曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

米が露を悪と見るとき、露は米を悪と見る

2015年03月17日 09時44分24秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                  

「植草一秀の『知られざる真実』」

                          2015/03/16

 米が露を悪と見るとき、露は米を悪と見る

           第1103号

   ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2015031608000025648
   EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-26317.epub
────────────────────────────────────
本日、3月16日の午後8時から、

UIチャンネル

http://live.nicovideo.jp/gate/lv213321643

で、

鳩山友紀夫元首相
孫崎享氏
高野孟氏

による鼎談

「クリミアの現状と日本外交の在り方」

が生放送される。

番組紹介では、

「鳩山氏がクリミアを訪れ、大騒動になっているが、その真相を同行した
高野氏と共に語り、さらに孫崎氏を交えて日本外交の在り方を考える。」

とある。

鳩山元首相のクリミア訪問に賛成の人も反対の人も、ぜひ番組をご覧いただ
き、鳩山氏の真意を知るべきである。

メディアの多くが鳩山氏の行動に批判的な報道を展開し、現在の腐敗した民主
党の幹部も鳩山氏を批判しているが、的外れの批判をしている者が、実は日本
の国益を損なっていることを、賢明な市民であるなら洞察できるだろう。

この問題に焦点が当たることにより、

本当のところ、誰が正しく、誰が間違っているのかが、浮き彫りになる。

鳩山元首相は、そこまで読み抜いて行動しているのだと推察される。



クリミアの問題も、その端緒となったウクライナの問題も、見方は当初から二
分されているのだ。

米国を中心とする西側の国は、西側の利害からこの問題を捉えて論評してい
る。

一方で、ロシアを中心とする東側の国は、東側の利害からこの問題を捉えて論
評している。

立場が変われば評価が変わる。

どちらが正義でどちらが悪魔であるのかは、自分の立ち位置、価値尺度によっ
て全面的に変化する。

しかし、日本では米国が主導する情報だけが流布される。

しかし、その見解、論評は絶対的なものではない。

多種多様な意見、見解があるなかで、米国が主張する見解、意見なのである。

したがって、それが絶対に正しいなどという保証はどこにもないし、それだけ
が唯一の真理などということはまったくありえないのである。

日本という国が、

「思想及び良心の自由」

を基本的人権として保障する国であるなら、クリミアのロシア編入についての
見解、主張についても、「自由」が認められる必要がある。

米国には米国の立場があり、米国の主張があるだろう。

それはそれでよい。

しかし、その見解があるからと言って、

「他の見解は悪だ」

「他の見解を述べることは国益に反する」

などと論評することは、あまりにも浅はかなことだ。

民主党の枝野幸男氏や岡田克也氏が、分別もなく鳩山友紀夫氏批判を展開して
いること自体が、これらの人物の底の浅さ、見識の低さを鮮明に物語ってい
る。

米国がロシアによるクリミア編入を認めないというだけで、なぜ、すべての日
本国民がその見解に同意しなければならないのか。

開いた口がふさがらない。

総理大臣まで経験した人物が、沈思黙考して、その結果として行動しているの
である。

鳩山氏の行動に賛成者がおり、反対者がいることは不思議でも何でもない。

しかし、反対だからといって、旅券を取り上げろなどと発言することは、良識
の欠如、品格の欠如、基本的判断能力の欠如を告白しているに等しい。



ウクライナは東西のせめぎ合いの核心地帯に立地する国であるる。

冷戦終焉後、東と西が、ウクライナをめぐって綱引きを演じ続けているのであ
る。

ヤヌコビッチ政権が倒され、ポロシェンコ政権が樹立されたが、この政権に正
統性があるのか否かについてさえ、見解は分かれるのである。

米国が背後で謀略を展開して、前政権を不正に倒し、ウクライナという国家を
乗っ取ったとの見立ても成り立ちうるのだ。

この見解に立てば、現在のウクライナ政権こそ、批判の対象にされるべきだと
いうことになる。

大事なことは、双方の主張に真摯に耳を傾けて、和解の道を探ること、平和解
決の道を探ることである。

鳩山元首相は、日本の現在の風潮が、対米隷属に偏り過ぎているとの判断に
立って、あえて、見解はただひとつではないのだということを、広く人々に知
らしめるために行動しているのだと思われる。

何も考えず、ひたすら米国にひれ伏し、米国が操る情報にただ流されるだけの
人物を、国会から追放することを考えることが、国民の利益、国益を増大させ
る方向に働くのではないか。



