クリックお願いします。(*_*)??Σ(・□・;)
植草一秀の『知られざる真実』」
2016/04/19
安倍政権は早急に補正予算を編成するべきだ
第1414号
ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2016041913271732710
EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-33319.epub
────────────────────────────────────
熊本県を中心に発生した大規模な地震災害。
被災された方は避難生活を余儀なく迫られている。
多くの方が犠牲になり、また負傷されている。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、負傷された方のご回復を心か
ら祈念する。
また、早急な復旧により、被災された方々が一刻も早く生活の安定を回復され
ることを願う。
そのために必要不可欠な要素が行政の活動である。
その際に、十分に留意するべきことは、
「市民のための行政」
であって
「行政のための市民」
ではないことを明確に認識することだ。
日本は中央集権の国で、行政機構における
タテの関係が強い。
タテの関係とは、
上下の関係である。
この上下の関係のトップに中央がある。
このトップの中央は霞が関であり、そのトップに内閣総理大臣が位置する。
この関係が災害対応、被災地復旧にそのまま適用されてしまう危険が大きい。
しかし、本来のあり方は違う。
国民主権というのは、主権者である国民を主役とする考え方である。
公務員は君臨する存在ではなく、国民に対して奉仕する立場にある存在であ
る。
主権者である国民を下から支えるのが公務員である。
上に君臨して、上から国民を支配するのが公務員ではない。
日本国憲法第15条
公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。
○2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。
憲法には国民と公務員の関係が明記されている。
公務員は奉仕者であって支配者ではないのである。
そして、内閣総理大臣も公務員なのである。
この公務員を選定し、罷免する権利を主権者である国民が有している。
災害があり、被災地への行政からの支援があるときに、
「上から目線でものを見る」
ことを改めるべきである。
天災が発生し、被災者を助けることは、行政の役割であり、その基本的な姿
は、主権者である国民、住民、市民を、上から支配するのではなく、下から支
えるべき存在なのである。
被災地で被災者に対して物資の配給を行うために、大行列ができている。
被災された市民は、秩序正しく、冷静に、温厚に、行動されている。
しかし、物資の輸送は滞り、必要十分な対応ができていない。
水道、ガス、電気のライフラインが復旧していないために、被災者は自宅に戻
ることができず、極めて劣悪な居住環境に置かれている。
被災者の置かれている環境は厳しく、高齢者や乳幼児、そして女性の困窮は強
まるばかりである。
この状況下で、行政機構にある者は、霞が関、永田町を頂点とする、国民主権
に逆行する「上からの支配」の発想を徹底して排除することが必要である。
民主主義、国民主権と、官僚支配、中央集権とは、根本的に相反する部分があ
る。
民主主義の特性のひとつは
多様性
であり
地域主権なのである。
内閣総理大臣の言動を上からの指令であるかのように、祭り上げる報道の姿勢
は、被災地支援、災害対策の基本を見誤らせるものである。
主権者は税金を納めて行政サービスを支えている。
行政サービスは主権者の資金負担で支えられ、主権者に奉仕をすることが根本
的な位置付けなのである。
主権者、市民、住民が行政サービスを提供する公務員に横柄に、横暴に振る舞
うべきではないが、主権者は行政サービスを適切に受ける権利を有しているこ
とを明確に認識し、公務員は市民への奉仕者であるという基本を明確に認識し
て対応することが求められる。
安倍政権は震災対策としての財政政策対応について、補正予算の編成は今すぐ
に必要ないとの見解を示している。
「補正予算検討の段階にない、まず予備費で対応=熊本地震で財務相」
http://jp.reuters.com/article/aso-idJPKCN0XG013
麻生太郎財務相は19日の閣議後会見で、熊本・大分での地震への財政上の対
応について、まずは2016年度当初予算に計上した予備費3500億円の中
で対応する考えを示した。現段階では被害額の全体像が明らかになっていない
ため、補正予算の編成を検討する段階ではないと語った。
(ロイター)
この発言の真意はどこにあるか。
安倍政権は5月26-27日のサミットに合わせて経済対策を提示する予定で
ある。
5月18日には1-3月期GDP統計が発表される。
1-3月期のGDP成長率もマイナスになる可能性がある。
この経済統計を受けて、5月下旬のサミットに向けて経済対策を発表する予定
である。
また、5月上旬には日ロ首脳会談も予定している。
すべては、7月の参院選に向けての対応である。
財政政策については、5月に総合経済対策を打ち出し、秋の臨時国会に補正予
