曲学阿世:真実を追求し、虚実の世間に迎合するようなことはしたくない。

真実を曲解し不正な情報によって世間の人々にこびへつらい、世間にとり入れられるような、ことはしたくない。

原爆と原発の「悪魔の双子」と訣別する選択

2015年08月03日 20時48分38秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                   

            植草一秀の『知られざる真実』」

                            2015/08/03

原爆と原発の「悪魔の双子」と訣別する選択

          第1208号

   ウェブで読む:http://foomii.com/00050/2015080314112027912
   EPUBダウンロード:http://foomii.com/00050-28565.epub
────────────────────────────────────
私が金融市場の前線で金利、為替、株価の動向を分析していたときに、

「政治経済学的な分析」

の重要性を常に強調していたのが、直系の担当役員だった。

経済金融分析における基本視点は、この上司の示唆によって身に付けたもので
ある。

この上司が興味深い本として紹介したのが、

広瀬隆氏による

『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』1982年12月(文藝春秋)

『億万長者はハリウッドを殺す』上下 1986年4月(講談社)

だった。

そして、この広瀬隆氏が1991年に刊行した衝撃の著書が

『赤い楯―ロスチャイルドの謎』上下 1991年11月(集英社)

だった。

福島の原発事故が発生した半年前には、

『原子炉時限爆弾 大地震におびえる日本列島』 2010年8月 (ダイヤモンド社)

http://goo.gl/XceiuX

を刊行されている。

1896年6月15日に発生した明治三陸沖地震で岩手県綾里に38.2メー
トルの津波遡上高が記録されていることを指摘。

太平洋沖で巨大地震が発生し、津波によって原発が過酷事故を引き起こすリス
クが差し迫っていることを指摘した。



『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』

『億万長者はハリウッドを殺す』

は、がんや白血病で死んだハリウッドスターの死因とネバダ州で行われていた
大気圏内核実験の因果関係を示唆した著作である。

私の上司は、広瀬氏のこうした分析視点に着目していたのである。

「「経済金融の諸現象の裏側にあるさまざまな事象」を正確に理解して、初め
て表面に出てくる経済、金融の変動を読み解くことができる。」

世界経済を支配しているのは、実はひとにぎりの巨大資本である。

そして、巨大資本は、世界経済を支配するために、情報空間を支配する。

情報空間を支配するためには、

政治権力を支配し、

情報機関を支配する

ことが必要になる。

世界経済を支配する巨大資本は、現実に、この二つを実行している。

だから、一般の市民は、知らぬ間に、その支配下に置かれてしまっているので
ある。



広瀬氏が新著

『東京が壊滅する日――フクシマと日本の運命』

(ダイヤモンド社、1728円)

http://goo.gl/giZZWz

を刊行した。

出版社による内容紹介には次のように記される。

「壮大な史実とデータで暴かれる戦後70年の不都合な真実!

51の【系図・図表と写真のリスト】と科学的データで迫る知的興奮の書!

タイムリミットはあと1年しかない!

今、おそるべきことが日本人の体内で音もなく進行している!次の被害者はあ
なただ!」

著者はあとがきでこう指摘する。

「地震と噴火の発生点を点で結ぶと、東日本大震災の“余震”だけではなく、
「大震災前から続いてる日本列島全体を揺さぶる太平洋プレートの動き」
が、”新たな地震“を起こしていることは明らかだ。

日本最大の活断層・中央構造線が動けば、鹿児島の川内原発と愛媛県の伊方原
発は一撃で吹っ飛び、日本は壊滅する。

いや、妙に静かな福井県の若狭には東日本大震災以降4年分の地底エネルギー
が大量にたまっているから、この”空白域“が一番先に動くかも知れない。

それでも原発の再稼働にゴーサインを出してきた重大犯罪者の原子力規制委員
会と原子力規制庁を、日本が全滅する前に解散させることが、第一だ。」

福島の現実を、誰よりも正しく、的確に予測した広瀬氏の言葉であるだけに、
軽視できない。

すべての日本国民が熟読し、現実の背後にある、この世の巨大なメカニズムを
知っておく必要がある。



上掲書

『東京が壊滅する日』

の記述を紹介する。

「福島県内では、「福島県民健康管理調査」と銘打って、フクシマ大事故が発
生した二〇一一年度から、”被災した時点でほぼ18歳以下だった青少年“を
含む子供たちの甲状腺検査が行われてきたが・・・・・・そこで発見された
「甲状腺癌」と、「癌の疑いある子供」の数は、日を追って、また年を追うご
とに激増して、親を戦慄させるべきものになりつつある。」

