プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」
指揮:ヘルベルト・フォン・カラヤン
管弦楽:ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
配役:ミミ ミレッラ・フレーニ(ソプラノ)
ロドルフォ ルチアーノ・パヴァロッティ(テノール)
ムゼッタ エリザベス・ハーウッド(ソプラノ)
マルチェルロ ローランド・パネライ(バリトン)
コルリーネ ニコライ・ギャウロフ(バス)
ショナール ジャンニ・マッフェオ(バス)
ブノア ミシェル・セネシャル(テノール)
アルチンドロ ミシェル・セネシャル(テノール)
パルピニョール ゲールノート・ピエシュ(テノール)
税関の役人 ハンス・ディートリッヒ・ポール(バリトン)
巡査部長 ハンス・ディーター・アッペルト(バス)
合唱指揮:ワルター・ハーゲン・グロル
合唱:ベルリン・ドイツ歌劇場合唱団
シェーネベルク少年合唱団
LP:LONDON TLR-7010 SLC-7191~2
プッチーニ:歌劇「ラ・ボエーム」のボエームとは、ボヘミアン(ボヘミア人)を意味する言葉であり、ジプシー(ロマ)出身の芸術家たちがパリにやってきて、何ものにもとらわれない生活を送る情景を描いた、このオペラに登場する人達のこと。原作は、フランスの作家アンリー・ミュルジェの23章の短篇からなる小説「ボヘミアンたちの生活情景」で、1851年に出版された。これは、パリのラテン区に住む若人気質を興味深く綴ったもので、登場人物の四銃士と呼ばれた4人の男たちを含め実在の人物であったらしい。初演は、その時29歳のトスカニーニが指揮して、トリノのレッジョ劇場で行われ、結果は、まずまずの成功であった。その後、イギリスでの上演が好評で、ヨーロッパ各地で上演され、1900年にはメトロポリタン歌劇場で上演され賞賛された。第1幕は、クリスマス・イヴのパリのカルチエ・ラタンにあるボヘミアン仲間が暮らす屋根裏部屋。ボヘミアンの男たちの会話のやりとりや家主の追放、3人の仲間の退場から気分が一転し、ミミの登場で甘美な旋律によるロドルフォとの情緒豊かな愛の場面が展開する。第2幕は、クリスマスを祝う群集で賑わう通りで、物売りが口々に声を張り上げている。ダンフェール門の市外との関税所前。この幕は、スぺクタルトとアンサンブルの饗宴で、ムゼッタと演出家の見せ場となっている。第3幕は、翌年の2月、小雪模様のどんよりとした寒そうな朝。別れる気の二人がいたわりあって帰り、そんな気のない二人が喧嘩別れになる場面。ミミとロドルフォの甘美な重唱と、マルチェルロとムゼッタの罵り合う重唱、それが一つになる四重唱が有名。第4幕は、数ヶ月後、再び屋根裏部屋。ムゼッタは金持ちの所で世話になっていたミミが、死ぬ前に一目ロドルフォに会いたいというので連れて来たことを三人の仲間に語る。ショナールがふとミミを見ると彼女はすでに息絶えていた。そっと皆に知らせると、ロドルフォは周りのただならぬ様子に事態を察し、ミミの亡骸にすがりついて泣き臥す。このLPレコードで指揮をしているのがヘルベルト・フォン・カラヤン、管弦楽がベルリン・フィル。カラヤンの高い統率力とベルリン・フィルの完璧な演奏能力を存分が発揮され、数ある「ラ・ボエーム」の録音の中でも、今でも一際輝いている。歌手陣は、ミミ役のミレッラ・フレーニ(1935年―2020年)をはじめとして、いずれも情感を持って、それぞれの配役を見事に歌い上げている。録音状態も良好。(LPC)