「少年の君」(「少年的你」、2019年、中国・香港)
監督 デレク・ツァン
原作 チオ・ユエシー 「少年的你,如此美麗」
脚本 ラム・ウィンサム リー・ユアン シュー・イーメン
撮影 ユー・ジンピン
音楽 ヴァーカ・ビューラー
出演 チョウ・ドンユイ
イー・ヤンチェンシー
チョウ・イエ
イン・ファン ホアン・ジュエ
ウー・ユエ チャン・ヤオ
2011年、中国の進学校、大学への全国統一試験まであとひと月、そんな時、チェンの同級生フーがいじめによって飛び降り自殺する、イジメグループが次の標的にしたのは友達も居ない孤独な優等生チェンだった、エスカレートしていくイジメ、生命の危険を感じたチェンは以前、偶然に知り合ったストリート・ギャングのチンピラ、シャオベイにボディガードを頼み込む・・・。
予告編 https://eiga.com/movie/94423/video/2/
多分、今年観た作品の一番になると思う、もし、別作品だったらそれだけ今年観た作品のレベルが高いと言う事だから、それはそれで目出度い。
イジメは僕自身、軽くではあったが中学、高校と経験したから重度のトラウマで、イジメシーンのある映画は生理的に避けてきた、本作もオープニングでイジメをテーマにしてると知り嫌悪感から5分でスイッチを切った、でもffilmarksの観るべき作品という声を信じて再びONにしました、物語の進行にイジメシーンがそれ程多くなかった事とテンポの良さで何とか乗り切る事が出来たけど、それだけで僕にとっては希少価値と言える作品です。
中国の学校イジメをテーマにした作品ではあるが、内容は優等生の女子とチンピラ男の純情物語、中国版「泥だらけの純情」、「愛と誠 純情編」と言えなくもない、但し、本作はブルジョアの娘でなく詐欺商売の母親を持つ母子家庭の貧乏人だし過去に恩讐や事件が有る訳でもない、有るのは底辺で生きる者同士のシンパシーだけである。
寄る辺ない者同士がひょんな事から忘れられずに磁石のように引き寄せ合う、よくあるパターンだけど、それが命懸けの関係となるシチュエーションも上手いし、何よりラスト近くの拘置所のアクリル板越し対面、その時の二人の演技が絶品、黒澤監督「天国と地獄」と同じく対面する二人の顔が重なっていきます、「天国と地獄」は社長と死刑囚ながら同じタイプだった事を表しますが、こちらは二人が不即不離とでも言うように離れ難い関係になっている事を示します、そして、この時、初めて二人が人間らしい素直な表情を露わにする。特にチェンは「心と体と」(2017年、ハンガリー)のマーリアと同じく外敵から心を守る為、能面の様に表情を捨てているのですが、この対面の時、一言も発せず変わりゆく表情だけで人間と人間、お互いへの信頼と感情を観客に解らせる、ちょっと必見と言っていいような名演技でここを観るだけでもこの作品を鑑賞する価値があると思います。(演じたチョウ・ドンユイは当時27歳とか、本当の高校生にしか見えない、凄い演技力)
警察にしろ学校にしろ、、中国の官憲、組織がこんなに優しく親身とは思えないけど、今の中国で創ったにしてはギリギリ攻めているのかも、まぁ、当然ながらワイロ取る奴は居ません。(悪いのはイジメる奴と、その両親だけ、学校も警察も懸命に善処してるのだろから悪くないとアピール?)
最近観た中国作品では最高の出来、「いじめ」をテーマにしながら純情でロマンティックとも言える秀作でした。
お日様を キラキラ浴びて 肩並べ
歩く日が来る はばかりもなく
※対面させる事によって自白させる、当時お初だったフィリップ・ノワレ(「ニュー・シネマ・パラダイス」)の悪辣刑事ぶりが印象に残る「甘い告白」(1971年、仏、伊、アルジェリア)でも見られた手法(酌量と結婚がエサだった)、上司との会話を僕は若手刑事の自己嫌悪と受け取ったけど習体制の中国で官憲を悪者に描けるとも思えない、どうなんだろう。(黒澤監督「野良犬」の佐藤刑事と村上刑事の最後の会話に似ていなくもない)
※刑期と就職の計算が合わないのだが、どうして?
