★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ベイヌム指揮アムステルダム・コンセルトヘボウのブラームス:交響曲第2番/第3番

2020-01-23 09:41:00 | 交響曲(ブラームス)

ブラームス:交響曲第2番/第3番

指揮:エドゥアルト・ファン・ベイヌム

管弦楽:アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団

録音:1954年5月17日~19日(第2番)/1956年9月24日~25日(第3番)、アムステルダム・コンセルトヘボウ

発売:1975年

LP:日本フォノグラム(フィリップスレコード) PC‐1583
 
 このLPレコードは、巨匠エドゥアルト・ファン・ベイヌム(1901年―1959年)が、アムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団を指揮し、ブラームス:交響曲第2番/第3番を録音したもの。ブラームスは、交響曲第1番の作曲に20年もの歳月を使ったのに対し、交響曲第2番の作曲は、僅か4ヶ月という短期間で書き上げてしまった。これは、第1番の評判が良く、大いに自身を深めたことによると思われる。作曲した場所は、オーストリアのアルプス山麓のウェルター湖畔にある寒村ペルチャッハであった。ブラームスは、この地を甚く気に入ったようで、そこでの楽しい生活で得た霊感と美しい自然から受けた感動を基に、いわば即興的に書き上げたのが交響曲第2番である。この交響曲は、よく“ブラームスの田園交響曲”と呼ばれる。これは、ベートーヴェンの“田園交響曲”から名付けられたもの。一方、交響曲第3番も、避暑地(ウィスバーデン)で6ヶ月という短期間で書き上げられた。やはり、これもブラームスの当時の生活状態が甚だ順調であったからだろうと推測できる。この交響曲第3番は、よく“ブラームスの英雄交響曲”と呼ばれる。これはベートーヴェンの“英雄交響曲”になぞらえたもの。このLPレコードで指揮をしているエドゥアルト・ファン・ベイヌムは、オランダ出身の名指揮者。1938年からはメンゲルベルクとともにアムステルダム・コンセルトヘボウ管弦楽団の首席指揮者に就任したが、メンゲルベルクがナチスへの協力でスイスに追放されると、ベイヌムは音楽監督兼終身指揮者に就任した。このほかにロンドン・フィルの首席指揮者、ロサンゼルス・フィルの終身指揮者としても活躍した。しかし、ブラームスの交響曲第1番のリハーサル中に心臓発作で倒れ、急逝した。57歳という若さであった。その指揮ぶりはあくまで正統派であり、力強さと構成力の雄大さでは、一際抜きん出た存在であった。特にベートーヴェンやブラームスなどの指揮では、他の追随を許さないものがあった。このLPレコードでも、その本領を遺憾なく発揮しており、真正面から曲に向かい、曖昧さは些かもなく、実に力強く、奥行きの限りなく深い名演を聴かせる。今は、ベイヌムのような正統派の指揮者は少なくなってしまった。残念なことではある。それだけにこの録音は一層貴重なものに思えてくる。(LPC)


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