「共謀罪」法案の強行採決の日程が具体化してきました。何故そこまで安倍政権は共謀罪の成立に拘るのか?「共謀罪」法案に正統性はあるのか?
「共謀罪」の必要性について安倍晋三総理はテロの脅威を訴え、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催には不可欠と主張していましたが、思い起こせば3年半前のオリンピック招致演説では「2020年を迎えても世界有数の安全な都市」だと東京の安全性をアピールしていましたね。
いつの間に東京は危険な都市に変貌してしまったのでしょうか?
また、総理は今国会で、「共謀罪」について「国内法を整備し、国際組織犯罪防止条約を締結できなければ東京五輪・パラリンピックを開けないと言っても過言ではない」「法的制度の中にテロを防ぎ得ない穴があれば、おもてなしとして不十分だ」と強調しています。
ところが、政府が「共謀罪」成立必要性の拠り所とした国際組織犯罪防止条約について、この条約の「立法ガイド」の作成に携わった米ノースイースタン大学のニコス・パッサス教授は日本メディアの取材に対して「国際組織犯罪防止条約はイデオロギーに由来する犯罪のためではない。犯罪の目的について『金銭的利益その他の物質的利益を得ること』と敢えて入れているのはその表れで、思想信条に由来した犯罪のための条約はすでに制定され、国連安保理の決議もある。テロを取り締まるためには、これらが国際基準となっている」と明言しているのです。
これまでの政府側答弁が全く意味を成していない事が明らかになってしまいました。
当初から「共謀罪」法案については整合性のなさが指摘され、とても法的要件を満たせるような内容ではない事が専門家筋からも指摘されていました。
政府が主張する「2020年東京オリンピックに向けたテロ対策の強化」という主張も、実際の法案を見ると「テロ」の文言がどこにも存在せず、「組織的犯罪集団」の定義は曖昧で、なぜか「キノコの不正採取」(森林法違反)までが共謀罪の適用対象になっているなど、どこがテロ対策になるのか意味不明な点が多々あるのです。
「キノコの不正採取」までが共謀罪の対象になるのでは、飲み屋で
「家の近くにシイタケが生えているのだけど、一緒にシイタケ狩りに行かないか?」
「いいね!焼きシイタケで一杯やるか?」
というような会話も出来なくなります。
政府答弁では、「キノコの不正採取もテロの資金源になり得る」という事ですが、まるでブラックジョークです。こんな何処にでもあり得る様な会話まで共謀罪として法の網を被せるのは、国民を徹底監視し、「反政府的な言動があればいつでも、どんな罪でもしょっ引けるぞ」という脅しとしか思えません。
当然の事ながら、共謀の認定には監視や盗聴が前提となります。つまりは合法的に国民監視が出来る社会に変える事が「共謀罪」の狙いだと推察せざるを得ません。
そして、2020年を目標とした「改憲」が総理の口から飛び出しました。共謀罪で脅しをかけながら、改憲批判を封じ込める魂胆なのでしょう。
このような「共謀罪」ですが、一方では政治家が関係するような公職選挙法や政治資金規正法違反などが、共謀罪の適用対象から外されています。つまり、政治家と選挙事務所が『組織的』に選挙違反を計画したり、国会議員と秘書が政治資金規正法に触れることを『共謀』しても、捜査や処罰の対象にはならないということなのです。自分たちには「共謀罪」は適用されないぞという驕り、ご都合主義には唖然茫然です。
憲法第14条に『すべて国民は、法の下に平等であって、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない。』とありますが、共謀罪は憲法第14条に反しており、この共謀罪自体が憲法違反となっています。
他にも以下の様に、共謀罪の違憲性について指摘されています。
東京新聞より
読者の方から「共謀罪」についてお寄せ頂いた情報から、一つご紹介させて頂きます。
<以下、記事より一部抜粋>
刑事法体系を崩壊させる権勢史上最悪の暴挙!
共謀罪の趣旨を盛り込んだテロ等組織犯罪準備罪を新設する組織的犯罪処罰法改正案に関して自民党と公明党は5月17日(水)の衆議院法務委員会と5月18日(木)の衆議院本会議で採決する方針を固めました。今国会中の成立を目指している政府・与党は予定審議時間の30時間に達した時点で野党の反対を押し切ってゴリ押しするようです。
採決を急ぐ理由はイタリアのタオルミナで開かれる「サミット」に出席する安倍晋三の面子です。驚くべき事に「公聴会」を開催せずに採決する噂もあります。審議時間は問題ではありません。条文が修正されなければ無意味です。法務大臣でさえ理解できていない悪法の成立を急ぐ正当性はまったくありません。これは事実上の強行採決です。
日本の刑事法体系を崩壊させる権勢史上最悪の暴挙。民進党を中心とする野党4党は金田勝年法務大臣の「不信任決議案」を提出して徹底抗戦の構えです。しかし、参議院への送付は止められません。反対派は参議院に送られた後の事を考えて与野党に意見していく必要があります。
表現規制反対クラスタは警戒レベルを上げるべし!
再掲。共謀罪の危険性は二次創作やパロディを対象外にした程度では除去できません。法案の賛否以前に最低限「著作権侵害」「強制猥褻等の性犯罪」「児童買春・児童ポルノ禁止法」の3点は削除するように定義の明確化を求めていく必要があります。表現規制反対クラスタは「憲法改正に匹敵する最凶の表現規制案」である事を念頭に置いた上で成立阻止に全力を尽くすべきです。内心の自由を脅かす悪法に妥協して「表現の自由を守る」は通用しませんよ?。
<ここまで>
「共謀罪なんて俺たちには関係ない」 「俺たち、テロなんて考えないもんな」 「パヨクの連中は自分らが捕まるから必死だな」 「在日や反日は共謀罪で捕まればいい」
といった発言がネット上に溢れています。
彼らは共謀罪によって日本が北朝鮮の様な監視社会、密告社会になっていく事を理解しているのでしょうか?
テロの防止は私も必要だと思います。テロ犯罪防止に関する法律は「凶器準備集合罪」「内乱陰謀罪」「私戦陰謀罪」・・等多数ありますが、仮に現行法で不足する部分があるのなら、現行法の改正で済む話ではありませんか。
「所得税法」や「著作権法」、前出の「森林法」等、大よそテロとは無縁の法律違反まで「共謀罪」対象とするのは明らかに異様です。
そもそも金田法相自身が法案の説明が全くできません。答弁内容もコロコロと変わっています。 法務大臣でさえ理解していない法案をごり押しする理由が分かりません。
こんな曖昧な法律が施行されたら、私たちは恐ろしくて、他人と迂闊な話もできません。ブログもTwitterも監視されているとすれば、何も発言できません。
法の目的や根拠が不明確で、違憲性が高く、法的整合性も無く、政治家が対象外となるようなフザけた「共謀罪」法案に私たちは反対するしかありません。