ウクライナは欧州における東西の対決点であると言って過言でない。

同時にウクライナは巨大な地下資源をも有しており、その利権を巡る争奪戦も
熾烈である。

2004年以来、ウクライナでは政治的な動揺が続いてきた。

親ロシアの主張を示すヤヌコヴィッチ氏と親西欧の主張を示すユシチェンコ氏
が大統領の座を争った。

選挙でヤヌコヴィッチ氏が大統領に選出されたが、

「不正選挙」

の批判が巻き起こり、首都キエフを中心に大規模な抗議行動が展開された。

この模様が世界のマスメディアを通じて大きく報道された。

西欧側の情報誘導が優勢となって再選挙が行われた結果、ユシチェンコ氏が大
統領に就任したのである。

この政治騒乱は「オレンジ革命」と呼ばれており、西側、東側で、問題の受け
止め方は正反対である。

米国が背後からユシチェンコを支え、ロシアが背後からヤヌコヴィッチを支え
る構図だったのである。



こうして親西欧政権が誕生したが、ユシチェンコ大統領は内部で盟友であった
ティモシェンコ女史などと対立するなどして国民の支持を失った。

その結果として、2010年の大統領選ではユシチェンコ氏と闘ったヤヌコ
ヴィッチ氏が大統領に選出され、ウクライナは親ロ政権に転換したのである。

このなかで、焦燥感に駆られたのが欧米陣営である。

2013年11月にヤヌコーヴィチ政権が欧州連合との政治・貿易協定の調印
を見送ったことを契機に、親欧米勢力および極右勢力である全ウクライナ連合
「自由」などによる反政府運動が勃発した。

デモ隊は暴徒化し、ウクライナは一種の内乱状態に陥り、ヤヌコヴィッチ大統
領が国外に脱出したことを名目に、一種のクーデター政権が樹立されたのであ
る。

西欧から見れば新政権が正統政権であるが、ロシアの側から見れば、新政権に
正統性を付与することはできない、との判断になるのは当然のことである。

ウクライナ政変の背後にはCIAの影が蠢いており、過去に米国が手掛けてき
た世界における卑劣な謀略工作の数々を見れば、今回のウクライナ政変も、米
国が主導した謀略であると推察することは正鵠を射ているようにも思われるの




こうしたことを踏まえれば、ものごとの判断は難しい。

すべての判断、主張は、依って立つ立場によって大きく変化する。

米国の利害を軸とするものの見方と、ロシアの利害を軸とするものの見方とで
は、判断は恐らく180度異なるものになるだろう。

米国の見立て、米国の主張に耳を傾けることは必要だが。大事なことは、それ
がすべてというわけではないことだ。

国会議員が、ウクライナ、ロシア、クリミアの歴史的背景をも理解せず、ただ
単純に米国の見解に絶対服従すべきだなどという浅はかな考えで行動する姿
は、日本政治の未熟さ、貧困を象徴するものである。

あまりにも恥ずかしい行為である。



米国にひれ伏す人々は、現地の実情をも知らずに、

「クリミアを併合したロシアは悪」

とだけコメントする。

そのような「論」がマスメディアを通じて垂れ流されているからだ。

しかし、クリミアに在住する人々が、ロシアへの帰属を本当に求めているな
ら、クリミアのロシアへの併合は正統性を持ち得ることになる。

クリミアに住む人々も多くが親ロシアの考えを有しているのかどうかは、実際
に現地で確かめなければ知りようのないことである。

「百聞は一見に如かず」

なのだ。

現地を訪問して、現地の実情を知ろうとすることは、決して無益の行為ではな
い。

大いなる意義のあることだと言ってよいだろう。



日本は一体いつから、一党独裁の国になったのか。

アメリカが好きで、アメリカに蹂躙されたい、ひれ伏したい、土下座したいと
思う人は、その嗜好に合わせて対米隷属の行動を示せばよいだろう。

しかし、そのような土下座外交ではダメだ、と考える人もいるだろう。

日本が自由主義の国であるなら、ひとりひとりの思想、良心の自由に土足で踏
み込むことは控えるべきだ。

人それぞれに、行動の流儀は異なる。

日本はロシアと領土問題を解決しなければならない関係にある。

鳩山友紀夫氏の祖父の尽力で、日ソの国交は回復し、シベリア抑留者の帰還が
実現した。

鳩山一郎首相も米国からは攻撃を受けた。

日本政治においては、米国にひれ伏す、米国に対して土下座外交を展開すれ
ば、米国からの覚えがめでたくなり、政権は支援を受ける。

しかし、米国に服従しない、米国に対しても主義主張を貫く人物は、ことごと
く激しい攻撃に晒されてきたのである。

このために、鳩山友紀夫氏も、激しい攻撃を受け続けているのである。



米国にひれ伏し、ものごとをさまざまな角度、さまざまな立場から見ようとす
る努力を怠ることが、国の進路を誤るもとになる。

さまざまな立場がある。

さまざまな価値判断がある。

それらのすべてに真摯に耳を傾け、相互理解と相互尊重の関係を築くことが大
事なのであって、そこから「平和と繁栄」がもたらされるのだ。

「偏狭なナショナリズム」

は国民に幸福をもたらさない。

70年前に、私たち日本国民を痛いほど思い知らされたのではないのか。

偏狭なナショナリズムに走り、無益で無謀な戦争に突き進む愚を二度と繰り返
してはならないのである。

 



最新の画像もっと見る

コメントを投稿