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次期衆院選で主権者政権を樹立する戦略

2019年08月17日 18時31分05秒 | 政治

 

                                

                     「植草一秀の『知られざる真実』」
                                    2019/08/19
             次期衆院選で主権者政権を樹立する戦略
             第2408号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019081716303257532 ──────────────────────────────────── 立憲民主党と国民民主党が統一会派を結成する協議を進めている。
立憲民主党が基本政策についての共有を求めたが国民民主党が明確な方針を示 さなかったため、合意には至っていない。
政策を明確にせずに単に「数合わせ」で統一会派を結成するなら、これまでの 分離、分裂騒ぎは何だったのかということになる。
両党所属議員の多くがそれぞれの個利個略を優先して、主権者の意思に寄り添 うとの原点を見失っているように見える。
7月21日の参院選比例代表戦での自公の得票は全有権者の22.9%にとど まった。
2016年参院選での得票率27.0%から4%ポイントも得票率を下げた。
比例代表選の自民党得票は1771万票で2016年選挙の2011万票から 240万票も少なかった。
公明党得票も104万票減少した。
主権者の5人に1人強しか自公には投票していない。
安倍自公政権の基盤は極めて脆弱である。
それにもかかわらず、自公の与党は衆参両院で絶対多数の議席を確保してい る。
安倍内閣は「数の力」ですべての問題を押し通し、刑事犯罪を闇に葬り、重大 な悪法を次から次へと成立させてきた。
主権者の多数が安倍政治の暴走に反対しており、安倍内閣退場と主権者の意思 に沿う政権の樹立を求めている。
しかし、その道筋がはっきりと見えてこない。

最大の要因は野党の側の対応にある。
立憲民主党の参院選比例代表選得票は、2017年衆院総選挙での得票よりも 317万票も少なかった。
自民党得票減をはるかに上回る得票減になった。
この選挙結果を受けて立憲民主党がスタンスを変えている。
れいわ新選組やNHKから国民を守る党などの新興勢力が政党要件を獲得する 投票を得たことも影響している。
立憲民主、国民民主はこのことに危機感を抱き、統一会派結成の動きを示して いるのだろうが、この対応もまた、党利党略優先のご都合主義に見える。
主権者の多数は安倍自公内閣を支持していない。
しかし、その主権者が積極的に支持し、政権を担わせたいと考える政治勢力が 不在になっている。
この主権者の意思に寄り添う政治勢力の登場が望まれている。
その際に、何よりも重要なことは基本政策路線の明確化だ。
政策明確化をないがしろにして、「数合わせ」だけを優先しても、主権者の共 感は得られない。
政治家の自己都合、自分たちの利害得失だけを優先していることを主権者は鋭 敏に見抜いてしまう。
野党勢力の再編、結集を図る際に重要なことは、基本政策路線の明示だ。
これが欠けているなら統一会派の創設は主権者支持の喪失という最悪の結果を もたらすことになるだろう。

自公政治を貫いている三つの柱がある。
この三つの基本路線に明確に対峙することが自公対峙勢力に求められている。
自公政治を貫いている三つの柱は、
1.米国への隷属
2.大資本利益の追求
3.官僚支配の温存
である。
この基本を断ち切る基本路線を明示することが何よりも重要である。
米国への隷属を断ち切ること。
これが「日本の独立」の条件だ。
日本は真の意味での独立を果たしていない。
これを明確に示すことができるか。
経済政策では大資本の利益だけが優先されている。
これが「新自由主義経済政策」であり、「民営化」の名称が用いられる「営利 化」推進の政策対応である。
そして、自公政治は官僚支配構造を温存している。
この三つの基本路線を否定し、明確な新基軸を打ち出すこと。
これが野党勢力結集の基軸になる。
基本政策路線明確化を伴わない単なる「数合わせ」の統一会派創設は主権者の 支持をまったく獲得できないものになるだろう。

この基本政策路線を具体化するならば、
1.辺野古米軍基地建設中止
2.全国一律最低賃金の大幅引き上げと政府補償の実施
3.消費税率の引き下げ
ということになる。
また、
4.すべての原発の即時稼働停止
も重要な施策になる。
この基本政策路線に合意できる勢力が大同団結、連帯するべきだ。
その際に、「この党は入れない」や「この党は嫌いだ」などという「私情」を 差し挟むべきでない。
立憲民主党は基本政策路線を明確にして、大同団結を提言するべきだ。
共産党を排除する必要もない。
国民民主党には「自公派」の勢力が存在する。
国民民主党が「自公派」と「反自公派」に分離、分割されることが必要であ る。

鳩山由紀夫内閣がわずか8ヵ月で破壊されたのは、民主党内に自公派が潜んで おり、この自公派が鳩山内閣を内部から破壊したためである。
鳩山内閣は
1.辺野古基地建設の阻止
2.新自由主義経済政策の是正
3.官僚利権の根絶
の基本路線を明示した。
大資本が政治を支配する根源になっている企業献金制度について、その全面禁 止を公約に明記した。
まさに、自公政治の根幹を刷新する明確な政策路線を示したのだ。

ところが、民主党内に潜む「自公派」勢力が、この鳩山内閣基本路線を妨害し た。
鳩山内閣は民主党内に潜む「自公派」勢力によって内側から破壊されたのだ。
菅直人首相と野田佳彦首相は辺野古米軍基地建設を推進した。
菅直人首相、野田佳彦首相、岡田克也外相は、企業団体献金全面禁止の政権公 約を闇に葬った。
菅直人首相と野田佳彦首相は、白アリ退治なき消費税増税を全面推進した。
これらの「逆コース」政策運営によって、民主党は主権者の支持を完全に失っ た。

2017年10月の参院選で枝野幸男立憲民主党が躍進できたのは、立憲民主 党が「自公派」と「革新派」に分裂し、立憲民主党が「革新派」勢力の中核を 担うことになるとの期待が高まったからだ。
共産党は新設の立憲民主党の躍進に極めて大きな貢献をした。
立憲民主党は安倍自公政治に対峙する「革新勢力」の中核を担うべく、「安倍 政治対峙勢力」の糾合をリードするべきだった。
ところが、枝野立憲民主党はこの役割を放棄して、自党の伸長だけを優先し、 共産党を含む共闘体制構築に背を向けるスタンスを採った。
その結果として、立憲民主党が主権者の支持を急速に失った。

この経緯を踏まえれば、元の木阿弥の国民民主党との単なる数合わせ合流が何 も生み出さないことは自明である。
主権者は旧態依然の「水と油勢力」に背を向けることになるだろう。
この意味で立憲民主党側が基本政策の共有を基本に据えていることは是認され る。
主権者は「単なる数合わせ」を求めていない。
主権者が求めているのは、明確な政策路線の下での革新勢力の結集である。
れいわ新選組、共産党を含めて、日本政治の基本構造を刷新する明確な基本方 針を保持する勢力が大同団結すること、大きな連帯を構築することが求められ ている。
この大同団結が樹立され、ここに主権者多数の支持を集めることのできるリー ダーが登場すれば、政権刷新への道筋が明確に見えてくることになるだろう。
現状では、まだその道筋が見えていない。
基本戦略を明確にして、早期にこの実現を図らなければならない。

 



                                

 



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