空耳 soramimi

あの日どんな日 日記風時間旅行で misako

なかよし小鳩組」 荻原浩 集英社文庫

2016-08-15 | 読書
 



またも切羽詰ったユニーバーサル広告社、のんきなのはバイトの猪熊エリカ(姓が気に入らず結婚願望が強い)。
杉山は久々のクライアント、結婚式場の鶴亀会館のコピーだが、頭を男にしたり女にしたり悩んでいる。
村崎はなめこの味噌汁にハンバーガーのいつもの朝(昼?)飯中。出来上がったイラストは、<鶴亀>だが彼好みの図柄で、鶴亀が空に舞っている、かと思えば火を噴くキングギドラvsガメラだ。真面目にやれ!!
社長の石井はよたよたと出勤。「冬来たりなば春遠からじ、大丈夫だといって、ナ、ナ」いよいよ会社の危機(らしい)

石井が張り切って言う「きたで、CIや」 CI(企業イメージ統合戦略)
小鳩組?本当にヤクザだったりしてね。村崎は言う。「ウホホホ」石井は笑ったがおかしくもなんともないことに気づく。

さて小鳩組。ピース・エンタープライズ・スクエアビルに居を構える、指定暴力団だった。三人は借りてきた猫、三すくみの「見猿聞かざる言わ猿」で、窓に鉄板を貼り付けた薄暗い応接室に座っている。周りはスキンヘッドや紋紋のおにいさん。
しかし、組にはインテリが控えていて追い詰められ(経済的危機でもあり)断るつもりが引き受けてしまう。

杉山は元妻の入院で娘の早苗を預かる。この子、サッカーフリークで、昼メロのファン。父性に目覚めた杉山は仕事を家に持ち込む。早苗の「鳩」の落書きがなかなかいい、村崎の妙な「ひょうたん」もいい。というので、紆余曲折、侃々諤々の脅しをあびながら、小鳩組長の鶴の一声でシンボルマークが決まる。

しかしCM、スポットにしても莫大な費用と時間が要る。社長の石井が何の考えもなく先払いの手形を使ってしまった手前、予算内で何とか納めたい。

市民マラソンがあるという、チャ~ンス!!杉山が閃いた。ゼッケンとひょうたん、鳩マークのシャツが5分映ればどうだ。いい宣伝になる。
さて、エントリーしたのは健康マラソンで少し体を作った杉山。高校時代驚異の記録を持つチンピラの勝也。
招待選手の横に並んでテレビに映らねば。
小鳩組挙げての応援と、2メートル近い村崎に肩車された早苗の声を背に走り出す。
でもこの際は、私、杉山より再生をかけた勝也を応援する。


いやまたまた面白かった。笑あり涙(?)あり。で一気読み。
娘の早苗がいい。組員のヤクザたちが、過去もありつつ何気に怖いを越える愛嬌もある。猪熊エリカさんは猪熊組の組長の娘だった!?、いいのこんなこと。でもこちらは小鳩組と対照的な事理と人情の統制の取れた集団(面白し)
ユニバーサル広告社、崖っぷち。
次の作品で落ちていなければいいが。






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