熊本・鹿児島でも共感広げる れいわ新選組・山本太郎の街頭記者会見(文字起こし)
横に繋がって政治変える
九州ツアーを展開中のれいわ新選組・山本太郎代表は、16日に熊本市の熊本パルコ前、18日には鹿児島市の天文館アーケードで街頭記者会見をおこなった。いずれの会場でもアーケードを埋めるほどの聴衆が詰めかけた。仕事帰りに足を止める現役世代や下校中の高校生の姿もあり、そのまま立ち去ることなく最後まで真剣に聞き入る姿が目立った。演説は市民からの質問や意見に山本代表が答える対話形式でおこなわれ、消費増税や社会保障、働き方改革、少子化問題など市民生活に身近な問題をテーマに、一部の大企業の代理政治がまかり通る現状を変えるため市民が横に繋がって力を結集することを呼びかけた。熊本、鹿児島での演説を抜粋して紹介する。
◇ 熊 本 ◇
山本代表 あまりにも今の社会は生きづらい。生産性で人間の価値がはかられ、役に立っているのかいないのかで人間の価値が線引きされる。1年間で自殺する人の数は現在2万1000人近い。戦争も紛争もない日本で毎年2万人をこえる人人が追い詰められ命を絶っている。自殺未遂は50万人をこえている。カウントされた件だけでこれだけある。死にたくなるような社会を変えたい。生きていてよかったと思える社会をつくりたい。
現在の政治でもっとも疲弊させられてきたのは地方都市だ。本当に地方に住んでいるから物価が安いだろうか。コンビニで売っているものは東京で買っても同じ。全国にチェーン展開されている店で買う物はみな同じだ。地方で暮らすには車も必要になる。こうしたコストが必要となるなかで生活を安定させるのは至難の業だ。どんどん格差が開き、TPPや日米FTAのように生産者の首を絞めるような貿易協定が次次に進められている。
これまで進められてきた間違った政策を一つずつ変えていかなければ地方はさらに衰退する。変えるためには力が必要だ。だからこそあなたと繋がりたい。
意見(男性) 熊本では増税後、あちこちバスターミナルや商業施設のフードコートなど人が集まる場所で明らかに客足が減り、非常に危機感をもっている。私はある宗教団体の元信者だが、財源がないなら無課税の宗教法人に課税してもいいのではないか。
山本 宗教に課税してもそこまで税収は得られない。それは喫緊の課題ではない。その前に、もっと世の中にお金が回る仕組みをつくらないといけない。
2014年4月、消費税を5%から8%に上げるとき、安倍政府は「消費税率の引き上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使う」(政府広報)といっていた。
本当はどうなったのか? 内閣官房のデータで、3%増税分を何に使ったかがわかる。2015年からは3%分で8兆円の財源を担保することができた。だが、それ以降の2017年までの間、社会保障の充実に充てられたのは1・35兆円。わずか16%だ。
残り84%は何に使ったのか内訳を出してくれと問い合わせると「統計をとっていない」という。基礎年金国庫負担割合を2分の1にするという使い方もしていたが、「後代へのつけまわし軽減」という内容不明な使われ方もしていた。これについて安倍総理自身が今年1月28日の施政方針演説で「増税分の5分の4(80%)を借金返しに充てていた」と答えた。
消費に対して罰金をかけ、ただでさえ世の中にお金が回っていないのに無理矢理お金を引き抜き、借金返済に充てたことでお金の存在を消してしまったのだ。より景気が悪くなるのは当然だ。税金をいくら取ったとしても、その使い道によっては最悪の結果が導き出されるということだ。消費税であろうと、宗教課税であろうと同じだ。本当はあちこちから税金を搾りとらなければならないという局面ではない。
意見(女性) 日本は海外に対して1000兆円の借金があり、国民一人あたりに800万円もの借金があるといわれている。だが、実際にはそうではないと思うのだが、なぜそんな嘘をつくのか。