算案を提出して対応するものと見られるが、日本の経済実勢を踏まえるなら
ば、補正予算編成は前倒しする必要がある。
そのような情勢の下で今回の大規模な震災が発生したのであり、本来は、早急
に補正予算の編成に入るべき局面だ。
日本の財政政策対応は、2016年度に強度の緊縮に転じている。
さらに、2017年4月の消費税率10%への引き上げも予定されている。
このまま進めば、日本経済が極めて深刻な不況に転落してしまう。
安倍政権は2012年12月の政権発足当初は、財政金融政策の総動員の方針
を掲げたが、実際に実行したのは2013年だけであった。
2014年は大増税を実行し、2015年以降は緊縮財政路線を敷いている。
この緊縮財政の強度が2016年には一段と強化される。
為替市場においても、2015年6月以降は円安トレンドから円高トレンドに
転換しており、従来の円安・株高図式も消滅してしまっている。
サミットに向けて、効果的に政策発表を演出したいとの思惑が強いのだと思わ
れるが、大規模震災が発生したことを踏まえて、被災者の生存、生活を支える
ための施策を全力を挙げて取り組むべき局面である。
補正予算編成を行うためには関係省庁の対応も不可欠であり、この意味でも、
TPP関連審議を、この段階で無理に強行する必要はない。
政府、政権が国会対応に追われている間、被災地の被災者支援行動に、深刻な
遅れが出ていることを重視するべきである。
このような事態に際して、国民の生命、自由及び幸福を追求する権利に最大の
配慮を行うことは、政府の本来的な責務であり、迅速な対応、果断な対応が強
く求められる。
そのためには、十分な財源措置も必要になるわけで、予備費の充当と言わず
に、早急に補正予算編成での対応を示すべきである。
政府の対応に真摯さが不足している。
4月17日衆院5区「池田まき大応援会(緊急大集会)(札幌厚別中央公園)
全国から力強い応援が送られてきている鳥取からは、安倍政権を倒すにはまず池田まきさんを当選させねばならぬ!という、ブログの投稿もある。安倍政権が進める黒塗りのTPP参加が決まれば、北海道は壊滅的悪影響を受けることは明らかなのである。北の大地を守り抜くためにも何としても野党統一候補の池田まきさんを、当選させなけらばならない。
「植草一秀の『知られざる真実』」
2016/04/18
「植草一秀の『知られざる真実』」
2016/04/17
熊本震源と中央構造線でつながる川内・伊方原発
第1412号
ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2016041713401132674
EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-33283.epub
────────────────────────────────────
NHKは2011年3月12日正午頃のニュース放送で次のように放送した。
「そして、原子力発電所に関する情報です。
えー、原子力安全保安院などによりますと、福島第一原子力発電所一号機で
は、原子炉を冷やす水の高さが下がり、午前11時20分現在で、核燃料棒を
束ねた燃料集合体が水面の上、最大で90センチほど露出する危険な状態に
なったということです。
このため消火用に貯めていた水など、およそ2万7000リットルを仮設のポ
ンプなどを使って水の高さをあげるための作業を行っているということです。
この情報を繰り返します」
この原稿を読み上げたあと、約7秒間の沈黙があった。
すると、アナウンサーの横から
「ちょっとね、いまの原稿使っちゃいけないんだって」
という声が入った。
するとアナウンサーは、最初の原稿を繰り返し読み上げるのをやめて、
「改めて原発に関する情報です。
福島県にある福島第一原子力発電所の一号機では、原子炉が入った格納容器の
圧力が高まっているため、東京電力が容器内の空気を外部に放出するベントの
作業を始めましたが、格納容器のすぐ近くにある弁を開く現場の放射線が強い
ことから、作業をいったん中断し、今後の対応を検討しています。」
と別の原稿を読み上げたのである。
いまもネット上に、この音声が公開されている。
http://goo.gl/jKmTJ
NHKは、地震が発生した2011年3月11日の翌日正午のニュースで、炉
心溶融の事実を報道したのである。
報道してしまってから、
「いまの原稿使っちゃいけないんだって」
の声が入り、事実を隠蔽した。
政府は、原発メルトダウンの事実を隠蔽し続けた。
これがNHKの正体である。
NHKは今回の熊本自身の震源地を図解する際に、鹿児島県を含む地図を一切
映し出さない。
今回の地震は中央構造線で発生している。
本ブログ、メルマガでは、最初の地震が発生した翌日である4月15日午前1
0時の記事に、1596年に発生した
慶長伊予地震、慶長豊後地震、慶長伏見地震
について記述するとともに、地震の連鎖、広がりについて警告を発した。
そして、4月16日午前1時25分にM7.3、震度6強の地震が発生した。
さらに、
午前3時55分頃に 震度6強
午前9時48分頃に 震度6弱
の地震が発生した。
地震の震源地は熊本、阿蘇、大分に分散しているが、そのすべてが
「中央構造線」
上で発生している。
その後、この1596年の地震についての報道が激増した。
