グリーグ:きみを愛す
おはよう!
王女さま
ソルヴェイグの子守歌
待ちのぞみつつ
はじめての出逢い
わたしは春に詩を与える
ご忠告ありがとう
ソルヴェイグの歌
ばらの季節に
黙っている夜鶯
わが思い、いつの日か
マルグレーテの子守歌
さくら草を手に
春の雨
春
ソプラノ:カリー・レファース
ピアノ:ユストゥス・フランツ
録音:1978年5月、ミュンヘン
LP:日本コロムビア OX‐1142‐K
ノルウェーの大作曲家のグリーグの名を聞くと、3曲のヴァイオリンソナタ、ピアノ協奏曲、劇音楽「ペール・ギュント」、4つのノルウェー舞曲、それに管弦楽曲「ホルベアの時代から」などの作品を、まず思い出す。これらに加え、忘れられない曲として、ピアノ独奏曲「抒情小曲集」そして、珠玉のような幾つかの「歌曲」を挙げることができよう。ピアノ独奏曲「抒情小曲集」は、何かピアノによる詩集のようでもあり、情感の篭った独特の味わいが、一度聴いたら忘れられない印象を残す。これと同じく、「歌曲」も、「抒情小曲集」と同様に、グリーグならではの素朴な抒情味に富んだ作品が多く残されており、今でも多くのリスナーから愛好されている。このLPレコードは、ノルウェー出身のソプラノであるカリー・レファースが、グリーグのお馴染みの歌曲「きみを愛す」「ソルヴェイグの歌」「ソルヴェイグの子守歌」「春」などを歌ったもの。カリー・レファースの歌声は、可憐でチャーミングな声質が特徴であり、これが素朴な味わいのグリーグの歌曲にぴたりと合っている。これまで数多く録音されてきたグリーグの歌曲の中でも、このLPレコードは、未だに生命力を持ち続ける名録音(1978年の録音)として挙げることができる。このLPレコードに収められた歌曲のうち、「ばらの季節に」「黙っている夜鶯」「わが思い、いつの日か」だけがドイツ語で歌われ、それ以外は全てノルウェー語で歌われている。ノルウェー語に基づいた詩に、ノルウェー人であるグリーグが作曲した歌曲を、ノルウェー人のソプラノのカリー・レファースが歌っているわけで、これにより、詩が本来持っている生命力を十分に発揮させることを可能としている。このことは、日本の歌曲を考え合わせてみれば、容易に類推できよう。ちなみに、最初に収められている歌曲「きみを愛す」の詩の内容は、「君を愛す。この世の何にもまして君を愛す。今も、そして永遠に!」と、ただそれだけの短い詞にグリーグが作曲した作品であり、グリーグが歌手であった妻に、婚約のときに贈った歌とされている。ピアノのユストゥス・フランツ(1944年生れ)は、ドイツ、ホーエンザルツァ(現ポーランド領)出身。出来る限り幅広い聴衆にクラシック音楽を広めるため、1986年に「シュレースヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭」を創設し、1994年まで音楽祭の監督を務めた。その後、同音楽祭は世界的水準の音楽祭に成長を遂げている。(LPC)