山本 嘘をつく方方の精神状況までわからないが、嘘をつかなければやっていけないのだろう。この借金をめぐっても財務省の洗脳がある。「政府の借金が1000兆円をこえ、国民一人あたり900万円」というが、あなたが勤めている会社の借金を社員一人あたりいくらという計算の仕方をするだろうか? それぐらい不自然な話だ。
日本の借金は外国からのものではない。国債発行額は2017年12月に1093兆円。国債保有者のうち88・8%は国内だ。海外にはわずか11・2%しかない。
90%近い国内に負っている借金(国債)の元出はなにか。みなさんが銀行に預けたお金ではない。よく勘違いされやすいのだが、これは大きな間違いだ。みなさんから集めた資金で国債をやりとりしているわけではなく、日本銀行の中にあるそれぞれの銀行の当座預金から数字としてのお金が出入りしているだけなのだ。政府と民間の収支バランスを見ると、政府の赤字が増えるとき、民間の黒字が増えていることがわかる。政府が借金することによってお金が生まれ、それが民間の資産になっているのだ。
もしも1000兆円の政府の借金をすべて返済すればなにが起こるか? 世の中に流通するお金のほとんどが消えてしまう。政府がいう「国の借金が1000兆円あり、国民一人あたり900万円だから、増税します」という話にだまされないでほしい。
借金でお金の量を増やしても、お金が世の中に回る政策はほとんどしてこなかったのだ。これを理解していなければ、アベノミクスを批判する理由にもならない。
だからこそ経済に興味を持って、みんなでお金のあり方について議論しなければ政治や官僚、企業側には勝てない。このままでは搾取され続けるだけだ。
厚労省の国民生活基礎調査では、国民全体の57・7%、母子世帯の82・7%が生活が苦しいと答えている。20年以上のデフレによって国民生活はどん底まできている。デフレから脱却するなら、さっさとカネを出せという話だ。日銀調べの年齢別一人暮らしの貯蓄ゼロ世帯の割合は、20歳代で61・0%、30歳代で40・4%、40歳代で45・9%、50歳代で43・0%。みんなボロボロだ。小泉、竹中の時代に国が財政を絞ってロストジェネレーションを生み出した。本来ならば国がお金を出して第三次ベビーブームをつくり出さなければならなかった。50年前から少子化になるといわれていたのに、何の手も打たず、誰一人政治家は腹を切らない。現役世代に対してできる限りの救援をおこなう政策をしなければならない。
少子化解決するために
山本 少子化を解決するためには、重要なポイントが三つある。
一つ目は教育。本人やその家族に負担がかからないようにする。日本では奨学金で大学生が社会に出るときまでに300万~400万円の借金を背負っている。それで社会に出て少ない賃金でどうやって生活していけるのか。自分一人生活するのに精一杯で家族など持てない。借金をしていることが結婚できない理由の一つになっている。パートナーも同じ状態なら、家族をつくろうなんて考えられない。
OECD加盟国のなかの、教育機関に対する公的支出(対GDP比)を見てみる。ここでは経済規模に対して、教育にどれだけお金を出しているかということが分かる。
各国平均4・14%の支出に対して日本は2・93%。先進国グループのなかで最下位だ。奨学金で借金を背負わせるだけでなく、利息まで払わされるのだからこうなるのは当然だ。その利息は年間350億円にもなり、金融機関の懐に入る。この350億円を差し上げるために、みんなの首を絞める。若い人たちも食い物にされている。
高等教育機関への公的支出(対GDP比)を見てみる。経済規模に対して大学や大学院にどれだけお金を出しているかということがわかる。ここでも日本は最下位で、北欧諸国の3分の1だ。教育にかかるお金を家計で負担しなければいけないのだから、みんなが貧しくなって使えるお金がなくなるのは当然だ。
二つ目は住宅問題だ。安定した住まいを確保するには公的住宅が必要だ。本人が望めば安い家賃もしくは無料で住まいを確保できるようにしなければ少子化は克服できない。住居の問題は都市部でとくに深刻だ。
