本の整理をしていたら、内田さんの本が4冊あった。中から「風葬の城」が出てきた。戊辰戦争で戦った後の亡骸は負け戦の常で埋葬もされず
風葬という悲しいものだった。シンプルなミステリで会津愛が深い作品だった。
「平家伝説殺人事件」「天河伝説殺人事件」はドラマでも見たし本も読んでみた。
でもこれはまったく覚えがなかった。
裏の解説を読むと「白虎隊」とある。会津に行った後にでも買ったらしい。天河に行った後で「天河伝説殺人事件」を買ったし。
頭の中に本のことは影も形もなかったが、会津の旅のことよく覚えている。お城に行かなかったのが心残りで、飯森山に上るときは
でもこれはまったく覚えがなかった。
裏の解説を読むと「白虎隊」とある。会津に行った後にでも買ったらしい。天河に行った後で「天河伝説殺人事件」を買ったし。
頭の中に本のことは影も形もなかったが、会津の旅のことよく覚えている。お城に行かなかったのが心残りで、飯森山に上るときは
スロープコンベアという動く歩道に乗った。
白虎隊の自刃の地はさすがに歩くのも恐れ多く、石碑が並び線香の煙が揺らいでいた。一度合掌してもう来ることはないように感じた。
白虎隊の自刃の地はさすがに歩くのも恐れ多く、石碑が並び線香の煙が揺らいでいた。一度合掌してもう来ることはないように感じた。
歴史とは見方によれば残酷で、そんなものかもしれないが。白虎隊はまだ幼い未青年ばかりだった。
飯森山から遠くにお城の影が見えた。
興味があって見たかった「サザエ堂」はねじれた古い建物で、構造は珍しく登り下りの階段が別の作りになっている、壁に彫り込まれた何体もの観音像が煤けてくすんだ陰に座っていた。仏は白虎隊の後で訪ねたので背後に何かありそうな恐ろしさを感じて駆けおりてしまった。一番先に外に出た小心者だったが、多分青天の明るい陽の元だったらもっと違った印象だったと思う。
というので前置きが長いが、内田さんのミステリは旅や歴史を織り込んであって読みやすく興味はあった。
今回、光彦は仕事で会津に来た。ルポの取材で漆器の製作所を訪ねる。会津の漆器は美しい。塗りの工程などの説明を聞きながら見学していると、生地の下塗りのコーナーで塗師の職人がうつぶせに倒れすぐに息を引き取った。光彦はその様子から他殺かもしれないと感じた。
お約束のように、観光客が生意気に口を出すな、と地元の警察が邪魔にする。
解剖をして他殺の線が固まった、東京を発ったというひとり息子が待てどくらせど着かない。
息子が胃薬だとくれたカプセルを飲んで死んだらしい。助けも呼ばないで苦悶の表情を残して死んだ父は、息子をかばったのだろうか、と光彦は思う。
しかし、道楽息子は今では歯科技工士になって歯科医院で働いている。地元の高校時代恋仲だった人に訊いてみると、帰らない訳は分からないが、
飯森山から遠くにお城の影が見えた。
興味があって見たかった「サザエ堂」はねじれた古い建物で、構造は珍しく登り下りの階段が別の作りになっている、壁に彫り込まれた何体もの観音像が煤けてくすんだ陰に座っていた。仏は白虎隊の後で訪ねたので背後に何かありそうな恐ろしさを感じて駆けおりてしまった。一番先に外に出た小心者だったが、多分青天の明るい陽の元だったらもっと違った印象だったと思う。
というので前置きが長いが、内田さんのミステリは旅や歴史を織り込んであって読みやすく興味はあった。
今回、光彦は仕事で会津に来た。ルポの取材で漆器の製作所を訪ねる。会津の漆器は美しい。塗りの工程などの説明を聞きながら見学していると、生地の下塗りのコーナーで塗師の職人がうつぶせに倒れすぐに息を引き取った。光彦はその様子から他殺かもしれないと感じた。
お約束のように、観光客が生意気に口を出すな、と地元の警察が邪魔にする。
解剖をして他殺の線が固まった、東京を発ったというひとり息子が待てどくらせど着かない。
息子が胃薬だとくれたカプセルを飲んで死んだらしい。助けも呼ばないで苦悶の表情を残して死んだ父は、息子をかばったのだろうか、と光彦は思う。
しかし、道楽息子は今では歯科技工士になって歯科医院で働いている。地元の高校時代恋仲だった人に訊いてみると、帰らない訳は分からないが、
もし何かあったら喫茶店のノートを見るようにと言っていたという(なんかすらすら進むではないか^^)
そして光彦はノートにあった近藤勇の墓地に行ってみる。勇は流山で土方と別れ捕縛されたということだが、縁のある会津でも墓を建てていた。
息子の死体は元恋人との想い出のあるデート場所のダム湖に浮いていた。無骨な担当刑事の可愛い娘が光彦と郷土の過去をつないで、
そして光彦はノートにあった近藤勇の墓地に行ってみる。勇は流山で土方と別れ捕縛されたということだが、縁のある会津でも墓を建てていた。
息子の死体は元恋人との想い出のあるデート場所のダム湖に浮いていた。無骨な担当刑事の可愛い娘が光彦と郷土の過去をつないで、
ここでも美人で気の利くお約束のマドンナが、何かと知恵を貸してくれる。
光彦の身分も終盤になって公開され、刑事局長の偉いお兄さんが顔を出して「光彦をよろしく」と言ったりして(今回はないが)
光彦の身分も終盤になって公開され、刑事局長の偉いお兄さんが顔を出して「光彦をよろしく」と言ったりして(今回はないが)
「お坊ちゃま」は照れる。
警察も一丸になって光彦に協力。勇の墓地から息子が隠した紙の束が出てくる。
歯科技工士が見下される恨みつらみを晴らそうとした、だが歯科医師のつながりは強い。
裏口入学、試験問題の漏洩を匂わし、二件の殺人事件は、シンプルなストーリ―になって解決する。
面倒な暗い小説を読みかけていたので、あまりの読みやすさに一気に頭がよくなったのかと勘違いをした。
警察も一丸になって光彦に協力。勇の墓地から息子が隠した紙の束が出てくる。
歯科技工士が見下される恨みつらみを晴らそうとした、だが歯科医師のつながりは強い。
裏口入学、試験問題の漏洩を匂わし、二件の殺人事件は、シンプルなストーリ―になって解決する。
面倒な暗い小説を読みかけていたので、あまりの読みやすさに一気に頭がよくなったのかと勘違いをした。
そんなめでたいことは起きるはずがない。
ごく最近誕生日という一里塚を超えたばかりで。
内田さんは、残念だけれど2018年に亡くなった。ドラマはあまり見てないけれど、初めて「死者の木霊」を読んだときは
内田さんは、残念だけれど2018年に亡くなった。ドラマはあまり見てないけれど、初めて「死者の木霊」を読んだときは
もうドラマが始まっていたが、あの面白いドラマの作者かと、興味深く読んだ。
たくさんある作品の中でも秀逸だと思った。ここでもダムだったかつり橋が出てきた。
すぐに読めて楽しい。いい読書だった。
講談社文庫で読んだが出ないので、書影は既出の祥伝社文庫にした。
たくさんある作品の中でも秀逸だと思った。ここでもダムだったかつり橋が出てきた。
すぐに読めて楽しい。いい読書だった。
講談社文庫で読んだが出ないので、書影は既出の祥伝社文庫にした。