みみずく医者の備忘録

名古屋市名東区の内科開業医です。日々の出来事や診察室でのエピソードなどを織り交ぜて綴ります。個人的なメモ代わりです。

医師の偏在解消に向け、医師会など緊急提言

2015-08-21 07:36:10 | 医療一般
医師の偏在解消に向け、医師会など緊急提言へ
http://mtpro.medical-tribune.co.jp/mtpronews/yomiuri/ym150833.html

日本医師会と全国医学部長病院長会議は2017年8月19日、地域や診療科ごとの医師の偏在を解消するための緊急提言の骨子を発表した。
 
骨子は、
〈1〉生涯にわたり異動を把握する「医師キャリア支援センター」を各大学に設置
〈2〉臨床研修は原則、出身大学のある地域で行う
〈3〉地域の診療科ごとに必要な医師数を把握する――など。「現在の医師不足の本質は、絶対数ではなく、地域・診療科ごとの偏在にある」としており、近く正式な提言書にまとめ、厚生労働省などに提出する予定。


<私的コメント>
かつて厚労省が始めた卒後研修制度により医学部卒業後の医師の大都市、大病院への集中が始まりました。
制度の設立趣旨自体には共感できるところも多いのですが、医師偏在という大きな副作用が出ました。
本来は、この医師偏在を生み出した厚労省がこういった軌道修正をすべきことです。
誠にもって無為無策と言わざるを得ません。
文科省(当時は文部省)が行った、少なくとも1県1医大ということで国立単科医科大学が「雨後の筍」のように作られました。
この政策も先述の卒後研修制度により、卒後に出身大学の「地方」に残らないという現象に拍車がかかってしまいました。
今では仙台と成田に医科大学を作ろうという政策が実現しつつあります。
医師の粗製乱造に拍車がかかることは明々白々です。
個人的な話で恐縮ですが、私が医学部を出た時には約40校の医学部しかなく、卒業生も全国で約4,000人でした。
しかるに今や医学部の数も卒業生数も倍以上になっています。
当時でさえ聞かれなかった医師不足が今問題になっているのは明らかに医師や専門科目の偏在が原因なのです。
人口減少の中で、バカ(役人や政治家)につけるクスリが見つからないのが誠にもってもどかしいところです。
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受動喫煙

2015-08-11 00:05:14 | 医療一般
受動喫煙、全死亡原因の1%占める
http://apital.asahi.com/article/tsubono/2012111200127.html
非喫煙者の受動喫煙による健康被害を世界規模で推計した論文が、ランセットに2011年1月に掲載された。

各種の調査データを使って、2004年時点の192カ国の受動喫煙の状況、受動喫煙による病気のリスク上昇、受動喫煙が原因での死亡数などを推計した。
世界全体で受動喫煙を受けている非喫煙者は、小児(14歳以下)が40%、成人(15歳以上)の男性が33%、成人の女性が35%。日本を含む西太平洋地域では、小児が51%、成人男性が50%、成人女性が54%と、世界の平均より高かった。
2004年の世界全体で、受動喫煙が原因で603,000人の非喫煙者が死亡した。
これは同年の世界の死亡数全体の約1%に相当した。死因ごとにみると、もっとも多かったのは「成人の虚血性心疾患(心筋梗塞など)」(379,000人)、2番目に多かったのは「5歳未満の小児の気管支炎や肺炎」(165,000人)。以下、「成人の喘息」(35,800人)、「成人の肺がん」(21,400人)が続いた。

性別・年代別に死亡数をみると、成人女性が281,000人と全体の47%を占めてもっとも多く、小児が166,000人(28%)、成人男性が156,000人(26%)と続いた。
著者らによると、2007年末までに、16カ国ですべての屋内の職場と公共空間での喫煙を禁ずる法律が成立している。
しかしこうした法律のもとで生活しているのは、世界人口の7.4%に過ぎないという。
著者らはまた、成人女性と小児を受動喫煙の害から守るために、家庭での受動喫煙を減らす対策が必要だと考察している。

出典
早稲田大学大学院客員教授(政治学研究科ジャーナリズムコース) 坪野吉孝



<私的コメント>
受動喫煙が原因の死亡数が、世界の死亡者全体の約1%を占めるという結果に驚きます。
非喫煙者を受動喫煙から守る対策の重要性をあらためて感じるとともに「元から絶つ(禁煙)」ということが何より大切です。

