曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

高浜1、2号機「40年超」認可差し止めを 名古屋地裁に提訴へ

2016年02月29日 10時44分52秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、


高浜1、2号機「40年超」認可差し止めを 名古屋地裁に提訴へ

 
写真
 

 運転開始から四十年を超えた関西電力高浜原発1、2号機(福井県高浜町)をさらに二十年運転させる原子力規制委員会の延長認可の差し止めを求め、福井県や東海地方の住民が四月中にも、国を相手に行政訴訟と仮差し止めの申し立てを名古屋地裁に起こすことが分かった。老朽化による安全性低下を争点とする方針で、相次ぐ原発訴訟の新たな流れを生みそうだ。


 老朽原発をめぐっては、東京電力福島第一原発事故後の二〇一二年、原子炉等規制法の改正で「四十年で原則廃炉」と規定されたが、規制委は今月二十四日、関電が1、2号機で予定する安全対策が新規制基準に適合するとの審査書案を全国に先駆けて了承。運転期間満了の七月七日までに規制委が延長を認可すれば、対策工事を施した上で最長六十年の運転が可能になる。


 原告団と弁護団は「延長運転後に事故が起き、重大な損害が生じる恐れがある」として規制委に認可を出さないよう訴え、認可が出された後は取り消し処分を求めて争う方針。老朽化した1、2号機の原子炉圧力容器では、核燃料から放出された中性子を受け続けたことによる劣化現象が起こるため、原子炉等規制法に基づく技術基準を満たさないと主張。規制委による審理でも問題化した重要機器をつなぐケーブルの防火策の不備も訴えるという。
 
写真
 

 福島事故後は立地自治体以外の裁判所での原発訴訟が増えているが、名古屋地裁では初めて。弁護団には原発訴訟の経験が豊富な他地域の弁護士も参加。弁護団長の北村栄弁護士(愛知県弁護士会)は「四十年廃炉の原則が骨抜きにされていくのは看過できない。老朽原発特有の危険性を訴えて、延長認可の違法判断を勝ち取りたい」と話す。


 高浜原発をめぐっては昨年四月、福井地裁が1、2号機の約十年後に稼働を始めた3、4号機の運転を禁止する仮処分を出したが、同十二月の異議審で地裁の別の裁判長が仮処分の取り消しを決定。3号機は今年一月、4号機は今月二十六日に再稼働した。

◆老朽化が新たな争点に


 福井県や東海地方の住民が名古屋地裁に提訴を予定する高浜原発1、2号機の運転延長認可の差し止め訴訟では、運転四十年を超す老朽原発の安全性が初めて正面から争われる。


 脱原発を目指す弁護士と原告は福島第一原発事故後、いずれも全国連絡会議を結成し、各地の訴訟で統一戦術を取ってきた。従来は地震、津波対策の不備を追及し、福井地裁での大飯3、4号機訴訟の判決と高浜3、4号機仮処分決定で勝利した。


 大飯訴訟は控訴審が続くが、高浜3、4号機は異議審で差し止め決定が取り消されて再稼働し、他の地裁の訴訟でも敗訴が続く。そんな中、新たな争点として浮上したのが、運転四十年を超す老朽原発の安全性問題だ。


 初期の原発は「四十年が設計寿命」とされ、放射性物質を閉じ込める要となる原子炉圧力容器が中性子を浴びて劣化する現象は、規制当局側も注視してきた。名古屋訴訟の弁護団はこの問題に焦点を絞り、関係分野の専門家とも連携して争点化していく方針だ。


 今回の訴訟は、原発が立地せず、隣接もしていない名古屋地裁で提起される点にも特徴がある。


 福島事故では放射性物質が広範に飛散し、政府が半径二百五十キロ圏内の住民への避難指示を検討していたことも判明。原告が勝訴した大飯訴訟判決では、同キロ圏内の住民の原告適格性が認定され、福井県内の原発に対する訴訟が隣接する大津、京都地裁で相次いで提起されるなど、県境を越えた法廷闘争が繰り広げられてきた。


 名古屋は高浜原発の約百三十キロ南東に位置し、季節風の風下に当たる。弁護団事務局長の藤川誠二弁護士は「ひとたび事故が起これば甚大な被害が起き得る地域。訴訟が多くの人に危機感を持ってもらうきっかけになれば」と話し、事故から五年の節目に各地で予定される行事に出向き、原告団への参加を呼びかける。

(社会部・谷悠己)



最新の画像もっと見る

コメントを投稿