東京都が2018年1月に「ネットカフェ難民実態調査」をおこなった。ネットカフェ宿泊客のなかで住み家がない人は25・8%(約4000人)もいた。ネットカフェなら敷金・礼金・保証金も必要ない。家賃なら払えるが初期投資ができない人たちの逃げ場がネットカフェになっている。
また、この住み家がない人たちの76%は非正規労働者だった。不安定な労働者を大量に生み出した結果、住まいも確保できない状況を大量につくり出してしまった。いつ首を切られるかもわからない働き方のなかで、半年、1年後の自分の状態すら想像できない。非正規労働者が増えるきっかけをつくった元凶こそ政治だ。これに対して政治が責任を負わなくていいはずがない。
三つ目のポイントは消費税の廃止だ。消費税が3%上がっただけで、年間の個人消費が8兆円も落ち込んだ。誰かの消費は誰かの所得。つまり8兆円の所得が失われたということだと私は考える。この逆をおこなえば景気がよくなるということは誰もが予測できるだろう。景気回復が予測できれば、企業側も従業員の確保や設備投資をするだろう。
かわりの財源は法人税に累進制を導入し、もうかっている所から多くとり、もうかっていない所の税率は低くする。今は法人税率は一律で、大企業には80以上もの抜け穴がある。これを廃止して、所得税の最高税率を上げることで29兆円もの財政を確保することができるとの試算もある。
また、新規国債の発行も視野に入れている。消費税廃止に必要な財源をすべて新規国債の発行によってまかなった場合でも、国が定めるインフレ率の上限2%にも到達しない。また消費税を廃止した場合、一人あたりの年間賃金が6年目には44万円上昇する。参議院調査情報担当室の試算だ。今足らないのはお金であり、国が国民を思う気持ちだ。
意見(女性) 私は今40代だ。20代で離婚し、一人で子どもを育ててきた。元配偶者からもらった養育費は一度きりの1万5000円だけだ。それからずっと貧乏だ。子育てが終わる頃に難病を煩った。今は最低保障の障害年金と足りない部分は生活保護でまかなっている。今回増税にともなって障害年金受給者への給付金が出たが、生活保護をもらっている場合は給付金がまるごと引かれる。今回の増税で介護タクシーも増税分以上の値上げになった。社会保障を充実させるといいながら、実際は削られ続けている。このままでは未来はない。弱者の未来を救ってほしい。
山本 生活保護を受けることに対して恥の概念のようなものが植え付けられている。これは大きな間違いであり、胸を張って受けてほしい。すべてを失うことが前提でなければ生活保護を受けられないということは、そこから立ち上がるためにさらに多くの時間が必要になるからだ。少し困ったときに頼ることができる制度をつくっていきたい。
生活保護は「水際作戦」などといわれ、なるべく受けさせないようにされている。これには役所の財政事情もかかわっている。それによって餓死者も出ている。
「生活保護を受けて朝から晩まで酒を飲んで…」という人もいるが、1カ月間朝から晩までお酒を飲み続けられるようなお金を生活保護では得られない。「パチンコに行くのは許されない」という人もいる。お金の管理がきちんとできるかできないかというのは別の話であって指導も必要だろうが、基本的にお金の使い道はその人の権利だ。
日本は世界一のドケチ国家だといえる。1997年~2006年までの政府支出の伸び率は世界でも最低水準だ。国が人人に対して全然投資をしていないからデフレから脱却できない。収入の少ない人ほど収入の大半を消費に使う。使わなければ生活できないからだ。生活が厳しい人にお金を投入することは、もっとも経済活動に寄与するということだ。一人でも多くの人が消費を増やす状況をつくらなければならないのに、必要とされることと真逆をいっている。殺しにきている。
政府は生活保護費の見直しを進めており、食費や光熱費などに充てる「生活扶助」を2018年10月から2年間かけて段階的に引き下げ、最大5%、約160億円削減する。
