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健全野党結束し働かせ方改悪法案封殺せよ

2018年02月28日 16時57分56秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                             「植草一秀の『知られざる真実』」

                                         2018/02/28
                               
                         健全野党結束し働かせ方改悪法案封殺せよ
              
                                第1980号

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安倍政権が提案している「働かせ方改悪」に対する風圧が強まっているのは、
データに不備があったという技術的な要因に原因があるのではなく、この提案
の目的、安倍政権の基本姿勢に問題があるからだ。

「働かせ方改悪」は労働者=主権者の利益を増大させる提案ではない。

逆に労働者=国民の利益を著しく悪化させるものである。

労働者のための制度改定ではなく、労働者を雇う資本のための制度改定である
ことが、風圧が拡大している主因なのである。

安倍政権が提示している「働かせ方改悪」の柱は以下の4点である。

1.長時間残業の合法化

2.正規労働と非正規労働の格差の維持

3.年収1075万円以上の労働者を対象とする残業代ゼロ制度の創設

4.残業代ゼロの裁量労働制度の範囲拡大

残業時間に上限を設定し、違反に対する処罰規定を設けることは正しい。

しかし、その上限が労働者の酷使を容認するものであるなら制度改定は「改
正」ではなく「改悪」になる。

労働者を守る規制を強化し、違反を厳正に取り締まるのでなければ、制度を改
変する意味がない。

今回の改定では月次の残業時間が100時間未満まで容認される。

「過労死」の被害者遺族が「改悪」であると批判するのは当然のことである。
実際に、月次残業時間80時間未満で過労死した労働者が労災認定されてお
り、月次100時間未満の残業容認は「過労死」合法化に他ならない。

安倍政権は「過労死」を防止する意思を有していないということになる。



過労死を防ぐには最低限必要な休息が必要である。

EUではEU加盟国がEU労働時間指令の内容を国内法として規定する義務を
負っており、これがEU諸国における共通の基準になっている。

EU労働時間指令では、休息時間について24時間につき最低連続11時間の
休息時間を求めている。

休憩時間を含めた1日の拘束時間の上限を13時間としているのである。

深夜12時に退社した場合には、午前11時より前に出社することが許されな
い。

この「インターバル規制」こそ、労働者の生命と健康を守る重要な基本ルール
になっている。

月100時間の残業時間は平日週5日勤務の場合、午前9時から休息1時間を
はさんで午後6時までの所定内労働を終えたのち、休息1時間をはさんで深夜
12時までの勤務を毎日続けることを意味する。

12時に退社して、翌朝9時には出社していなければならない。

この生活が1ヵ月連続する状況であり、安倍政権はこうした勤務実態を合法化
しようとしている。

これでは、労働者の心身の健康、生命を守ることができない。

このような勤務を望むのは、労働者を単なる消耗品としか考えない冷酷な資本
だけである。

つまり、安倍政権は主権者=労働者=生活者の側に立って政策を立案している
のではなく、労働者=主権者を、利潤を拡大するための「道具」としか考えな
い、資本の側に立って政策を立案しているのだ。

