みみずく医者の備忘録

名古屋市名東区の内科開業医です。日々の出来事や診察室でのエピソードなどを織り交ぜて綴ります。個人的なメモ代わりです。

「冬うつ」に注意

2013-01-17 23:26:37 | 精神科
眠くてたまらない、甘いものを食べ過ぎる 「冬うつ」に注意

■冬は毎年気分がどんより「冬うつ」
■冬になると憂うつになる「冬うつ」。これは、「季節性感情障害」の通称。
■典型的なうつは、「不眠」、「食欲がない」というのが一般的なイメージ。
「冬うつ」は食べすぎ、寝すぎという症状が多く、うつとは自覚しにくい。
■冬うつは、冬にはほとんど太陽が出ない北欧などに患者が多い(季節性のある「うつ」)。
■10~11月ごろから徐々に元気がなくなり始め、眠くて、だるくて、何もやる気にならなくなるようなら、冬うつを疑う。
■冬うつは20代の後半以降の女性に多い。
「過眠・過食、体が重い、というのが最も多い症状。
食べ物に“癒やし”を求める傾向があり、菓子パンのような甘いものや炭水化物を食べたくなる。
また、寝てばかりでも食べるので、 “うつ太り”をする人もる。
■冬うつは日照時間が短くなることが引き金となって、セロトニンなどの脳内の神経伝達物質が減ることが一因。
蓄積したストレスも原因と考えられている。
また、遺伝などの家族性も指摘されている。
そして、日照時間が短い地域などの環境的なものも要因として挙げられているが、これらの要素が複合的に組み合わさって発症に至るケースが多いと考えられている。

■ずれてしまった体内リズムをリセットする
■セロトニン不足は冬うつを始め、うつ病の原因とされている。
(脳内のセロトニン量を増やす薬、SSRIなどが処方される)
また、セロトニンと関係が深い、メラトニンの観点からの治療薬も処方されている。
冬うつの患者は過眠などの睡眠障害を併発しやすい。
原因はメラトニン分泌の異常が示唆されている。
2010年に登場したロゼレム(ラメルテオン)というメラトニン受容体作動薬は新しい作用機序を持つ不眠症用の治療薬。冬うつの睡眠障害にも効果がある。
■このほかに高照度光療法も有効。
これは、朝の太陽と同じ程度の強い光を、毎朝2時間以上浴びる治療法。
薬より早く改善効果が出ることもあり、医療器具も市販されている。
光療法や薬の力を借りながら、「早寝早起き」や「過食をさける」といった、生活指導を医師から受けるのが一般的だ。

~ほかにもある、こんなうつ~
双極性障害
昔は「躁うつ病」と呼ばれていたように、気分が高揚する時期と沈む時期が交互に来る。
軽い躁状態が「普通」と思われると、うつ病と誤診されやすい。

産後うつ
産後3~6カ月以内に、10~20%の人がなる。
エストロゲンが欠乏することでセロトニンの働きが低下する。
育児のストレスや睡眠不足も誘因に。

燃え尽き症候群
仕事の繁忙期の後などに精根尽き果ててしまった状態。
「報われない」という気持ちが引き金になることもあり悪化してうつ病になることもある。

PMDD(月経前不快気分障害)
排卵期から月経前まで、プロゲステロン(黄体ホルモン)が増えるのが原因。
イライラしたり、キレやすくなったり、落ち込みやすくなったりする。


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出典  日経新聞 Web刊 2012.1.13 (元記事 「日経ヘルス2013年1月号」)
版権  日経新聞社
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