プロコフィエフ:ピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」
スクリアビン:ピアノソナタ第3番
ピアノ:サンソン・フランソワ
LP:東芝EMI EAC‐70094
プロコフィエフ(1891年―1953年)は、学生時代からロシアを代表する世界的作曲家としてその名を知られていたが、その後起こったロシア革命のため祖国を後にし、日本経由で欧米に亡命した。さらにその後は革命後の旧ソ連に戻り、表面的には当時の政府の意向を取り入れて作曲活動を続けた。逆に旧ソ連政府も既に世界的な大作曲家として知られていたプロコフィエフに対しては、他の芸術家にしたような露骨な圧力を掛けなかったようである。そんな中、ドイツ軍のソ連侵攻が始まり、これを基に作曲されたのがピアノソナタ第7番「戦争ソナタ」である。当時、プロコフィエフは、それまでの作曲様式をかなぐり捨てて、20世紀の新しい音楽を創作していたが、この「戦争ソナタ」にも、そんな意欲的な作風が聴いて取れる。この第7番は、第6番、第8番とともに1939年に着手された。祖国が危機に逼迫していた時に書かれたものではあるが、個性的な特徴が消化された作品に仕上がっており、プロコフィエフを代表する作品の一つとなった。この曲はリヒテルによって初演され、当時、熱狂的な成功を収めている。一方、スクリアビン(1872年―1915年)は、プロコフィエフの一世代前のロシアの作曲家で、ショパンへの傾倒を見せると同時に神秘主義哲学への憧憬もあり、その作風は極めて独特な感性を持っている。全部で10曲のピアノソナタを作曲したが、このLPレコードでは初期の傑作である第3番が収録されている。特徴ある旋律やリズム、それにハーモニーがきめ細やかなに表現される。このLPレコードでのピアノ演奏は、フランスの名ピアニストであったサンソン・フランソワ(1924年―1970年)。このLPレコードにおいて、フランソワならではの感性がこの2曲のピアノソナタに色濃く反映され、歴史的名盤となっている。サンソン・フランソワは、第二次世界大戦後のフランスにおける代表的なピアニストの一人で、ショパンやドビュッシー、ラヴェルなどの演奏を得意とした。フランス人の両親の間にドイツで生まれるが、1934年、一家でニースに戻った時、アルフレッド・コルトーに見出されて、1936年にエコールノルマル音楽院に入学、1938年、パリ音楽院に入学後は、マルグリット・ロン、イヴォンヌ・ルフェビュールに師事。1940年に同音楽院を首席で卒業した。1943年第1回「ロン=ティボー国際コンクール」で優勝。1947年にアメリカデビューを飾り、その後も世界各地で演奏活動を行う。3回の来日歴がある。(LPC)
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