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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
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書評:日曜の午後はミステリ作家とお茶を

2018-07-01 10:26:26 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
日曜の午後はミステリ作家とお茶を (創元推理文庫)
クリエーター情報なし
東京創元社

・ロバート・ロプレスティ、(訳)髙山真由美

 本作において、シニカルな口調で語り手を務めるのは、主人公でミステリー作家のシャンクス。しかし、それほど売れているわけではないようで、売れないことに対する自虐的な話もある。ちなみに、妻はロマンス作家だ。これは、そんなシャンクスが活躍する14編の短編を集めた短編集である。

 このシャンクスは、ミステリー作家だけあってなかなかの名探偵だ。なにしろ人から話を聞いただけで事件を推理してしまう。それだけではない。「シャンクス、昼食につきあう」では、妻が初めてのインタビューを受けている傍で、外の風景を眺めているだけで犯罪を感知しているし、「シャンクスの記憶」では、工事現場を見ただけで、犯罪の存在を見抜いたのである。

 しかし、作家らしく、「シャンクス、物色してまわる」では、 婦人警官の使った単語、”prowl(物色する)”が自動詞か他動詞かにこだわっている(p103)のがなんとも面白い。

 また、アメリカにおける出版事情なども分かり色々と興味深い。例えば次のような記載だ。

<シャンクスは出版不況への不満を漏らし、実はここにいる作家の大半はこちらが期待するほど売れていないので、>(「シャンクス、殺される」(p137))

 出版不況が言われているのは、日本だけではなく、アメリカでもそうなのだと認識を新たにした次第だ。日米に共通する現象は何なのかと考えてみると、思い当たるのはネットの発達くらいしかない。

 また、「シャンクスの手口」では、自分を酷評した批評家のことをかなり気にしている(p170)。私も長く書評を書いていると、よく頂き物をするのだが、それに対して作者や出版社などからの反応が直接的、間接的に結構ある。例えば、ツイッターで拡散したり、コメントを寄せたりといったように。やはり、気にしているのだろう。私のような無名の人間に対してもそうなのだから、評者がある程度名が知られているとなると一層だと思う。

☆☆☆☆

※初出は、「本が好き!」です。
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