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 「ミランダ殺し」 マーガレット・ミラー 柿沼瑛子訳 創元推理文庫

2011-02-28 | 読書
「カリフォルニアのとあるビーチ・クラブに展開する恐ろしくもユーモラスな悲劇の結末。鬼才の異色サスペンス」

と言うのを読んでみた。

町の裕福な人が利用する会員制のクラブにいて、税金の使途が気に入らないと手紙を書き続けている老人。今で言う強硬なクレーマー。
9歳にしては悪知恵の働く少年、手に負えない姉妹などの常連がいる。

そして、亡き夫の遺言の認証を待っているミランダがいる。
が、彼女は、プールの監視員を連れて失踪してしまう。

そこに遺言書の認証手続きを任かされた、弁護士のアラゴンがくる。

寡婦になru
前からミランダは若さを保つために、怪しげな病院で山羊のリンパ腺の注射を受けていたという。

彼は彼女が隠していた行き先をすぐに突き止めてしまう。
まさに世を忍んで不思議な治療をする不思議な病院があった。

ミランダはプールの監視員を愛していると思いこみ、監視員がミランダを利用していることに気づかなかった。
彼はミランダの買い与えた高価な車に乗って消えてしまう。

クラブに舞い戻ったミランダは、すでに夫が裕福ではなく大きな負債を抱えていたことを知っていた。
もうクラブにいることはできない。

ところがわたりに舟。会員の海軍准将から、子供に礼儀作法を教える家庭教師を頼まれる。
彼女が住み込んだうちで、准将の妻が死に、ミランダが疑われ始める。


暇と金のある人たちの中にいるにはいるが、じつは暇も金も無なくその日暮らしのために悪知恵をフルに使って生きている人々。

そこでおきた犯罪は浮世離れのした、面白い展開になる。

そんな人たちの中で弁護士のアラゴンはミランダの遺産相続手続きが無事すまないと帰れない。
彼は混乱の中で秩序を見つけようとする。

おかしなおかしな小さな世界、富裕者の集まるクラブ。自由でわがまま勝手な姉妹もいる。子悪党の少年もいる。

筆致が機知に飛んで明るい。「ミランダ殺し」ミランダは殺すのか、殺されるのか。

解決は意外な方向で、と言うか少しは予期される結末。
軽いがよくできている、作風に好感を持って楽しく読み終えた。





読書

25作目 「ミランダ殺し」★4.5

26作目 「眠りなき夜」北方謙三
     谷と弁護士事務所を共同経営している戸部が失踪する。彼の知り合いだと見られる女性も
     行方不明になる。
     ついに谷が犯人と思われ指名手配され、容疑を晴らすために眠らない闇の中をはしる。
     タイムリミットが迫る。 
     一気に読める面白さだった。★4.5 

27作目  「陰の季節」横山秀雄 
      後の刑事小説の基になったと思える一冊。
      「震度0」に見える警察機構内部の軋轢と存在意識。「顔」みられる似顔絵の効果。 
      ストーリーの面白さと、今後の作品テーマが見えた。★4

28作目   「朝倉恭介」Cの福音 完結編 楡修平
      ここまで読んだら完結させなくてはならない 悪の恭介と正義の川瀬。胸のすくような恭介の
      悪事も終わりのときが来る。海にしずんだ彼は復活するのだろうか。彼を訓練したCIAは
      安心してもいいだろうか。大いなる悪の前では善なる心は影が薄い。
      夢中でよんだ話は一応完結。さびしい。★5



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