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文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

銭形平次捕物控 265 美しき鎌いたち

2023-03-21 09:03:23 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 お馴染み銭形平次のシリーズの一つだ。今回の事件の舞台は両国の軽業小屋。そこで大人気の綱渡り太夫のつばめという娘が、綱が切れて落下する。幸いその時は打ち身位で済んだが、今度は座頭の天童太郎が殺された。実は天童は、先の座頭でつばめの父親である久米の仙八の仇であり、一座を自分のものにしていた。果たして事件の犯人は誰か。

 出不精の平次だが、今回は気軽に出張っている。やはり美人が怪我をするというのが琴線に触れたのか。

 銭形平次の十八番のような投げ銭の場面は今回もなし。平次は見事に事件の真相を見抜くものの、犯人を縛ろうとはしない。平時には、死んだ人間が悪人だったような場合には、わざと真相を明らかにしないようなところがある。これが、「俺は刑事なので犯人を捕まえるのが仕事だ!」とばかり、事件の背景を全く考慮せずに、同情の余地がいっぱいの犯人でも逮捕してしまうという最近の刑事ものとは一線を画するところだろうと思う。そして平次が、手を引くと事件は完全に迷宮に入ってしまうのだ。こんな感じだ。

「八、もう歸らうよ、町役人に知らせて、明日の朝でも檢視をするんだね」
 興味を失つたやうに死骸を見捨てゝ、さつさと外へ出るのです。
「親分、下手人は?」
「知るものか、鎌いたちか何んかだらう」


投げ銭よりも何よりも、これが一番の平次の魅力だろうと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 167 毒酒

2023-03-15 09:27:26 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 

 

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秋期限定栗きんとん事件 <下>

2023-03-06 09:03:26 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 著者による「小市民シリーズ」の第3弾の解決篇。小鳩常悟朗と小佐内ゆきの小市民を目指すコンビが活躍する学園ミステリーである。ここでは二人は互恵関係を解消して、それぞれ彼女、彼氏ができている。小鳩君は、仲丸 十希子と言う同級生だが、小佐内さんは、瓜野高彦という一つ年下の彼氏だ。

 でも、どうもどちらもしっくりこなかったようで、一旦離れた二人だが、結局は元の鞘に戻ることになる。仲丸さんの場合は、本命の彼氏は別にいて、その他にも二股をかけている。そして小鳩君に対して思ったような反応をしてくれない。小鳩君評して「糠に釘」。

 そして、小山内さんの方は、もっとすごい。瓜野君は自信家だが、それをミスリードするように導いてぺちゃんこにしているのだから。

 小鳩君によって狼に例えられている小山内さんだが、どう見ても、女狐という称号?に相応しい気がする。しかし、小山内さんの動機ってなんやねん。相手は仮にもその時は彼氏だったんだろう。

「うん、小鳩君。また一緒にいようね。たぶん、もう短い間だと思うけど」(p214)

 

(前略)お互いの美学をわかり合うには、まだもう少し時間が必要だ。でも間に合うのかな。卒業まで、あと六ヶ月(p235)


そう二人は、卒業を控えた3年生なのだ。でも結局のところ、六ヶ月と言わず一生のような気がするのだが。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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秋期限定栗きんとん事件〈上〉

2023-02-04 08:23:01 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 米澤穂信さんの「小市民シリーズ」の第3弾となる。このシリーズ「春期限定」、「夏期限定」と続いているので、「秋期限定」の次は「冬期限定」かと思ったら、11年も間をあけて、「巴里マカロンの謎」というタイトルの作品が出た。ちなみに、未だに「冬期限定」と言うタイトルの作品は出ていない。なおこの作品はシリーズの中で唯一上下巻に分かれている。