また2013年8月からの生活保護の基準改定でも平均6・5%、総額670億円減額されている。生活保護を受けている人から見たらどれほどの打撃だろうか。生活保護受給者のほとんどが不正受給だという印象をつくったのは自民党だが、不正受給は全体のわずか1・8%であり、98%は正当な受給者だ。人間の命にかかわるセーフティーネットをこんな扱いにした人たちを私は許さない。国はなにも責任をとらないし、国民をコストとしか見ていない。
バブル崩壊直後と平成29年度の労災の請求件数の比較を見てみる。平成3年度は557件であったのに対し、平成29年度は2572件と桁違いに増えている。あくまで労災を請求できた人の数だ。請求できなかった人の方が多いはずだ。
精神障害の労災補償請求件数を比べると平成3年度は2件だったが、平成29年度は1732件だ。働く人はもはや部品だ。奴隷のようにギリギリ生かしておく環境さえない。倒れようが死のうがかわりはいくらでもいるんだという考え方で話が進んでいる。完全に世の中が壊れている。生活保護が必要となる人人はこれからどんどん増えていくだろう。仕事に殺されるような状況をつくっているなかで、精神を破壊され社会復帰ができなくなる人はたくさんいる。現在の政府がそんな人たちを救うだろうか。この状況をみんなで認識してなんとか変えなければいけない。
3割の得票動かして権力握る大企業
みんなが貧困化する地獄のような世の中で、大企業は過去最高益をたたき出している。企業の内部留保は2012年から2017年までの間に46・7%も増えている。この数年の間に自分の収入が46・7%も増えたという人がいるだろうか?
私は企業の内部留保に手を突っ込んでみんなにばらまくなんてことはしない。彼らはろくでもないことをしているが、合法的に政治を動かして自分たちに大減税してもらえるような社会を実現したのだ。企業がこれだけ内部留保を溜め込んでいる理由は二つある。一つは減税してもらってもうけをより多くしたり労働環境を破壊して労働者を安く使えるようにしたからだ。もう一つの理由は「溜め込む以外に方法がない」ということだ。モノが売れない。この先も少子化は加速するのに、この国に投資してもリターンは見込めない。だとすれば企業が投資せざるをえないような成長戦略を国が提案する必要がある。
経団連は提言という名の命令で、自分たちのもうけに繋がるさまざまなことを実現させてきた。たとえば武器輸出。日本は武器輸出三原則によって兵器の国際共同開発には参加できず、いわば技術的な鎖国状態に陥っている。そこで、武器の開発は国に資金を出させて、つくった武器を国に買わせている。開発して売れば、使わなければならない。これでサイクルが完成だ。
そこで、集団的自衛権を提言した。なぜ経済団体が集団的自衛権を望む必要があるのか。また集団的自衛権を実現させるには憲法を改正しなければならない。そこで、憲法改正まで提言に盛り込んでいる。つまり武器輸出、集団的自衛権、憲法改正の三つがセットになって動かなければ、軍需市場を広げたい経団連にとってのうまみが増さないのだ。提案し、政策にさせて自分たちがもうけるというサイクルをずっとくり返している。
経団連をはじめとする大企業は、有権者のわずか3割の力で代理人を国会に送り、政権をとらせて自分たちにプラスになる政策を一生懸命やってきたのだ。権力を持てば自分のお世話になった企業にだけ大減税することだってできるし、自分のお世話になった企業のために人人の働き方を壊すことだってできる。
自分の奥さんの友達の学校経営者に国有地をただ同然で差し上げることだってできるし、自分の親友に獣医学部をつくらせることだってできる。だとするならば、違う形で権力を使おうではないか。次は私たちの番だ。50%が投票に行っていないのだからその人たちとゆるく繋がっていこう。そうすることで消費税はやめられるし、働く人たちの権利も確立できる。政府が保障することで最低賃金を全国一律1500円にすることもできる。それが政治だ。それが権力だ。
◇ 鹿児島 ◇
意見(男性) 日米地位協定を変える必要があると思う。国防についてどういう考えを持っているのか。
日米地位協定について
山本 日米地位協定について考えるなら、まず日本の独立という問題を考えなければならない。「日本は独立しているじゃないか」という人もいるかもしれないが、それは大きな間違いだ。日本は常にアメリカ様の「ご意向」に国内の政策が左右されている。