中央構造線上の地震の連鎖に関する報道が激増したのである。
問題は、この中央構造線上に、
四国電力伊方原子力発電所
九州電力川内原子力発電所
が存在することである。
しかも、気象庁は4月17日になって、
「震源地が南西方向に移動する兆候が観測される」
という重大な事実を発表している。
地震の震源地の南西方向に、川内原発が立地している。
直ちに九州電力川内原発の運転を停止することが絶対に必要である。
NHKは震源地の地図を示す際に、鹿児島県が表示されないようにしている。
日本国民にとって、川内原発における直下型地震の発生は死活問題である。
当然のことながら、断層が鹿児島県川内原発方面に伸びているのかどうか、川
内原発近辺での地震発生の可能性を論じることが必要である。
結論として断定的な判断を下すことはできない。
しかし、同じ中央構造線の延長にある川内地域で巨大な直下型地震が発生する
可能性を排除することはできない。
リスク管理の鉄則は
「安全策を取る」
ことだ。
川内原発を直ちに運転停止するべきである。
2013年2月1日に、政府地震調査研究推進本部(本部長・文部科学大臣)
の地震調査委員会が次の事実を発表した。
川内原発のすぐ南にある五反田川断層は九州電力の発表より、はるかに川内原
発に近いことが明らかになった。
また、断層の長さも、九州電力の判定で19kmであったものが地震調査研究
所の調査で25kmであったことが判明した。
また、出水断層と甑(こしき)海峡中央断層の間は、不自然に断層が途切れて
いることとされているが、断層は連続していると考えられるのであり、川内原
発に極めて近い地点を北東から南西に活断層が走っている疑いが濃厚である。
つまり、九州電力川内原子力発電所は、活断層の真上に立地している疑いが強
い。
かつ、この活断層は、日本最大の活断層である、中央構造線上の断層である疑
いが強いのである。
熊本で発生した地震は、当初東北方向に広がりが示され、その後、現在にかけ
て南西に広がる傾向を示している。
気象庁が
「熊本県での地震活動の範囲がこれまでよりも南西側に広がっている」
という見解を示していることを軽視してはならない。
上記の政府地震調査研究推進本部は、
熊本県を縦断する日奈久断層帯を「高野・白旗区間」、「日奈久区間」、「八
代海区間」の3つの区間に分けている。
このうち、北東側の「高野・白旗区間」が4月14日の震度7を観測した地震
でずれ動いたとみられている。
この区間とは別の区間の活動が活発になったと指摘されている。
「日奈久区間」ではマグニチュード7.5程度、
さらに南側にあたる八代海区間ではマグニチュード7.3程度
の地震が起きる可能性があると指摘されている。
この日奈久断層帯の南側に、鹿児島県の出水断層帯がつながり、さらに、その
延長上に甑海峡中央断層帯がつながっている。
この出水断層帯と甑海峡中央断層帯の間に川内原子力発電所が位置しており、
不自然に川内原発立地地点だけは断層帯が走っていないこととされているが、
実際には、原発直下を断層帯が走っている可能性が高い。
実際に、1997年3月26日にM6.6、震度5強、5月13日にM6.
4、震度6弱の地震が発生している。
川内原子力発電所は、極めて危険な場所に立地しているのである。
他方、愛媛県伊方氏に所在する四国電力伊方原子力発電所も、中央構造線上に
立地する原子力発電所である。
小出裕章氏も、「小出裕章ジャーナル」において、次のように述べている。
「昔、小松左京さんが『日本沈没』という小説を書いたことがあるのですが、
あの小説は日本最大の活断層に中央構造線という活断層があるのですが、中部
地方からずーっと関西を横断して、四国を横断して、九州まで伸びていくとい
う巨大な活断層なのです。
その『日本沈没』では、巨大な中央構造線の活断層が割れて、日本が太平洋に
滑り落ちていくという、そういうことを書いた小説だったのですが、伊方原子
力発電所の敷地の前面に、その日本最大の活断層、中央構造線が走っているの
です。
もし、それが動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろう
と思います。
その上、伊方の場合にはそれだけでは済みませんで、「日本でこれから巨大な
地震が起きる」と世界中の地震学者が言っていまして、東海地震、東南海地
震、南海地震と呼ばれているような中部地方から関西、四国、九州に伸びてく
ような地域に、巨大なやはり地震の渦がありまして、そこで、近い将来必ず大
きな地震が起きると世界中の地震学者が言ってるわけですから、伊方原子力発
電所というのは中央構造線のおそれ、そして、南海地震のおそれというよう
に、南北から挟まれた形で存在しています。」
NHKは震源地を示す地図から、意図的に鹿児島県を排除するというような、
恣意的な放送をやめるべきだ。
NHKは政府の御用放送の傾向を一段と強めている。
熊本県南西部の日奈久断層帯の活動が活発化している。
この南に、鹿児島県の出水断層帯がつながり、その南が川内原発があり、さら
に、甑海峡中央断層帯につながっている。
日奈久断層帯から甑海峡中央断層帯にかけての大地震発生のリスクは間違いな
く高まっていると考えられる。
川内原発の運転停止を命じない安倍政権は、国民の生命を第一に考える姿勢を
保持していないと断じざるを得ない。