江戸では不思議な泥棒が出没していた。大家の雨戸を、切破って盗みを働くのだ。この盗人、とうとう6件目で殺人を犯した。被害者は、本所番場町の両替、井筒屋清兵衛。しかし本所は石原の利助という岡っ引きの縄張り。最初平次は遠慮していたのだが、利助の一人娘のお品の頼みで、事件に乗り出すことになる。現場を見て平次は、番頭に、雨戸に大穴が鋸であけられているのに、誰も気が付かなかったのかと問うと、昨夜は狸囃子がひどくてなかなか寝付けなかったからとの答え。
本所七不思議といわれるものがあり、狸囃子もその一つだ。狸囃子というのは、太鼓と笛で馬鹿囃子そっくりだが、あちらと思えばこちらから聞こえ、遠いような、近いような、どこから聞こえるのかはっきりしない現象らしい。
しかし平次、石原の利助の子分10人ばかり狩り集めて、狸狩りをやっているが、引き揚げるときに、一人1分渡している。1分といえば1/4両である。10人いれば2.5両になる。庶民は一生小判をみることがなかったことも多いらしいから、結構な金額だ。そもそも平次は貧乏暮らしのはず。よくそんな金があったものだ。きっとお静さんの着物が何枚も質屋に・・(以下略)・・・。
狸囃子の謎を平次は解いて事件を解決するのだが、もちろん本物の狸がやっているわけではない。平次は狸囃子の謎を解き明かして、犯人を特定する。さすがは平次である。
この話でも平次のトレードマークによる投げ銭の場面は出てこない。利助の子分に渡した金が結構でかかったので、ビタ銭といえど節約したのかな?
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