セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「料理長(シェフ)殿、ご用心」

2011-08-28 00:15:49 | 外国映画
 TVの日曜洋画劇場で「キャット・バルー」(E・シルヴァースタイン監督
1965年・米)を見て、ジェーン・フォンダのファンになったのが、思えば
外国女優に憧れた出発点。
 以後、本線ではジャクリーン・ビセット、リンゼィ・ワグナーと変わって
いきましたが、その他にも、カトリーヌ・ドヌーヴ、キャンディス・バーゲン、
ジュヌビエーヴ・ビジョルド、スザンナ・ヨーク、サンディ・デニス、スーザ
ン・ジョージ、彼女たちの出てる映画を追っかけて名画座を歩き回りまし
たっけ。
 今回は、その本命ラインの一人、J・ビセットの作品。

 「料理長(シェフ)殿、ご用心」(1978年・米)テッド・コッチェフ監督 出
   演ジャクリーン・ビセット、ジョージ・シーガル、ロバート・モーレイ
   音楽ヘンリー・マンシー二

 ビセットが本当に美しかったのは、この作品と「アメリカの夜」、「ディー
プ」の頃ではないでしょうか、その3本の中でも、腕利きのパティシェを演
じた、この「料理長殿、ご用心」が、個人的には一番綺麗だったと思いま
す。
 でも、残念ながらDVD化されていないので確認出来ませんが。(笑)
 物語は、世界に名を轟かせる一流シェフが、得意の料理に因んで殺さ
れていくというもの、前菜からデザートへの順番通りに殺人が進みます。
 成る程、ヒロインをパティシエにすれば順番は一番最後、原作者は上
手く考えたものです。
 純粋なサスペンス映画ではありません、「シャレード」のようなサスペン
ス・コメディですが、洗練された「シャレード」と比較すると「まあまあ」の部
類といった所でしょうか。

 コメディの傑作「ウィークエンド・ラブ」で軽妙な演技を見せたJ・シーガ
ルは、この作品でも好演してるし、グルメの権威マックスを演じたR・モー
レイもハマってる、出番は少ないけど、僕の好きな仏俳優F・ノワレもいる、
ストーリーだって悪くない。
 ビセットは・・・。
 まあ、この人は格別上手い人じゃないです、ハッキリ言って演技は並。
 この作品でも、世界一のパティシエには残念ながら余り見えません、コ
メディ・センスも余りないと思います、もう少し表情に柔軟性がないとコメ
ディは務まりません。
 でも、足を引っ張るばかりではないですよ。
 この作品を憶えている人なら、この時のビセットの美しさは印象に残っ
てるハズ、「料理長殿、ご用心」が現在でも忘れ去られずにいるのも、隠
れたファンが案外多いのも、ビセットの美しさが随分貢献してると思いま
すから。
 そう考えると、佳作の域に留まってしまったのは演出が原因という事に
なります。
 サスペンスとしては緊迫感に欠け、コメディー・パートもビセットの硬い
演技があって弱い、それが、結果として作品全体のメリハリ不足を招いた
上、肝心なネタバラシの場面、多少の意外性はあれどサスペンス性はゼ
ロに近く、殆んど情緒で流してしまった、ここは、かなりの致命傷になって
ると思います。

 ちょっと辛辣になってしまいました。
 自分で書いといて、こう言うのもナンですけど・・・。
 そこまで酷い映画じゃないです、楽しめる映画ですし、面白い映画です。
 役者は頑張ってるし、出てくる料理を見てると本当に食べたくなるし、筋
立てもユニーク、ビセットは彼女が作ったデザート(ラ・ボンブ・リシュリュー
)より余程美味しそうですから。(笑)

 という訳で、この映画、「ウィークエンド・ラブ」共々、一刻も早いDVD化を
切望しています。


・この作品に出てるF・ノワレの、もう一本の食べ物映画「最後の晩餐」、お
金が乏しくてお腹が空いた時は、これをお勧めします、間違いなく食欲が
減退しますから。(と言っても、これも未DVD化ですけど~こっちは別にし
なくても全然差し障りありませんがね)
 
