みみずく医者の備忘録

名古屋市名東区の内科開業医です。日々の出来事や診察室でのエピソードなどを織り交ぜて綴ります。個人的なメモ代わりです。

人のiPS細胞から「脳」作製

2013-09-05 07:30:08 | 再生医療
直径4ミリの「脳」作製 英チームなど、人のiPS細胞から

人間のiPS細胞から直径約4ミリの立体的な脳組織を作ることに成功したと、オーストリアや英国の研究チームが28日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

■脳組織には大脳皮質に似た構造や髄膜などが含まれており、複雑な人間の脳の一部を形作った画期的な成果。
脳の成長が滞る小頭症の患者のiPS細胞からも脳組織を作り、発達異常が起きることを確認した。

■チームは実験用の人間のiPS細胞を神経系の細胞へ変化させ、ゼリー状の物質の中に入れて培養。
4日後、培養液の入った容器に移し、液をかき混ぜながら、さらに培養した。
すると神経系の細胞への変化を始めてから2カ月で、直径約4ミリの脳組織に成長した。

■この脳組織には、大脳皮質と同じように細胞が層状に重なった構造が見られた。
記憶をつかさどる海馬の細胞や、目で光を感じる網膜なども含まれていた。

■ただ各部分の位置や形は本来の脳とは異なり、全体の大きさは10カ月間培養を続けても直径約4ミリより大きくならなかった。
脳組織の中央部では、酸素や栄養が行き渡らず細胞が死んでいた。

出典 日経新聞 Web刊 2013.8.29


<私的コメント>
人間のiPS細胞からはこれまでに、腸や腎臓や膵臓の一部、小さな肝臓などの立体的な組織が作られています。
肝臓は数ヶ月前に日本の若手研究者が作成して話題となったのは記憶に新しいところです。
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DHAがアルツハイマー抑制

2013-02-22 15:10:59 | 再生医療
DHAがアルツハイマー抑制…京大iPS研究所

認知症の中で最も多いアルツハイマー病患者から作製したiPS細胞(人工多能性幹細胞)を使って、「ドコサヘキサエン酸(DHA)」が同病の発症予防に役立つ可能性があることを確認したと、京都大iPS細胞研究所の井上治久准教授らのチームが発表した。

■イワシなどの青魚を食事でとることとの関係はこの研究では不明だが、新薬の開発などにつながる成果。
 
■アルツハイマー病患者の脳内では、Aβ(アミロイドベータ)と呼ばれるたんぱく質の「ゴミ」が過剰に蓄積することで、「細胞内ストレス」という有害な現象が起きて神経細胞が死滅し、記憶障害などを引き起こすことが知られている。

■研究チームは、50代~70代の男女の患者計4人の皮膚からiPS細胞を作製。
それを神経細胞に変化させ、Aβが細胞内外に過剰に蓄積した病態を再現した。

■このうち、細胞内にAβが蓄積した2人の細胞に低濃度のDHAを投与した場合と、投与しなかった場合とで、2週間後に死滅した細胞の割合をそれぞれ比較。
その結果、DHA投与の場合、細胞死の割合は15%で、投与しなかった場合は2倍以上の32%だった。

                  

出典  読売新聞 ・朝刊 2013.2.3
版権  読売新聞社



<私的コメント>
iPS細胞というとすぐに臓器再生を思い浮かべてしまう。
今回の発表ではiPS細胞を実験モデルに組み入れて、病態メカニズムの解明や薬剤の有効性の検証のためのツールとしている。
そういう応用方法が理解出来ただけでも勉強になった。


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高齢マウスでも血管作製=iPS細胞、同じ効果

2012-07-02 06:58:04 | 再生医療
高齢マウスでも血管作製=iPS細胞、同じ効果-名古屋大
http://www.carenet.com/news/det.php?nws_c=28833
(ログインが必要です)
要旨
高齢のマウスから作った人工多能性幹細胞(iPS細胞)が、若いマウスのiPS細胞と同等の血管再生機能を持つことが分かった。

出典 Care Net.com 2012.6.29
版権 Care Net

<私的コメント>
この論文の意味は、「高齢者でも自分の体からiPS細胞が作れるようになる可能性がある」ということが判明したことです。




雨の横浜公園 2012.6.16撮影
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