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アジア諸国との真の友好関係確立が日本の国益

2018年04月28日 12時24分38秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                                

                            「植草一秀の『知られざる真実』」

                                  2018年4月28日     

              第2027号

    アジア諸国との真の友好関係確立が日本の国益



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日本には拉致問題があるために南北朝鮮の首脳会談開催について無条件でこれ
を歓迎できない事情がある。

しかし、拉致は連合国軍と北朝鮮が戦争状態にある下で発生した事案であり、
国交関係を有する友好国間において発生した事案ではない点には留意が必要で
ある。

1月20日付ブログ記事、メルマガ記事でも紹介したが、「アリの一言」ブロ
グ主宰者が、北朝鮮分断の経緯についての情報を提供されている。

同ブログは、北朝鮮分断の経緯について文献から、奈良女子大名誉教授中塚明
氏とオーストラリア国立大教授ガバン・マコーマック氏の指摘を紹介してい
る。

改めて転載させていただく。

「一九四五年八月十五日、日本が敗北するとすぐさま朝鮮建国準備委員会(委
員長・呂運亨)が結成され、八月末まで朝鮮全国各地に一四五もの人民委員会
がつくられる勢いでした。九月六日には、朝鮮人民共和国の樹立が宣言されま
した。首席にアメリカで活動していた李承晩、副首相に呂運亨という布陣で、
幅ひろい組織をめざしました。

しかし、アメリカは南朝鮮に軍政を施行し、朝鮮人民共和国を認めず、きびし
く弾圧しました。

…朝鮮人自身による独立政府樹立の運動がつづく中…

アメリカは、一九四七年、創設まもない国連に朝鮮問題を持ち込み、国連監視
下の南北朝鮮の総選挙を可決、翌年には南朝鮮だけの単独選挙実施方針を示し
ました」(中塚明奈良女子大名誉教授『日本と韓国・朝鮮の歴史』高文研)

「そもそも朝鮮の分断は、アメリカの一方的決定によるものであった。

…終戦直後の一九四五年九月、朝鮮に上陸し、朝鮮南部に軍事的支配を樹立し
たアメリカは、すでにその行政区域内に育っていた朝鮮人自身の萌芽的共和国
(呂運亨主導下の朝鮮人民共和国)とその草の根の組織である人民委員会の承
認を拒否した。…

日本の植民地体制と植民地統治が崩壊し、代わりにアメリカ支配が始まってか
ら、莫大な富と権力がアメリカ人の手に渡った」(ガバン・マコーマック・
オーストラリア国立大教授『侵略の舞台裏 朝鮮戦争の真実』影書房)



朝鮮分断は米国が主導したものであるとの見立てが正鵠を射ていることが分か
る。

朝鮮半島の最大の問題、悲劇は、朝鮮が他国の力によって南北に分断され続け
てきたという点にある。

南北の融和、南北の統一こそ、目指すべき目標である。

その南北の分断、韓国に対する支配を確保し、手放さずに来たのが米国なので
ある。

米国の韓国支配は韓国のためのものではなく、米国のためのものである。

その米国の支配下にある日本は、日本や韓国のための外交ではなく、米国の利
益を守るための外交を展開していると言わざるを得ない。

安倍首相は平昌五輪開会式への出席を見送ろうとした。

しかし、自民党内からの異論を受けて開会式出席を受け入れた。

そして、韓国の文在寅大統領との会談で五輪後の米韓軍事演習を督促する発言
を示し、文在寅大統領から内政干渉であるとの批判を受けた。

今回、南北朝鮮の首脳会談が実現したが、会談実現は文在寅大統領の指導力に
よるところが大きい。

文在寅大統領は米国のトランプ大統領にも積極的な働きかけを行い、その結果
として米朝首脳会談が実現する流れが生み出された。



こうした「対話」を軸とする朝鮮問題の解決については、中国、ロシア首脳も
歓迎の意向を明示し、ただ一人、安倍首相だけが「圧力一点張りの主張」を続
けてきたために蚊帳の外に置かれる事態が生じている。

安倍首相は訪米してトランプ大統領と首脳会談を行ったと弁明するが、トラン
プ大統領の対日外交のスタンスは、基本的に隷属国に対するものである。

トランプ大統領が昨年11月に訪日した際、入国の戸口になったのは横田基地
である。

トランプ氏は訪日後の最初の演説を、星条旗を背景に行った。

日本に対して独立国訪問の儀礼を踏まずに訪日し、そのまま横田基地から日本
を離れたのである。

安倍首相はトランプ大統領のマイアミの別荘を二度訪問しているが、安倍首相
を招いての夕食の会場は、二度ともファミレスのような食堂である。

安倍首相はゴルフをプレーしていることを宣伝するが、外交においては、どの
クラスの接遇を受けるのかが極めて重要なのである。

トランプ大統領は安倍首相と親しく接してはいるが、独立国家の首相として対
応しているというよりも、隷属国の総督と対応していることを「形式」によっ
て明示していると見られる。