 長らく、行方不明になっていた本作だが、なんとか見つけることができたので再読してレビューしたいと思う。とりあえず、上巻のレビューとなる。

 小鳩常悟朗と小佐内ゆきの小市民コンビが活躍する一応学園ミステリーということになるだろうか。一応と書いたのは殺人事件のような大きな事件は起こらないからだ。

 この巻では二人の互恵関係は解消されており、小鳩くんには、仲丸十希子と言う彼女ができる。そして小佐内さんの方は瓜野高彦という年下の新聞部員と付き合うようになった。この瓜野くん、活動方針で新聞部長とは衝突している。また十希子さんの方も小鳩くんの他に彼氏がいるらしい。そう何股もかけているビッチのようなのだ。たしかに昔読んでるはずだが、まったく記憶に残っていない。どうも下巻で、大どんでん返しが待っているような予感。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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山内くんの呪禁の夏。

2022-12-30 11:15:35 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 主人公の山内くんは不幸体質の小学六年生の少年。住んでいた姫路のアパ―トが火事で全焼したため、兵庫県の群部にある父の実家で暮らすようになった。その時、山内くんは父親の実家があることを初めて知った。父の実家のある町には5年前から来ていたが、それは墓参りのため。なぜか父親は実家のことを山内くんには言わなかったのである。いや実家のあることを知らないと相続のときなんかに困るだろう。世の中何があるか分からないので、意図せずそんな事態になってしまうかもしれないのだ。

 その町で出会った不思議な美少年コン太。山内くんには、コン太の口から火が出ているのが見えるのである。山内くんの名前が面白い。なんと「邪鬼丸」というのだ。コン太も美少年と思いきや、実は十妙院紺という美少女。邪鬼丸と言う名前も紺が男装するのも魔除けのためらしい。そうこの辺りには呪禁師が普通に住んでいるのだ。しかし、紺の男装はまだしも邪鬼丸と言う名前はまずいと思う。テストなんかの度に邪鬼丸と書かないといけないからだ。「山内邪鬼丸くん」なんて出席をとられたりしたら、絶対に笑われるぞ。まあ、この名前なら家庭裁判所に申請すれば名前を変えられる可能性は高いと思うが。

 この巻では、なんとなく山内くんの不幸体質の原因が分かる。しかしまだまだまだ伏線が残されている。まだ読んでないが、続巻もあるので、そちらの方で、謎の解明が行われるのであろうか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 016 人魚の死

2022-12-07 09:02:46 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この事件は、東両国の見世物小屋で起きた殺人事件に関するものだ。この見世物というのは、讃州志度(現在の香川県さぬき市大字)の海女という触れ込み(実は相模出身。相模というのは今の神奈川県)のお松、お村という二人の美人海女が、水槽に潜って、龍王の明珠を取るという見世物だ。この潜るときの恰好が美女が腰巻一つで上はすっぽんぽん。昭和の中頃までは、海女さんは、海に潜るとき上半身は丸出しだった。誰ですか?そのころに戻りたいという人は?

 このお松が水槽に潜っているときに殺される。いっしょに水槽に潜っていたのは、お村だけ。果たしてお村が犯人か? これに乗り出したのが平次という訳だ。最後は見事このトリックを見破り、お村の冤罪を晴らしている。

 ところでこのころは、まだ石原の利助は元気だったようだ。このシリーズでは利助は中風気味なので、変わって、娘のお品が娘御用聞きとして出てくる場合が多いのだが、この話には本人が出てくる。

 また、このころには、八五郎は岡っ引きとして独り立ちしているようだ。、相変わらず平次を親分と仰ぎ、何かあると引っ張り出そうとするが、平時からこんなお説教をくらっている。

「馬鹿ツ、人間の端くれは判っているが、ツイ此間お札を頂いて、それでも一本立の御用聞になつたばかりじゃないか」

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

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むすぶと本。 『外科室』の一途

2022-12-01 09:21:03 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 主人公は、榎木むすぶという高校1年生の少年。彼には不思議な力がある。本の声が聞こえるのである。

 舞台は聖条学園。そう野村美月さんの代表作ともいえる「文学少女シリーズ」の舞台ともなった学園だ。そのシリーズの重要人物で学園理事長の孫娘、文学少女シリーズのヒロイン天野遠子の友人でもある姫倉麻貴の長男である悠人(はると)が3年生に在籍しており、むすぶとも親しい。また、このシリーズでは、麻貴は学園の理事長になっている。つまり、この物語は「文学少女」より少し後の時代の話なのである。

