がんで息苦しさ、たとえようのない圧迫感、激しい喘鳴で過ごしている場合、
今回は、もはやフェンタニルのテープは効果がありませんでした。
肺に腫瘍が広がり、胸水がたまり、呼吸をするのが苦しいです。
酸素飽和度も68%や72%です。さぞや苦しいに違いありません。
胸水を大学病院で抜いてもらっていましたが、腫瘍が広がって針をさせないと言われた
ために、水を抜くこともできないとのこと。
前の日に、緩和ケア病棟の医師に相談していましたが、最終的にはモルヒネの注射の
ほうが効果があると考えていました。
モルヒネの座薬を使いましたが効果がなく、本人も効かないと話していました。
ご家族が「楽にさせたい」とおっしゃったので、
ご本人の意思も確認して病院へ救急搬送することに決めました。
「もう家で使えることができる薬を準備することができません。
苦しいのを楽にするためにも病院へと思いますが、いいですか?」
ご本人もうなずきました。
遠くを見つめていた目は、何を見ていたのでしょうか。
先日の梶井基次郎の
「月から死亡通知が来そうだ」。を思い出していました。
これからの在宅医療、必要な物品や薬剤がすぐ手に入らないと、どうしても病院へ
行くしかないのでしょうか。
しかしながら、
「病院へ行ってもこの苦しさはあまりかわらず、眠るしかないかも知れません。
家でも眠ることができますがどうしますか?」
と、たずねたらまた違う返答だったかもしれません。
頼みの綱の病院も
「本人が無理でしょうから、家族の面談だけでもこられますか?」
「行かれないです。赤ちゃんをおぶっていかないと…
奥様も認知症ですし。」
吸引器を準備するのも大変でした。
レンタル業者に連絡しましたが在庫がなく、すぐに持ってこられないとのことで、
家族が仕事関係で調達しました。
ベッドや車椅子は仕方がありませんが、吸引器など急を要するものがないというのは
本当に苦しいです。
でも、後悔しています。
自分が付き添ってでも、家にいましょうって言えたら違ったかもしれません。
入院しても、奥様は付き添えません。
だったら、家にいたほうが良かったのでは?
娘さんも、赤ちゃんがいるなら余計に家が良かったのでは?
でも、苦しみをとってあげれなかった、病院だったら処置してくれたのに、
って後悔するかもしれません。
モルヒネの座薬と、ステロイドの座薬も翌日でなければ手に入りませんし、
しかも日中しか手に入れることができません。
近くの調剤薬局は24時間ではないからです。
今後、どうなるのでしょう?
家族がいるにもかかわらず、手に入らないものがスムースにはいらないことによって
在宅に居られないことがたくさんありそうです。
それにしても、満月の日。月は見えなくても影響力が大きいです。
冷たい表情を見なくて済んだから、良かったのかもしれません。
凹むこと、辛いこと、悲しいこと、訪問看護の事務所の引越し、
小児慢性のわずらわしい保険請求などが加わって気分転換したかったので、
意識がなくなるまで走りたくなって、
ひたすら研究室のモルモットのように走り続けました。
せめて写真集で月光浴しましょう。