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真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

早晩修正を迫られる安倍内閣韓国敵視政策

2019年09月10日 09時34分39秒 | 政治

 

                                 

                     「植草一秀の『知られざる真実』」
                                     2019/09/10
             早晩修正を迫られる安倍内閣韓国敵視政策
              第2427号
   ウェブで読む:https://foomii.com/00050/2019091001001158271 ──────────────────────────────────── 私たちは客観的、そして冷静にものごとを考える必要がある。
安倍内閣が韓国に敵対的な政策を推進している。
韓国をホワイト国から除外し、韓国との交易を滞らせる措置を取った。
また、日本が供給の大半を占める資材の供給に制限をかける措置を採用した。
表向きは安全保障上の理由だとしているが、実体は徴用工問題で韓国大法院が 下した判断に対する報復措置であることは否定しようのない真実だ。
安倍内閣は韓国経済に対する嫌がらせを積極的に展開している。
世論調査では日本の主権者が安倍内閣の対応を支持しているとされているが、 メディアの世論調査結果に信頼性はない。
同時に主権者の判断が、マスメディアが提供する情報によって特定の方向に誘 導されていることも否定できない。
たとえばNHKは8月28日午後7時の定時ニュースで日韓問題について次の 報道をした。
「あす日韓外務局長協議 日本側の立場説明へ」
「日韓関係が悪化する中、外務省は、金杉アジア大洋州局長が29日に韓国を訪 問し、韓国外務省の局長と協議することを発表しました。太平洋戦争中の「徴 用」をめぐる問題について、韓国側が国際法違反の状態を早急に是正するよう 改めて求めるとともに、北朝鮮への対応についても協議するものとみられま す。
(中略)
協議では、韓国を輸出管理の優遇対象国から外す政令が28日施行されたことに 韓国側が反発していることから、金杉局長は「安全保障上の観点から、わが国 の輸出管理制度を適切に実施するうえで、必要な運用の見直しだ」とする日本 側の立場を説明するものとみられます。

また、太平洋戦争中の「徴用」をめぐる問題について、韓国側に対し国際法違 反の状態を早急に是正するよう改めて求めるとともに、北朝鮮が弾道ミサイル などの発射を繰り返していることを受けて、日韓にアメリカを加えた安全保障 面の連携についても協議するものとみられます。」
NHKは日本政府の表向きの説明である「安全保障上の観点から、わが国の輸 出管理制度を適切に実施するうえで、必要な運用の見直しだ」との主張と、 「韓国側が国際法違反の状態を早急に是正するよう改めて求める」との日本政 府の主張だけを垂れ流しているだけだ。
NHKは、韓国の司法当局が、日韓条約、日韓請求権協定を解釈した上で、国 際法には違反しないとの判断の上に立って元徴用工に対する損害賠償を命じる 判決を示したという事実をまったく伝えない。
韓国を輸出管理の優遇対象国から外す措置について、徴用工裁判の判決に対す る報復であることを日本政府が示唆していた事実にも一切触れない。
このニュースを聞いた者は、
「韓国は国際法に違反している」
「日本政府の措置は安全保障上に理由によるもの」
としか受け止めないだろう。
そうなると、人々は、日本政府は適切に行動しているのに、韓国政府は国際法 に違反していると理解し、韓国政府が悪く日本政府は正しいと考えてしまう。
世論調査が示す数値が仮に実態を示しているのだとすれば、その原因はメディ アが、
「意見が対立している問題について、できるだけ多くの角度から論点を明らか にすること」
という放送法第4条の規定を遵守していないからである。

「日本が遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡 の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国 の人々に対して多大の損害と苦痛を与え」たことは、日本政府が公式に認めた ことである。
1965年の日韓条約は、米国が主導して樹立した軍事クーデター独裁政権と 日本が、米国の圧倒的な支配力の下で締結した条約であり、1995年の村山 談話に示される日本の歴史認識を反映するものでない。
同時に条約、協定は、韓国の国民の同意と支持を得て締結されたものでもな い。
1910年から1945年にかけての日本による韓国の植民地支配は、村山談 話が明記するように、国策を誤り、韓国の人々に多大の損害と苦痛を与えたも のである。
そして、こうした植民地支配と侵略によって損害を受けた個人の請求権につい ては、日本政府も公式に消滅していないことを正式に表明してきている。
徴用工問題が完全に解決したとの日本政府の主張は1965年の当時において は国際的に広く共有され、通用していたものである。
しかしその後、国連憲章(人権関連条項)、世界人権宣言、国際人権規約をは じめとする国際人道法が国際的に承認されるに至って、日本政府の主張はもは や法的正当性を主張できなくなっている。
「元徴用工の韓国大法院判決に対する弁護士有志声明」 http://justice.skr.jp/statement.html
は、「重大な人権侵害に起因する被害者個人の損害賠償請求権について、国家 間の合意により被害者の同意なく一方的に消滅させることはできないという考 え方を示した例は国際的に他にもある(例えば、イタリアのチビテッラ村にお けるナチス・ドイツの住民虐殺事件に関するイタリア最高裁判所(破棄院)な ど)。
このように、重大な人権侵害に起因する個人の損害賠償請求権を国家が一方的 に消滅させることはできないという考え方は、国際的には特異なものではな く、個人の人権侵害に対する効果的な救済を図ろうとしている国際人権法の進 展に沿うものといえるのであり(世界人権宣言8条参照)、「国際法に照らし てあり得ない判断」であるということもできない。」
と指摘している。
「韓国は国際法に違反している」との見解は、勉強不足の思慮の浅い判断でし かない。
日本の主権者が問題に関する広範な見識、知識、考察に触れることができない ことは、日本の主権者が「知性」を失うことを意味するものだ。
安倍政治の「反知性主義」によって日本の主権者全体が「反知性主義」の状態 に陥れられていることが極めて深刻な問題である。