この基本姿勢、基本スタンスに問題があるのだ。



高度プロフェッショナル制度や裁量労働制は、労働の生産物に縛りをかけて、
労働の仕方を労働者に委ねる制度である。

勤務時間などを労働者が柔軟に選べる制度だとするが、この制度の普及によっ
て、長時間労働が強制されることが懸念されている。

資本の側がこの制度の拡大を求める理由は、この制度の拡大によって、労働コ
ストを削減できると期待するからである。

過大な成果を上げることを労働者に押し付ければ、労働者は望まない長時間労
働を強いられることになる。

資本の側は、労働者が長時間労働に従事しても、割増賃金を払う必要がない。

実質的に労働コストを削減できるのだ。

裁量労働制下の労働実態を調べれば、一般労働者の残業時間よりも裁量労働制
下の労働者の残業時間が長くなることは容易に想像できる。

そうでなければ、資本の側が裁量労働制を導入しようとは考えないことも容易
に想像がつく。

ところが、安倍首相は国会答弁で、裁量労働制下の労働者の残業時間が一般労
働者の残業時間よりも短いというデータがあると述べた。

しかし、これは虚偽答弁だった。

その虚偽答弁の拠りどころになったデータが、極めて疑わしいデータであるこ
とが判明した。

厚生労働省が「働かせ方改悪」法案を押し通すために、虚偽の情報をねつ造し
た疑いが浮上しているのだ。

真相を明らかにして、法案の提出を断念することが必要な事態が生じていると
言える。



正規・非正規の処遇の格差を是正するという課題設定は正しいが、安倍政権の
提示する提案では、問題は解決しない。

格差を正当化する口実が随所に散りばめられているからだ。

安倍政権は正規と非正規の格差をなくすというが、その方法は、非正規の処遇
を上げて格差をなくすというものではなく、正規の処遇を下げて格差をなくそ
うとするものであり、労働者全体の処遇改善にはつながらない。

第2次安倍政権が発足してからの5年間の実績を見ると、

実質GDP成長率(季節調整済み前期比年率)の単純平均値は+1.4%と極
めて低く(民主党政権時代は+1.8%)、

労働者一人当たりの実質賃金は約5%減少(民主党政権時代はほぼ横ばい)

というものになっている。

たしかに、失業率は低下し、有効求人倍率は上昇したが、労働者にとって一番
重要な指標は実質賃金の変化だろう。

この実質賃金が5%も減少したことは重大である。



他方、大企業の収益は史上最高を更新し続けている。

この大企業利益拡大を反映しているのが株価である。

安倍政権は、株価上昇は日本経済の改善を示していると言うが、これは正しく
ない。

株価は上場している企業の利益変動を反映しているだけで、日本経済全体を反
映していないのだ。

経済全体が民主党政権時代よりも落ち込んでいるのに、大企業収益が史上最高
を更新し、株価が上昇していることは、労働者と中小企業の所得が減少してい
ることを物語っている。

そのなかで、就業者の数が増えたということは、一人あたりの所得が大幅に減
少したことを意味しているのだ。



こうした実績を有する安倍政権が掲げる「働かせ方改悪」なのだ。

狙いははっきりしていて、労働コストをさらに圧縮することが目的になってい
る。

人手不足を口実に、長時間残業を合法化する。

その長時間残業は、過労死が発生するレベルの長時間労働である。

また、残業時間がカウントされない裁量労働制や高度プロフェッショナル制度
を拡大すれば、見えにくい長時間残業が日本中に広がることになるだろう。

これらの制度拡充の狙いはただひとつ、労働コストの圧縮である。



安倍政権が目論む労働市場改悪はこれにとどまらない。

今後、決定打になるのが、外国人労働者の導入拡大である。

外国人労働者の導入を拡大する最大の狙いは、国内賃金水準の引き下げであ
る。

低い賃金で働く外国人労働者が大量供給されれば、日本人の労働賃金は必ず下
方圧力を受ける。

安い外国産のコメが大量に流入すれば、国産米価格が下方圧力を受けるのと同
じことである。

安い労働力の輸入によって、国内労働力の価格が下方圧力を受ける。

労働コストを引き下げる決定打が、この方策なのである。



さらに、資本が、負担が大きいと感じているのが「解雇のコスト」である。

労働者の身分を守る諸規制によって、企業は好き勝手に労働者を解雇できな
い。

裁判に持ち込まれても多大なコストがかかる。

この制度を全面的に改変して、企業が好き勝手に労働者を解雇できる制度への
移行が目論まれている。

これが「金銭解雇の解禁」である。

スズメの涙の金銭を提供すれば、企業が好き勝手に労働者を解雇できるよう
に、制度を改変することが目論まれている。

こうした施策全般を安倍政権は「働き方改革」と称しているが、実態を表す表
現、用語法になっていない。

まさに「働かせ方改悪」であって、労働者の利益を損ねて、資本の利益を増大
させるものである。



安倍政権は法案提出時期を後ろ倒しする方針を定めたが、先送りすれば法案提
出が許され、国会通過が是認されるものではない。

野党は結束して、安倍政権による「働かせ方改悪」を断固阻止するべきだ。

主権者国民が全面的に賛同する方向に野党が進むのであれば、強硬手段をも辞
する必要はない。

重大疑惑を解消しないまま法案の国会提出を強行する場合、野党はすべての国
会審議を拒絶する程度の強い態度を示すべきだ。

少数野党の抵抗手段は限られているが、正当な説明がつく対抗手段であれば、
その抵抗手段を最大に活用するべきである。

 


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