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6 コメント

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Unknown (ロッカリア)
2012-04-10 23:45:32
鉦鼓亭さん、どもどもです。
コメントありがとうございます。
リンクの件は、当方でも早速貼らせて頂きました。
今後とも宜しくお願いします。
この記事が書かれた去年には、まだDVD化になっていなかったんですね。
私は今年、予約してすぐに買っちゃいました。
原作と違って、サスペンス色は皆無に等しいですよね。
その分、コメディ色がかなり強く出てますが、今見るとやっぱり懐かしい作品です。
演技よりも、ジャッキーの美しさやセクシーさを優先したとしか思えない起用ですが、私はまんまとハマってしまいました。
このブログの記事は、私の好きな作品や懐かしい作品ばかりが取り上げられているので、困ったもんです!(笑)
少しづつですが、読ませて頂きたいと思います。
返信する
コメント、ありがとうございます (鉦鼓亭)
2012-04-11 02:05:22
ロッカリアさん
リンクの件、本当にありがとうございます。
偏屈で勝手な解釈ばかりですが、
どうか笑わずに宜しくお願い致します。

そう、これ書いた時は、まだDVD情報が上がってなくて。
僕も完全に脊髄反射で密林に予約ポチッです。
ただ、正月に甥っ子、姪っ子に「お年玉」むしり取られて、完全空ッケツ状態を修復出来ない内に届いたので、女房に借金しました。

記憶で書いたので間違いが多く、更に、その修正を怠けてたので、ちょっと恥ずかしいです。
このDVDの後に続けて「アメリカの夜」を見たのですが、どっちが綺麗か、というと今の気分は少し微妙。
ただ、こちらのジャッキーの方がキュートという気はします。
似たジャンルなので、どうしても傑作「シャレード」と比較されてしまう運命なのが不憫ですが、
「シャレード」はグラントとヘプバーンという超強力コンビに加えて脇のアンサンブルも抜群の映画、こちらは、良くも悪くもジャッキー1人の映画という感じがします。
単体として観れば、充分、面白い作品だと思うんですけど。

当時、余り名画座に掛かる事のなかった「悪魔のワルツ」を新宿でやると聞いて、すっ飛んで行きました。
ジャッキーばかり見ていたのか、今となっては、幾つかの(ジャッキーが出てる)シーンが浮かぶだけで・・・。(笑)
返信する
こんにちは☆ (miri)
2015-11-13 14:58:29
鉦鼓亭さん、お元気にしていらっしゃいますか?
お忙しいと思いますが、風邪ひかないで下さいね!
ちょっとご無沙汰しているので、ご機嫌伺いに参りました♪

この映画、今年の春に再見しました。
全然覚えていなかったので、初見同様でしたが・笑。
DVDは発売されてもレンタルにはなっていないので、VHSを借りて見ました☆
映像は良くなかったけど、当時の彼女を思い出したりして・・・そういう意味では良かったです☆

> ちょっと辛辣になってしまいました。
> 自分で書いといて、こう言うのもナンですけど・・・。
> そこまで酷い映画じゃないです、楽しめる映画ですし、面白い映画です。

DVDは美しくなっているのでしょうか?
でもこの映画は、申し訳ないけど、いま現在の方が初見なさっても
どこからどう斬っても、平凡な作品としか映らないような気がしました・笑。

あの時代の彼女ら・・・今のスターさん達とはちょっと違って
やっぱり愛すべき時代のヒロインという事だったのでしょうね~?