 むすぶは、その力を使って、学園の様々な事件を解決していくのだが、本をモチーフにしているのは「文学少女」と同じである。収録されているのは次の5編だが、このうち「異世界湯けむり☆うふふ大戦」だけは架空のラノベで他はいわゆる名作文学が取り上げられている。

〇「長くつ下のピッピ」の幸せな幸せな日
 駅の貸本からめぐるがハナちゃんのところに連れて行って欲しいと頼まれる。

〇「異世界湯けむり☆うふふ大戦」の緊急で重要なお願い
 駅ビルの大型書店の新刊コーナーで、「異世界湯けむり☆うふふ大戦」の作者と出会う。彼は売れない作家で、なんとか続編を出したいと思っていた。

〇逆さまから見た、誰も知らない本
 むすぶと同級生の若迫くんが、急に変になった。どうも本に罹患したらしい。その本とはなにか。ちなみに本に罹患するとは、本の世界に入り込みすぎるという病のことだ。

〇「十五少年漂流記」のやんちゃすぎる夏休み
 町の図書館で出会った「十五少年漂流記」は冒険をしたいと言う。その話を悠人にすると、無人島へ行くことになる。なぜか若迫くんも同行して。

〇「外科室」の一途
 町の小さな図書館に、いつも「外科室」を借りる成年がいた。「外科室」とは泉鏡花の作品で伯爵夫人と高峰という医学士の禁じられた恋心を描いたものだ。

 むすぶの恋人は、夜長姫である。夜長姫というのは、坂口安吾の作品「夜長姫と耳男」に出てくる人物である。そう本が恋人という表現は、よく使われるが、むすぶの場合は本当に本が恋人なのである。安吾の作品に出てくる夜長姫は耽美で冷酷で残酷な性格だ。こちらの夜長姫は、嫉妬深く口癖は「呪う」なのだが、それで何か悪いことが起きたことはないようだ。それにどこかかわいらしいのである。

 むすぶと夜長姫との出会いなど、まだわからないことも多いが、だんだん明らかになっていくのだろうか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

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半七捕物帳 68 二人女房

2022-11-27 08:45:42 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 この作品は、半七捕物帳の中の話だ。このシリーズの多くの話と同様。前半はスリラー仕立て。後半は「不思議など何もなかった」とばかり、ミステリーにもどる。

 この作品も、明治になって、語り手に半七が思い出話をするというスタイルになっている。これは、半七が小金井に、幡随院長兵衛の法事で出かけたときの話だ。ついでに、府中の六所明神に参拝ということになった。六所明神とは、現在の大國魂神社でここでは闇祭りと書かれているが、くらやみ祭でも知られている。

 その闇祭りの夜、見物に来た四谷の和泉屋という呉服屋の跡取りの清七が宿場女郎のお国と心中してしまう。この府中には友蔵というとんでもないオヤジがいた。娘が二人いたが、なんと姉のお国を宿場女郎に売り、妹のお三は子守奉公に出しているという。清七はお国を身請けしようとしたが、友蔵は清七を騙して、身請けの金をだまし取ってしまう。この友蔵の家にはお国と清七が化けて出るとのもっぱらの噂だが、友蔵は平気の平左。相変わらず遊んで暮らしている。そして、この和泉屋の女房のお大が闇祭りの夜に江戸で行方不明になる。

 そして、闇祭りの見物に来た四ツ谷坂町の老舗の酒屋・伊豆屋の女房のお八重が、祭り見物の最中にこつぜんと消えてしまった。果たして二つの事件は関係があるのか。

 さすがは半七親分である。親分の名推理が冴えて、最後にはこの事件を見事に解決する。しかし、友蔵は最後には死罪になるのだが、もっと早く捕まえていれば、この悲劇も大分違ったものになったのではないだろうか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ホーンテッド・キャンパス 雨のち雪月夜

