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他党のことはいえても、自己規定ができない政権
政府がどんな結論をだすのか、それが今、求められているのですが、いまだにはっきりしません。
鳩山首相は、これについてメルマガでこういっています(参照)。毎日新聞がこれをとりあげています。
鳩山由紀夫首相は7日配信の「鳩山内閣メールマガジン」で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の移設問題について「前政権のように、対米追従の日米関係に疑う余地もなければ、新たな検討も必要ないのかもしれません。しかし、我々はこの問題で日本の意思を明確に示したい」と、麻生政権の外交姿勢を対米追従と批判。対米追従路線から脱却し、「県外・国外」も視野に入れた見直しを検討する考えを強調した。
首相は「前政権の野党時代から我々が主張してきた沖縄の基地問題に対する考えは、政権交代がなされた今こそ実現しなくてはならない」と指摘。その上で「移設先には沖縄県内・県外、日本国内・国外とありとあらゆる選択肢を真剣に検討し、結論を導き出したい。いたずらに結論を先延ばしする気持ちは毛頭ないが、安易に『いつまでに』と言えるような問題ではない」との考えを示した。 |
麻生政権を対米追従と鳩山氏は指摘しています。これはあたっていると思います。が、では、自らの政権はどんな日米関係をめざすのか。これが問われている。
民主党のマニフェストによれば、「51.緊密で対等な日米関係を築く」という項にこうあります。
- 日本外交の基盤として緊密で対等な日米同盟関係をつくるため、主体的な外交戦略を構築した上で、米国と役割を分担しながら日本の責任を積極的に果たす。
- 日米地位協定の改定を提起し、米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む。
緊密で対等な日米関係というのはどういうものか見極めるには、具体的には、たとえば日米安保条約をどうするのかが明らかにされないといけません。そして、問題の普天間基地移転問題にかかわっては、「米軍再編や在日米軍基地のあり方についても見直しの方向で臨む」というのが、民主党のいわば公約でした。でも、これ自体、抽象的ですね。「見直しの方向で臨む」というのは、見直しを視野に入れることはのべているのですが、見直すかとのべているわけではありません。留保がついている。
公約でも、こんな不透明な部分を残し、現在にいたっても態度を鮮明に、換言すれば統一的な政策の方向を、示しえないところに最大の問題がある。
なるほど、鳩山氏は前政権を対米追従と批判しましたが、その対米従属の大本には日米安保条約があるのですから、具体的に民主党政権は日米安保にどんな態度をとるのか、それがはっきりしてこそ、今後の日米関係のあり方が決まるはずです。
鳩山氏のメルマガに典型なように、民主党政権の態度はこうだということを明示することなく日米関係という言葉が一人歩きし、沖縄の基地移転問題にしても、政府のとるべき方向が明確にされないまま、事態が動いているという点では、ストレスは溜まる一方でしょう。方向性がみえないという不安。これは、他者をいろいろと規定できても、自らを規定することはできないという民主党現政権の事情がある。仮にそうすれば、膨れすぎた同党の存在そのものを脅かしかねないからです。
政府は、国民・有権者の不安をとりのぞくこと、これも重要な仕事のはずなのですから、早々に懸案事項で統一した見解を明らかにしないならば、国民・有権者との溝は広がるばかりだということははっきりしているでしょう。
(「世相を拾う」09252)
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