みみずく医者の備忘録

名古屋市名東区の内科開業医です。日々の出来事や診察室でのエピソードなどを織り交ぜて綴ります。個人的なメモ代わりです。

高齢者の貧血注意 持病に隠れ自覚しにくく

2012-09-29 07:49:50 | 老年病科
若い女性の病気と思われがちな貧血だが、高齢者でも10人に1人は患っている。
持病の症状に隠れて自覚しにくいが、放置すれば寝たきりになる恐れがある。栄養不足が原因の場合も多く、その際には動物性たんぱく質を十分に取るなど食事改善を心がける必要がある。

■高齢者の貧血で多いのは、血液を作る骨髄の働きは正常だが、鉄分が不足する鉄欠乏性貧血。
高齢者は食事の量が少なくなりがちでエネルギーやたんぱく質、鉄が不足。
吸収を助けるビタミンCも足りない。

■狭心症の人が貧血になると、心臓は血液を早くまわそうと働き、負担が大きくなって胸が痛む。
周囲の人も認知症やうつ状態の悪化と勘違いすることもある。
酸素が各臓器にいかず、忘れっぽくなったり、活動状態が悪くなったりする。
貧血が原因の場合はこの治療で改善が見られる。

■鉄不足による貧血なのに、鉄を補う薬を与えても改善しない場合、胃のピロリ菌を除去すると貧血が軽減する場合がある。

■胃がんなどで胃を切除した後に気をつけたいのは、ビタミンB12不足による貧血。
ビタミンB12は血液細胞など細胞分裂に必要だが、胃が無いと腸で吸収されるまでの間、ビタミンを保護することができない。
5年ぐらい経て現れることが多く、気づきにくい。

■肉や魚、卵などの動物性たんぱく質を毎日食べるようにした後には、アルブミン値の増加に比例し、ヘモグロビン値も改善。
老化はたんぱく質が体から抜け出ていく現象。
食事でたんぱく質を補うことが重要で、高齢者に多い野菜と炭水化物中心の粗食信奉は栄養不足の原因となり、老化を早める。

■高齢者は豆腐などあっさりした食事を好みがちだが、たんぱく質は肉や魚といった動物性食品からとったほうがいい。

■植物性食品の鉄が非ヘム鉄と呼ぶ吸収しにくい鉄なのに対し、動物性はヘム鉄という吸収しやすい形の鉄分が含まれており、少量でも効果が期待できる。

http://www.nikkei.com/article/DGXDZO34493980S1A900C1MZ4001/

出典 日経新聞・Web刊 2011.9.4
版権 日経新聞社


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