在韓国日本大使館前の少女像について、日本政府は「韓国政府は約束を守らな い」と主張するが、そもそも、どのような約束をしたのかを正確に把握するこ とが先決だ。
2015年12月28日の日本岸田文雄外務大臣と韓国尹炳世外交部長官によ る、「日韓合意」で韓国外相が公表した合意内容は、
「韓国政府は、日本政府が在韓国日本大使館前の少女像に対し、空間の安寧、 威厳の維持といった観点から懸念しているという点を認知し、韓国政府として も可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決されるよう 努力する」
というものである。
韓国政府は「可能な対応方法に対し、関連団体との協議等を通じて適切に解決 されるよう努力する」ことを約束したが、「少女像を撤去する」と約束してい ない。
したがって、少女像が撤去されないことをもって、日本政府が「韓国政府は約 束を守らない」と主張することはできない。
しかし、日本の報道は、日韓合意の詳細な文面を紹介せずに、日本政府の「韓 国政府は約束を守らない」という主張だけを垂れ流す。
詳細を知らない人々は、「韓国政府は約束を守らない」との判断を有してしま う。

人々に正確な情報、問題が発生する原因を丁寧に伝えることがメディアの本来 の役割ではないのか。
人々は、韓国政府は「適切に解決されるよう努力する」と約束したが、「少女 像を撤去する」と約束していないという「事実」を知れば、少女像が撤去され ないことをもって「韓国政府は約束を守らない」とは考えない。
徴用工の問題についても、国連憲章(人権関連条項)、世界人権宣言、国際人 権規約をはじめとする国際人道法が国際的に承認され、重大な人権侵害に起因 する個人の損害賠償請求権を国家が一方的に消滅させることはできないという 考え方に立った裁判所判断が示される事例が多数存在することは、国際人権法 の進展に沿うものだ。
54年も前の協定の内容だけを頼りに「解決済み」の一点張りで対応する姿勢 は「反知性主義」を象徴するものだ。

韓国における「保守」と「革新」は、日本による侵略、植民地支配への「加担 者」と「抵抗者」の区分でもある。
韓国政治は1988年以来、10年周期で「保守派」と「革新派」によって交 互に担われてきた。
現在の文在寅政権は「革新政権」であり、戦前の植民地支配と是とする歴史修 正主義勢力、韓国の植民地支配加担勢力にとっては敵対勢力になる。
韓国内で反文在寅政権対立勢力が存在するのは周知の事実であり、日本の歴史 修正主義勢力は文政権を攻撃するために韓国の「保守勢力」を積極的に活用し ているのだ。
日本では、安倍首相のように、日本の過去の過ちを率直に認めた村山談話の基 本姿勢を否定的に捉える勢力がいまなお存在するが、他方で、村山談話が示し た歴史認識を真摯に受け止めて、この判断を基礎に、アジア諸国・地域と真の 友好関係を構築することを希求する勢力が存在する。

メディアが安倍内閣に支配されてしまっていることにより、後者の勢力の声が かき消されてしまっている。
鳩山友紀夫元首相は後者の立場を代表する日本の良心と呼ぶべき存在である。
日本がアジアの近隣諸国と真に友好的で健全な互恵関係を構築するために、後 者の立場が必要不可欠であることは言うまでもない。
歴史に真摯に向き合い、反省すべきを反省し、否定すべきを否定する姿勢は勇 気ある愛国者のものであり、反日と表現されるべきものでない。
秋嶋亮氏の著書にある
「愛国者ほど国を批判し、売国奴ほど国を賛美する」
の言葉を胸に刻む必要がある。

この意味で、1995年の村山談話は画期的である。
歴史を直視し、是を是とし、否を否とする姿勢こそ、勇気ある姿勢である。
真実に対する謙虚な姿勢こそ、私たちを高める唯一の方法である。
私たちが目指すべき方向は、心の次元を高めること。
歴史から目をそらし、根拠ない自己肯定に逃げ込む限り、心の次元を高めるこ とはできない。
安倍内閣の韓国敵視政策の咎は日本に跳ね返ってくる。
日本経済は消費税増税を契機に急激な悪化を示すことになる。
韓国敵視政策も日本経済悪化の重要な原因になるだろう。
早晩、安倍政権は害交姿勢の大幅な修正を余儀なく迫られることになるだろ う。



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