あるスーパーで買い物客の行動を補足する実験をしています。棚の上の画像認識センサーで客の行動を詳細に記録する実験です。商品の前で何分立ち止まったか、どの商品を手にとって戻したかなどを数値化してデータを蓄積するのです。記録した人数は1ヶ月で延べ6万人です。もちろん顔は認識せず個人を特定することはありませんが、それにしても自分の行動パターンが知らずして記録されていくと言うのは気持ちのいいものではありません。企業からすれば商品の包装を見直すか、陳列を変えるかなど判断材料を得られるとスーパーは言いますが、反対に言えば、そうまでして金儲けのために勝手に個人情報を利用していいのかという事です。
こんなものもあります。東日本旅客鉄道が駅構内に設置する自販機は、画像認識センサーで客の性別・年齢を識別し、あなたにお勧めの飲み物はと、相応しい飲料製品群を画面表示するのです。利用者の遊び心を掴みながら購買履歴データを収集し、新製品開発に生かすためです。このようにネットに繋がっていない現実世界も今やガラス張り状態なのです。防犯カメラやIC乗車券なども含め、本人が気がつかないうちに、日常生活の至る所で個人の一挙首一投足がデジタルデータとして大量に集められているのです。
こうなると「いずれ現実世界をググれる(検索できる)ようになる」と野村総合研究所のコンサルタントは指摘しています。実際「現実世界の検索」は始まっています。ある商業施設では、高精度カメラと顔認識技術を組み合わせて接客に活用しています。入口のカメラで買い物客を撮影、得意客の顔写真データと一致すると自動的にスタッフに通知し、対応に駆けつけるなどです。店としては購買を特定できれば手厚いサービスや好みに合う商品を提供できるでしょうが、どの店に行っても顔写真を取られ個人を特定し、その人の好みに合わせてセールスすると言っても、個人情報を勝手に収集される方は気持ちが悪いのではないでしょうか。これでは一歩間違えれば「監視社会」と変わらなくなってしまいます。これを利用者が便利と考えるか不安に思うかは紙一重なのです。
グーグルの元凶型情報機器「グーグルグラス」には、利用者の視界に沿った録画機能がありますが、盗み撮りを心配する声や「顔認識機能が加われば、交流サイト情報と組み合わせてすれ違う人の素性が分かってしまうのではないか」と言う懸念が絶えません。「現代社会では自身の情報を完全に隠し通すのは困難だと認識せざるを得ないのではないか」と言います。つまりメリットとデメリットを冷静に見つめることが大切ですが、個人の好むと好まざるにかかわらず、情報社会はどんどん監視型社会に近づいて行っているのかもしれません。今や身に付ける情報機器「ウエアラブル端末」が誕生し、個人の全てを検索できる時代が近づきつつあるのです。そんな情報に振り回される社会が本当に幸せな社会なのでしょうか。小説や映画に出て来るような監視社会が好むと好まざるにかかわらず、そう遠くない将来が近づいているのかもしれません。
一度ご自分の名前を検索してみてください。グーグルの検索にヒットするかもしれませんよ。
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こうなると「いずれ現実世界をググれる(検索できる)ようになる」と野村総合研究所のコンサルタントは指摘しています。実際「現実世界の検索」は始まっています。ある商業施設では、高精度カメラと顔認識技術を組み合わせて接客に活用しています。入口のカメラで買い物客を撮影、得意客の顔写真データと一致すると自動的にスタッフに通知し、対応に駆けつけるなどです。店としては購買を特定できれば手厚いサービスや好みに合う商品を提供できるでしょうが、どの店に行っても顔写真を取られ個人を特定し、その人の好みに合わせてセールスすると言っても、個人情報を勝手に収集される方は気持ちが悪いのではないでしょうか。これでは一歩間違えれば「監視社会」と変わらなくなってしまいます。これを利用者が便利と考えるか不安に思うかは紙一重なのです。
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