4月24日に訪米したフランスのマクロン大統領は、トランプ大統領就任後、
米国が招く初めての国賓となった。

習近平氏夫妻が訪米した際には、安倍首相と同じマイアミの別荘を訪問してい
るが、夕食は格式の高い晩餐会会場であった。

つまり、日本は完全に格下の扱いを受けているのである。

南北朝鮮の問題についても、両国は南北朝鮮と米国、そして中国と協議して今
後の対応を進めることを明言した。

安倍外交の孤立無援ぶりが改めて明らかになったと言わざるを得ない。

拉致問題を抱えている日本であればこそ、関係各国から重視される発言力を確
保しなければならないのだが、安倍外交にはその力が完全に欠落していると言
わざるを得ない。



南北朝鮮の対話の実現は歓迎するべきことである。

しかし、核問題の解決が一筋縄でゆかぬことはすべての者が知っている。

北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長は、イラクやリビアの事例を念頭に入れて、
米国による軍事侵攻、国家元首虐殺のリスクを排除するためには、「抑止力」
を確保することが必要との判断を有してきたのだと思われる。

核廃絶後に国家破壊、元首虐殺という事態に遭遇することのないよう、いまな
お、警戒心はまったく解いていないと考えられる。

南北朝鮮の首脳会談で「朝鮮半島の完全非核化」の方針が明示されたが、その
実現に至る道のりは短いものではなく、また平坦なものでもないと予想され
る。

また、米国の軍産複合体の「産業事情」にとっては、極東地域の和平=平和確
立は最悪の事態であるとも考えられる。

米国は大陸間弾道ミサイルを排除して、中距離、短距離の核攻撃能力を容認す
る可能性さえある。

この「軍事的脅威」が日本や韓国の武装を正当化する大義名分になるからであ
る。

トランプ大統領が訪日した際も、トランプ大統領は日本への軍事装備品の販売
に極めて熱心であった。

この現実を見落とすわけにはいかない。



現代の戦争は「必然」ではなく「必要」によって「創作」されている。

「必要」とは軍産複合体が存続を続けるための「必要」である。

米国の軍事支出は年間5000億ドルを超える。

このうち約4割が武器、弾薬、兵器である。

円換算で20兆円を超す規模の支出が毎年注がれている。

世界が平和になれば、この軍事費が縮小せざるを得なくなる。

そのことが、軍産複合体存続の危機を招く。

したがって、軍産複合体は、「戦乱の火種」と常に「人為的に」創作し続けな
ければならないのである。

これが、軍事的脅威が煽られている最大の背景であると考えられる。



したがって、朝鮮半島の和平、平和の確立は容易なことではない。

しかしながら、分断された朝鮮民族にとって、南北の統一、和平の実現は悲願
である。

1989年にはベルリンの壁が破壊され、冷戦が終結。

そして、不可能と言われた東西ドイツの統一が実現した。

東西ドイツの統一はドイツ民族の悲願であり、不可能と言われたが見事に実現
を見たのである。

南北朝鮮が対話を始動させ、北の指導者が肉声をライブで全世界に発した。

さまざまな問題が残存しているとはいえ、大きな前進が実現したことは間違い
ない。

その驚くべき急転回を牽引したのは韓国の新大統領文在寅氏であることを、安
倍首相も謙虚に認めるべきである。



政治において重要なのは常に結果である。

安倍首相は拉致問題を必ず解決すると言ったまま、第2次安倍内閣発足後の5
年余りの間に、1ミリも前に進めることができなかった。

むしろ、解決への道のりが大きく広がったと言わざるを得ない。

一連の急転回においても、安倍首相はトランプ大統領にすがりつく以外に実効
性のある対応を何一つ示すことができていないのだ。

「圧力」だけを振りかざして1ミリも前進できなかった眼前で、堂々と「対
話」を基軸に活路を見出している文在寅大統領の手腕に学ぶ面が大きいと言わ
ざるを得ない。

日本では情報空間が政治権力によって不当に歪められており、とりわけ、公共
放送とされているNHKの偏向が著しいために、主権者国民は客観的で冷静な
視点からの論評に接する機会に恵まれないが、偏向した情報に惑わされずに、
世界外交の真実を正しく見抜いてゆかねばならない。

日本はアジアの一国であり、中国、韓国、そして、北朝鮮、ロシアとも、互恵
的で相互に信頼し合える友好的な関係を構築することを真摯に目指すべきであ
る。

それがアジアの平和と安定を確立する基礎になることを忘れるべきでない。

 
 
 
 
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