文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官

2021-12-17 09:03:10 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 


 法医昆虫学とは、昆虫の生態を犯罪捜査に活かしていくという学問分野である。この「法医昆虫学捜査官」シリーズは、法医昆虫学に取り組む赤堀涼子を主人公とするものだが、この「紅のアンデッド」はシリーズ6巻目にあたる。

 今回の殺害現場には、大量の血液といっしょに、生活反応のある小指(つまり、生きているうちに切られた)が3人分残されていた。だたし被害者の死体は消えている、

 主要な登場人物は、赤堀涼子と、警視庁の岩盾祐也警部補。岩楯は、なんやかんや言いながらも赤堀のいい理解者である。また岩楯は所轄の刑事と組むのが慣例のようになっているが、今回その役を務めるのが鰐川宗吾刑事。このシリーズによく登場しているお馴染みさんだ。プロファイラー志望で、ノートをいつも持ち歩いている。ちなみに、今使っているノートは事件発生後一月で325冊目だそうだ。歳は31歳で、歳の割に気の毒なほど髪が薄いと言う設定だが、なんと今回は新婚さんとして登場している。

 このシリーズ、色々重要な役を果たす昆虫が出てくるが、今回はアオバアリガタハネカクシ。通称は「やけど虫」といい、体液が体につくと、ひどい炎症を起こす。だから、うっかりつぶしたりしてはいけない。もちろん赤堀先生は、しっかりこの虫の洗礼を受けている。

 この巻で、特に言っておきたいことは二つ。一つ目は、浜松町の騒音ビルのワンフロアに捜査分析支援センターが作られ、赤堀先生はそこの所属となっている(ただし大学と兼任)ということだ。所員は、プロファイルの専門家広澤春美(43歳の長身美人と言う設定)と、捜査技術開発担当の波多野光春(還暦間近で、鑑定技術の開発研究に半生を捧げてきたという設定)。いずれも結構クセがある。特に波多野は、苦虫をかみつぶしたような顔をしているのがデフォだ。この二人が、だんだんと赤堀屋法医昆虫学のことを認めていくというのもこのシリーズのテーマのひとつだろう。

 二つ目は、事件に絡んで、赤堀先生の過去が明らかになる。なぜ彼女は法医昆虫学に出逢ったのか。結構重い話だ。

 タイトルについて考察してみた。紅は血の色もしくはコチニールカイガラムシ。それから取れる染料はワームベリーと呼ばれ、天然素材の中で唯一燃えるような紅に染めることができるらしい。アンデッドはは、別にラノベなどによく出てくるモンスターは出てこないので、死んだと思っていたあの人が実は生きていたということかな。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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