2022-11-09 08:13:42 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 本書は、櫛木理宇さんによる「ホーンテッド・キャンパスシリーズ」の第6弾となる。超草食系男子の八神森司と超絶美少女の灘こよみたち雪越大のオカルト研究会のメンバーが怪奇な事件に立ち向かうというものである。ただ、灘こよみは美少女なのだが、目が悪く矯正もできないので、いつも眉間にしわがよってにらみつけるような感じなので、知らない人が見ればびっくりするかもしれない。でも森司はこよみの事が大好き。こよみもどうも森司の事が好きみたいである。

 この巻に収められているのは次の4つの怪異。1,2話に共通するのはビョーキということだろうか。

〇旅籠に降る雨
 非常勤講師の元教え子である駿河木綿子(旧姓倉持)は、倒産寸前の旅館を見事に立て直した。ところが、この旅館で、カエルや石などが降ったりという怪異が続く。

〇白のマージナル
 オカ研副部長の三田村藍と黒沼麟太郎部長、その従弟の黒沼泉水との出会いと、オカ研結成のきっかけ。この話では藍の家族構成が分かる。どうも兄と6歳離れた双子の弟たちがいるようだ。

〇よくない家
 森司はこよみへのクリスマスプレゼント用の資金を得るために、引っ越しのアルバイトに精を出すが・・・。

〇異形の礎
 合コンに参加した連中が、いわくつきのトンネルの慰霊碑を倒してしまった。そして参加した女子学生の一人に怪異が起こる。

 この巻では、全体を通して、森司の中学時代の部活仲間である津坂浩太というのが登場する。スポーツ推薦で東京の某有名大学に進学したという設定だ。私に言わせれば、そんな大学つぶせよと思うのだが、現実としては運動関係の大会の時くらいしか名前を聞かない大学はたくさんある。そして、この津坂浩太の役割はどうみてもお邪魔虫。森司とこよみは周りがやきもきしながらも少しづつ近づいているのに、こいつは、こよみのレベルが高すぎと、森司には相応しくないと言い続ける。

 こよみの母親はどうも森司とこよみの間を認めているらしい。次のような言葉から明らかだろう。

「八神くん、かわいい顔してるものね。どっちに似てもかわいい孫が生まれるって、こっちとしちゃ安心よね、おとうさん」(p338)

もちろん父親は微妙な立場だ。娘が可愛くって、絶対に嫁にはやらんというやつである。でも森司の簿記の家庭教師をやってくれるんのだから、半分は認めているということかな。果たして森司とこよみの関係はどうなるのか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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逃げろ光彦―内田康夫と5人の女たち

2022-11-05 12:53:58 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 内田さんの浅見光彦シリーズはほとんど読んでいるが、そういえばこれはまだ読んでないと手に取った。収録されているのは5つの短編。5つの短編を収めていくので5人の女たちという訳だ。みな浅見光彦シリーズの話かと思ったが、光彦も内田センセも表題作しか出てこない。また、5人の女たちと言っているが、5人以上出てくるのはご愛敬。

 内田さんは警部に捜査させるのが好きなようだ。「信濃のコロンボ」シリーズに出てくる竹村岩男の階級も警部だ。警部が現場に出ることがないとは言い切れないが、一応所轄の課長レベルの階級である。どちらかというと自分で操作するよりは部下に指揮命令する方が主になるのではないか。

「濡れていた紐」に使われているトリックは、よく分からない。紐は濡らして乾いたら縮む。警察がそれに思い当たるように紐を濡らしたというのだが、濡らさない方が、密室だと判断されて、自殺となる確率が高いと思うのだが。それにドアノブをどこに縛ったんだろう。

 前に書いたように光彦が出てくるのは表題作の「逃げろ光彦」だけであるが、どうも違和感がある。なんかいつもの光彦とちょっと違うんだよな。やはり浅見光彦シリーズは長編に限ると思う。

 5作に共通してのテーマは「女は怖い」ということか。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

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