わかりやすい例のなかに、日本の空の問題がある。首都圏上空には、1都8県にまたがって米軍横田基地が航空管制権を握る「横田ラプコン」がある。日本の空は日本のものであるはずなのに、それを仕切っているのは米軍なのだ。だから民間機は、羽田空港を離陸直後に横田ラプコンを避けるために急上昇しなければならない。これほど広大な空をアメリカに握られている国は世界に例がない。米軍が自分たちの演習をしやすいように占有している。返してもらわなければならない。
アメリカに握られているのは航空管制権だけではない。アメリカが望めば日本のどこにでも米軍基地をつくることができる。外国の軍隊が他国に自分たちが思うように基地をつくることができるルールなど世界のどこにもない。なぜ日本だけにあるのか。植民地化が成功したのは日本だけだからだ。日本はアメリカの植民地でしかない。
そこから独立するためには日米地位協定の改定が必要だし、少なくとも対等な付き合いをしていかなければならないのに、そうなっていない。
北方領土問題について安倍首相は「必ず終止符を打つ」といってロシアのプーチン氏と二十数回にわたって会談を続けてきたが、結局はカネだけ吸いとられて領土は返ってこない。昨年の11月、プーチン大統領は、ロシア側が北方領土を日本に引き渡す場合、日米の首脳間でアメリカ軍の基地を置かないことを約束するよう釘を刺された。つまり、日本国内の問題であるにもかかわらず、国のトップが物事を決めることができない。アメリカ経由で話をまとめなければ外国から信用されない状態になっている。これが独立国と呼べるか。日本が独立国として自分たちのことは自分たちで決められるようにならなければならない。それが主権国家というものだ。
安倍首相のおじいさん(岸信介)が旧安保条約を改定し、新安保条約にし、日米行政協定を日米地位協定へと改めた。「独立する」「主権国家になる」といいながら占領状態の継続を約束した。おじいさんがやらかしたことは、あなたの代で決着をつけてくれといいたい。どこが「戦後レジームからの脱却」だ。
日米地位協定を変えたその先はどうするのか。日本は自主防衛できる状態にしなければならない。日本は今でさえ、世界の中でも指折りの防衛装備を保持している。アメリカの軍事力評価機関が公表した「グローバル・ファイヤーパワー」の2018年軍事力ランキングでは、世界136カ国のうち、日本の軍事力指数は8位だ。軍備を維持することは必要かもしれないが、現状はアメリカから買わされ、さらに調達しても途中で値段が変わって高値になる。買った戦闘機の機密情報ももらえず、ただ買わされている。日本の自主独立のためには専守防衛は絶対的に確保しなければならない。ただし、自衛隊は、日本の領空・海から出ない形で運用されることを前提にするべきだ。
もう一つ、安全保障上必要なのは、世界中に「恩を売る」ことだ。自衛隊の災害対応は、多くの被災地で強烈な印象を残し、感謝されている。その力を日本だけでなく世界で災害が起きたときに真っ先に駆けつけるために使う。これが実現できれば、もし日本側に不穏な動きをする国があったとしたら世界中から非難の声が上がる状況をつくることができる。アメリカの二軍として世界戦略に利用されるのではなく、あくまでも防衛に特化し、それ以外は災害対応で世界の役に立っていってほしいと思う。
食の安全は重要テーマ
意見(男性) アメリカで生まれている子どもの3人に1人が自閉症で、その原因は遺伝子組み換え食品などだという調査がある。輸入が増えれば、日本でも影響が出てくるのではないか。
山本 「食の安全」は、もっとも重要なテーマの一つだ。この国の人人が健康に生きていくうえで食べ物は大きな存在だ。残留農薬や遺伝子組み換えに対して厳しい基準をもうけることは重要だ。
少なくともヨーロッパがもうけている基準に寄せていくことが正しいと思う。遺伝子組み換え食品と健康との因果関係がはっきり出ていない現状では予防原則に立つ以外にない。安全か危険かはっきりしていないものに対しては「危険かもしれない」という立場に立って物事を考えていく以外に人の命は守れない。