DVDでの再見のご感想を、良かったらお聞かせ下さいネ~☆
元気なmiriより


返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2015-11-13 23:24:28
 miriさん、こんばんは
 コメントありがとうございます

ちょっと映画の接点がなくて、ご無沙汰してます。(汗)

DVDは美しくなっているのでしょうか?
>結構、綺麗になってるんじゃないでしょうか。
「シャレード」の線を狙った作品なんだろうけど、悲しいかな監督のセンス不足。
題材は悪くないと思うのですが、演出にキレがない気がします。
でも、ビセットと料理を堪能する作品なので、僕は満足しています。(笑)
(ビセットのデザートが一番食欲をそそらないのは残念)

先週末は仲間と還暦旅行会。(笑)
滅多に会えない名古屋の仲間も来てくれて。
一番、映画観てたし(ビデオの無い当時、年250~300本観てた)詳しい人間で、昔、ベストは「風と共に去りぬ」と言ってたので、
「今は?」と聞いたら、
「今も変わらん」とのこと。
今回、お互い「フォロー・ミー」が大好きと解って、もう少し、映画の話をしたかったけど、中々、そういう訳にいかなくて、ちょっと残念でした。
映画研究会OB会だけど、共通の話題は昔話と現在の「病気自慢」。(笑)

明日は映画を観にいく予定・・・なのですが、未だ候補2本のうち、どちらか決まらなくて。
これから考えます。(汗)

お忙しいと思いますが、風邪ひかないで下さいね!
ちょっとご無沙汰しているので、ご機嫌伺いに参りました♪
>優しいお言葉、ありがとうございます。
miriさんも風邪など引かぬようお気をつけて。
日暮れ後、小雨が降り空気が入れ替わったきがします。 
返信する
ご無沙汰しております (*jonathan*)
2016-03-17 18:45:12
こんにちは!お久しぶりです!
古い記事にスミマセン。この映画を先ほど観ました。

この軽さ・緊張感のなさ、私は大好物でした♪
確かにビセットがコメディに振りきれてないのが残念でしたが、シーガル氏のハジケっぷりが埋めてくれてたので楽しめた感じです。
※実際にビセットがコメディ的ぶっ飛び演技(なんだろ、それ 笑)をしていたら、それはそれで引いちゃうかも(笑 わがまま)
ジョージ・シーガル、いいですねー。以前お薦め頂いた「ウィークエンド・ラブ」は、未だ機会が巡ってこないんですが、益々観られる時が楽しみになりました。
返信する
いらっしゃいませ! (鉦鼓亭)
2016-03-17 23:09:28
  *jonathan*さま、こんばんは!
 コメントありがとうございます!

古い記事にスミマセン>とんでもない!何処でもウェルカムです。

この軽さ・緊張感のなさ、私は大好物でした♪
>良かった!かなり軽い作品だし今観ると評価の割れる作品だったので、ホッとしました。

ジョージ・シーガルは’70年代が一番売れてた役者さんだった気がします。
「ヴァージニア・ウルフなんかこわくない」でアカデミー助演男優賞(ノミネート止まり)取り損ねたりしてますが、コメディ系で光る人でした。
(シリアス系の「ヴァージニア~」は4人の話だけどJ・シーガルだけが思い出せないし、「電子頭脳人間」なんて最悪だった)
でもコメディ系の情けない役だと本作や「おかしな泥棒 ディック&ジェーン」、そして「ウィークエンド・ラブ」(Gグローブ賞コメディ部門受賞)等、ハマルんですよ。(笑)
昔は「サウンド・オブ・ミュージック」のC・プラマーをガサツにしたイメージだったけど、今は加えてヒュー・グラントをガサツにしたイメージ。(汗)

「ウィークエンド・ラブ」
>今でも時折DVDチェックしてるのですが、朗報来たらずで首がろくろ首状態。
只、アッケラカン不倫ドタバタコメディだから、もしかして女性陣には不向きな気がしてきました。(冷や汗)
G・ジャクソンはアカデミーの主演女優賞・Gグローブ賞だし、J・シーガルもGグローブ賞獲ってるのに、どうしてなのかなァ。
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