受動喫煙とは、喫煙により生じた副流煙(喫煙者が吸い込む主流煙に対してたばこの先から出る煙)、呼出煙(喫煙者が吐き出した煙)を発生源とする、有害物質を含む環境たばこ煙に曝露され、それを吸入すること。
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膠原病

2015-08-06 13:53:58 | その他
膠原病
◎膠原病とは  膠原線維の炎症と変性

膠原病という名前は、一つの病気を指し示しているのではなく、ある共通の病的変化を起こしてくる病気をひとまとめにした呼び名です。
ちょうど、腎臓病とか心臓病とかいうのと同じように、一種の分類名と考えてもよいと思います。
皮膚、血管、関節などではそれぞれがばらばらにならないようにお互いを結びつけている組織があります。
それを膠原線維と呼んでいます。
この膠原線維に炎症が起こり、そのあとにフィブリノイド変性という変化を残すのが膠原病です。膠原線維は全身に分布していますので、膠原病は全身性の炎症性疾患ともいえます。

◎どんな病気か   6つの病気が含まれます
膠原病には6つの病気が合まれます。
すなわち、全身性エリテマトーデス、強皮症、皮膚筋炎(あるいは多発性筋炎)、結節性多発動脈炎、慢性関節リウマチ、リウマチ熱です。
どの病気も原因がまだわかっておりませんが、リウマチ熱だけは溶連菌に感染して、2~3週前後で発病してきます。
いずれの病気も経過は慢性でよくなったり、悪くなったりを繰り返します。
各自に特徴的な症状がありますが、共通する症状も多いので、病気のはじまりではしばしば診断が困難なことがあります。
共通する主な症状は、長く続く原因不明の発熱、関節痛(炎)、リンパ節の腫れ、レイノー現象(寒い時に手指が白くなったり、紫色になったりすること)などがあります。

◎治療法は ・・・ 定期的に検査を
療法は ・・・ 定期的に検査を共通する症状が多いからといって、治療法や看護の仕方は同一ではありません。
膠原病というとすぐ副腎皮質ステロイド剤が頭に浮かぶほど、この薬の名前も有名になりました。しかしこの薬は全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎と結節性多発動脈炎ではしばしば使われま
すが、その他の病気ではよほどのことがないかぎり一般には使用しません。

いずれの病気も全身病で、経過が慢性であることと、使用する薬によっては重篤な副作用もありますので、定期的に検査を行なう必要があります。
その検査結果をみながら、その都度治療法を
決めています。

指導・北里大学内科助教授(当時) 柏崎 禎夫


出典
日医ニュース 昭和59年3月20日 第541号「24時間の医学」N0.323より転載

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胃がん検診に内視鏡推奨

2015-08-01 06:06:39 | 消化器科
胃がん検診に内視鏡推奨 厚労省検討会、乳がんはマンモ単独も
厚生労働省のがん検診のあり方に関する検討会は平成27年7月30日、市区町村が行う胃がん検診について、これまで40歳以上で推奨してきたエックス線検査のほか、内視鏡検査も推奨するとの提言をまとめた。
検査はいずれかの方法で行う。
ともに対象は50歳以上、間隔は2年に1度とした。
 
乳がん検診はこれまで、40歳以上を対象に2年に1回、マンモグラフィー(乳房エックス線撮影検査)と視触診の組み合わせを推奨してきたが、マンモグラフィーだけでもよいとした。
 
厚労省は今後、提言に沿って通知を出す。
早ければ来年4月からの検診に反映される見通し。
 
胃の内視鏡検査は死亡率を下げる証拠があり、エックス線検査に比べて、がんを確実に見つけることができるとした。
ただ、のどの麻酔によるショックなど、内視鏡検査に伴う危険に対処できる体制が必要だとした。
 
乳がん検診では40代の場合、マンモグラフィーに超音波検査を併用するとがんの発見率が上がるとの研究があるが、提言では死亡率が低くなるか引き続き検証が必要だとした。

出典
日経新聞・朝刊 2015.7.31
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