だが、今はそうなっていない。TPPや日米FTAなどを進めて、アメリカでさえクリアできていない食品を日本で受け入れなければならなくなる可能性がある。現時点で自由化は行きすぎているし、これ以上進めるべきではない。TPPからは離脱するべきだ。世界との条約や協定から抜けることは非難を浴びることかもしれないが、人人の健康を守ることが最優先だ。アメリカもパリ協定から抜けた。日本も「ジャパンファースト」で行かせてもらう。
意見(男性) 私は今32歳で三児の父だ。中卒で派遣社員も経験し、1カ月ホームレス生活をしたこともある。今は介護職に就いている。介護と聞くとマイナスなイメージを持つ人もいるかもしれないが、絶対にそんなことはない。すごく魅力があり、私は世界一幸せになれる仕事だと思っている。山本さんは、福祉や保育に携わる人は公務員にしてでも人員を確保するべきだといってくれた。介護を求めている人人は多くいるのに、人手不足からどんどん施設も潰されている。幸せな仕事だと思って勤務していても、夜勤10回しても月月の手取りは十数万円だ。ケアマネでも20万円に届かない。先月3人目の子どもが生まれたときに「介護で3人はきついね」といわれた。山本さんは、そんな介護職のことをどのように考えているのか聞きたい。
私の母はシングルマザーで私たち子ども3人を育ててくれた。64歳でそろばんと習字、塾を経営して手取り20万円ほどだ。乳がんと大腸がんを患い、保険にも入れない状態で、年金は国民年金で6万500円。貯金もほとんどない。子どもからもお金をあげられるほどの収入がない。今後どうやって母のことを世話していけばいいのかという不安もある。
山本さんが「あなたを幸せにしたい」と話してくれたとき、すごくうれしかった。障害を持っていても、お年寄りでも子どもたちでもどんな人も幸せになる権利があるといってくれて本当に救われた。ただ山本さんも幸せになってもらいたい。
山本 世の中を変えていこうとしている真っただ中で、みなさんに「力を貸してください」とお願いができる時点で私は幸せだ。
ニーズはあるのに、国がしっかりと処遇をしていない職業に対しては公務員化をするべきだと考えている。たとえば介護や保育、身を削るようにして原発事故の廃炉現場で働いている人人などに対しては、安定した雇用を保障しないといけない。もはや現場の良心で支えられている状態だ。資格を持っているのに、その仕事に就かない理由は間違いなく処遇が悪いからだ。確実に必要な仕事で、サービスの質を保証するためには公務員化が必要だ。国が解決策としてうち出しているのは「外国人を使えばいいじゃないか」というものだ。そんな雑な話があるか。
そもそも日本は公務員数が少なく、人口1万人あたりの公務員数はフランス837人、イギリス820人、米国597人に対して、日本は261人しかいない。公務員の非正規化が進み、生活保護の相談を受ける側が生活保護が必要なケースさえある。
鹿児島は「保守王国」といわれており、多くの人が自民党に投票しているかもしれない。もしくは、昔からの付き合いで人との繋がりを意識して投票している人も多いかもしれない。ただ、現実を見てほしい。自民党がやっているのは保守ではなく自己保身だ。国を、あなたを売り飛ばしている。
地獄みたいな世の中の末に子どもたちを生かせられるのか。この国は「主権在民」だ。本当はあなたが権力を握っている。一部の人間に忖度し続けるような国が壊れるのはあたりまえだ。憲法15条には公務員は「全体の奉仕者になりなさい」と書いてある。すべての有権者の3割の得票を得て政権を握り、ここまでの乱暴狼藉ができるのだ。これを変えるのも政治だ。私は投票に行くことをやめている5割の人たちとつながって、現在と180度違う政治を実現させたい。あなたのための政治を、あなたの生活が幸せになる社会をつくらせてほしい。
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