※で、シャオベイは今、何をして食ってるのか、仙人の国とはいえアレで飯は食えんだろう。(笑)
※ちょっと前までならジャニーズでリメイク出来るような作品、シャオベイ役の男優は中国のアイドルだったとか。(百恵・友和のようなアイドル映画の要素が全部入っている〜その観点から見れば女の話は実際に似た事件が有ったのだろう、でも男はほぼ創作と思う))
R5.7.23
DVD
監督 デレク・ツァン
原作 チオ・ユエシー 「少年的你,如此美麗」
脚本 ラム・ウィンサム リー・ユアン シュー・イーメン
撮影 ユー・ジンピン
音楽 ヴァーカ・ビューラー
出演 チョウ・ドンユイ
イー・ヤンチェンシー
チョウ・イエ
イン・ファン ホアン・ジュエ
ウー・ユエ チャン・ヤオ
2011年、中国の進学校、大学への全国統一試験まであとひと月、そんな時、チェンの同級生フーがいじめによって飛び降り自殺する、イジメグループが次の標的にしたのは友達も居ない孤独な優等生チェンだった、エスカレートしていくイジメ、生命の危険を感じたチェンは以前、偶然に知り合ったストリート・ギャングのチンピラ、シャオベイにボディガードを頼み込む・・・。
予告編 https://eiga.com/movie/94423/video/2/
多分、今年観た作品の一番になると思う、もし、別作品だったらそれだけ今年観た作品のレベルが高いと言う事だから、それはそれで目出度い。
イジメは僕自身、軽くではあったが中学、高校と経験したから重度のトラウマで、イジメシーンのある映画は生理的に避けてきた、本作もオープニングでイジメをテーマにしてると知り嫌悪感から5分でスイッチを切った、でもffilmarksの観るべき作品という声を信じて再びONにしました、物語の進行にイジメシーンがそれ程多くなかった事とテンポの良さで何とか乗り切る事が出来たけど、それだけで僕にとっては希少価値と言える作品です。
中国の学校イジメをテーマにした作品ではあるが、内容は優等生の女子とチンピラ男の純情物語、中国版「泥だらけの純情」、「愛と誠 純情編」と言えなくもない、但し、本作はブルジョアの娘でなく詐欺商売の母親を持つ母子家庭の貧乏人だし過去に恩讐や事件が有る訳でもない、有るのは底辺で生きる者同士のシンパシーだけである。
寄る辺ない者同士がひょんな事から忘れられずに磁石のように引き寄せ合う、よくあるパターンだけど、それが命懸けの関係となるシチュエーションも上手いし、何よりラスト近くの拘置所のアクリル板越し対面、その時の二人の演技が絶品、黒澤監督「天国と地獄」と同じく対面する二人の顔が重なっていきます、「天国と地獄」は社長と死刑囚ながら同じタイプだった事を表しますが、こちらは二人が不即不離とでも言うように離れ難い関係になっている事を示します、そして、この時、初めて二人が人間らしい素直な表情を露わにする。特にチェンは「心と体と」(2017年、ハンガリー)のマーリアと同じく外敵から心を守る為、能面の様に表情を捨てているのですが、この対面の時、一言も発せず変わりゆく表情だけで人間と人間、お互いへの信頼と感情を観客に解らせる、ちょっと必見と言っていいような名演技でここを観るだけでもこの作品を鑑賞する価値があると思います。(演じたチョウ・ドンユイは当時27歳とか、本当の高校生にしか見えない、凄い演技力)
警察にしろ学校にしろ、、中国の官憲、組織がこんなに優しく親身とは思えないけど、今の中国で創ったにしてはギリギリ攻めているのかも、まぁ、当然ながらワイロ取る奴は居ません。(悪いのはイジメる奴と、その両親だけ、学校も警察も懸命に善処してるのだろから悪くないとアピール?)
最近観た中国作品では最高の出来、「いじめ」をテーマにしながら純情でロマンティックとも言える秀作でした。
お日様を キラキラ浴びて 肩並べ
歩く日が来る はばかりもなく
※対面させる事によって自白させる、当時お初だったフィリップ・ノワレ(「ニュー・シネマ・パラダイス」)の悪辣刑事ぶりが印象に残る「甘い告白」(1971年、仏、伊、アルジェリア)でも見られた手法(酌量と結婚がエサだった)、上司との会話を僕は若手刑事の自己嫌悪と受け取ったけど習体制の中国で官憲を悪者に描けるとも思えない、どうなんだろう。(黒澤監督「野良犬」の佐藤刑事と村上刑事の最後の会話に似ていなくもない)
※刑期と就職の計算が合わないのだが、どうして?
※で、シャオベイは今、何をして食ってるのか、仙人の国とはいえアレで飯は食えんだろう。(笑)
※ちょっと前までならジャニーズでリメイク出来るような作品、シャオベイ役の男優は中国のアイドルだったとか。(百恵・友和のようなアイドル映画の要素が全部入っている〜その観点から見れば女の話は実際に似た事件が有ったのだろう、でも男はほぼ創作と思う))
R5.7.23
DVD
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