~ギター名曲集~
タルレガ:アルハンブラの想い出/アラビア風奇想曲
アルベニス:入江のざわめき/レイエンダ
モーツァルト(ソル編):“魔笛”の主題による変奏曲
スペイン民謡:ロマンス
ヴィラ=ロボス:前奏曲第1番
ムダーラ:ファンタジア
サンス:パバーナ&カナリオス
リョベート:3つのカタロニア民謡(アメリア姫の遺言/盗賊の歌/聖母と御子)
バッハ(セゴビア編):シャコンヌ(無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番より)
ギター:クリストファー・パークニング(タルレガ、アルベニス、スペイン民謡、
ヴィラ=ロボス)
アリリオ・ディアス(モーツァルト、サンス、リョベート、バッハ)
オスカー・ギリア(ムダーラ)
LP:東芝EMI EAC‐40033
ギター音楽を聴くと何かほっとした気分に浸れる。ピアノやヴァイオリンそれに管楽器を聴くと、多かれ少なかれ、何がしかの威圧感のような緊張感が常に付いて回ってしまう。それに対し、ギターの音色を聴くとその瞬間から、回りの空気がどことなく穏やかになり、リスナーはその中で夢ごごちで音楽を思う存分聴くことができるのだ。その一方では、ギターは“小さなオーケストラ”とも言われている通り、一つの楽器とは到底思えないほどの音の広がりを我々に聴かせてくれる。このLPレコードは、そんなギター音楽の名曲中の名曲を一堂に集めて、一流の演奏家が心を込めて演奏してくれている、誠に楽しくも懐かしい一枚。ギターの柔らかい音色に浸るのは、LPレコードが一番なのだ。「アルハンブラの想い出」は、タルレガがアルハンブラ宮殿を訪れた印象を綴った曲。「アラビア風奇想曲」は、タルレガの作品の中で最もロマンチックな作品。「入江のざわめき」は、アルベニスのピアノ曲集「旅の思い出」の1曲。「レイエンダ」は、アルベニスのフラメンコ風な曲。「“魔笛”の主題による変奏曲」は、モーツァルトのオペラを基にソルが書いた変奏曲。「ロマンス」は、“禁じられた遊びのテーマ”として知られている曲。「前奏曲第1番」は、ヴィラ=ロボスの「前奏曲集」(全5曲)から1番目の曲。「ファンタジア」は、16世紀のムダーラの曲で、ハープを真似た作品。「パバーナ&カナリオス」は、17世紀のサンスの優雅な宮廷舞曲。「3つのカタロニア民謡」は、リョベートがカタロニア民謡を編曲した曲。「バッハ:シャコンヌ」は、セゴビアがギター曲へ編曲した作品。このLPレコードで演奏しているのは、スペイン出身のギターの神様アンドレス・セゴビア(1893年―1987年)の門下生の俊英3人である。クリストファー・パークニング(1947年生まれ)は、米国出身の初めての天才的クラシック・ギタリスト。演奏スタイルは、均整のとれたなかにも瑞々しい歌心を通わせたもので、アンドレス・セゴビアも「まれにみる天分に恵まれた若者」と絶賛していたと言う。アリリオ・ディアス(1923-2016年)は、南米ベネズエラ出身のギター演奏の大家。セゴビアの教えを受け、師の助教授も務めた。歯切れの良い明確なテクニックには定評がある。イタリア生まれのオスカー・ギリア(1938年生まれ)は、パリ国際ギター・コンクールに優勝し、セゴビアの助教授に選ばれた、こまやかなニュアンスに富んだ演奏が持ち味だ。(LPC)