「国立がん研究センターがん対策情報センターによれば、フクシマ事故が起こ
る前の35年間では、10万人にあたりの甲状腺癌は、全国で年間0.175
人である。

これに対して、フクシマの同年代の子供たちでは「検査人数が30万1707
人で、115人が発症した」とすると、10万人あたり38.1人で、検査期
間が3年なので、1年あたりでは12.7人になる。

福島県発症率12.7人÷平常値0.175人=平常考えられる数値の72.
6倍である。これは厳密な意味での統計学的比較ではないが、恐るべき数字だ
と思われないだろうか。」

政府は全数調査で結果が跳ね上がっていると主張する。

だから、広瀬氏は、あえて

「厳密な意味での統計学的比較ではない」

と断り書きを入れているが、フクシマで甲状腺癌が大量発見されていることは
紛れもない事実なのである。



政府はフクシマ事故の影響を小さく見せるために、

IAEA(国際原子力機関)



ICRP(国際放射線防護委員会)

の見解を多用する。

国際機関が公表する見解こそ、「真実の情報」であるとして、これを根拠にフ
クシマ事故の影響を小さく見せることに腐心する。

しかし、このIAEAとICRPこそ、悪の巣窟であると広瀬氏は指摘する。

「本書の結論を言えば、「IAEAとICRPは、軍人と軍需産業によって生
み出された原子力産業の一組織であり、彼らの定める“安全”基準値は、医学
とは無関係である」のだ。」

「本書の結論を最初に言うなら、その福島県だけではなく、「東京を含めた東
日本全域で急いで適切な対応をとらなければ大変な事態を招く」、このこと
は、確信を持っていえることである。」



広瀬氏は核実験を繰り返した米国のネバダ州の周辺で、現実に何が起きたのか
を解説する。

『ジョン・ウェインはなぜ死んだか』

『億万長者はハリウッドを殺す』

で明らかにした、現実の、事実の記述を再度明示するのである。

米軍とAEC(原子力エネルギー委員会)、そして米国大統領は、

北東に風が吹いている時をねらって原爆に点火したのである。

人口が密集している地域に死の灰が降らないように配慮したのだ。

「ハリウッドを含むロスアンジェルスなどの大都会を避けるため、カリフォル
ニア州に向かって風が吹いている時には、一度たりとも原爆実験をおこなわな
かった」

のである。

「ネバダ州およびアリゾナ州の一部と、ユタ州全土を含む地域に集中して、死
の灰が降り続けたのである。

セント・ジョージは、この降灰地帯のなかにあって、核実験場に近い位置に
あった。

セント・ジョージで生活していたモルモン教徒の住民は、モルモットにされた
のだ。

東部の上流社会に対する、”アメリカの田舎“として切り捨てられたのであ
る。」



フクシマでいま起きていることが、正しく伝えられていない。

甲状腺癌の発症が明かに急増していることは事実である。

そのことに対する、客観的で正確な評価さえ、きちんと伝えられていない。

一方で、原発周辺地域への「帰還」計画だけが強力に推進され、原発事故被害
者に対する補償が早期に打ち切りされようとしている。

原発事故発生の責任はまったく問われず、

事故被害者に対する補償は十分に行われず、

健康被害についての情報が隠蔽されている。

このなかで、安全性がまったく確保されていない鹿児島県の川内原発の再稼働
が強行される見通しである。

広瀬氏は、

「原爆と原発と“双子の悪魔”」

であると喝破する。

そして、いま日本は、

「希望か、絶望か、『選択』の大きな岐路にある」

と広瀬氏は指摘する。

『東京が壊滅する日』

をすべての主権者が熟読し、日本が悪魔の道に引きずり込まれぬよう、私たち
主権者が間違いのない『選択』をしていかなければならない。