手しつたまき 数にもらぬ 身にはれど 千年ちとせにもがと 思ほゆるかも
安物やすもんの 飾りみたいな このわしも せめて長生き したいおもとる》
                         ―山上憶良やまのうえのおくら―(巻五・九〇三)
かた すえ 心休まらぬ 憶良がいる


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