セピア色の映画手帳 改め キネマ歌日乗

映画の短い感想に歌を添えて  令和3年より

「バーフバリ 王の凱旋」

2018-04-14 22:59:10 | 映画日記/映画雑記
 「バーフバリ 王の凱旋」(「Baahubali2-The Conclusion」、2017年、印)
   監督 S.S.ラージャマウリ
   脚本 S.S.ラージャマウリ
   撮影 K.K.センディル・クマール
   音楽 M.M.キーラヴァーニ
   出演 プラバース
       アヌシュカ・シェッティ
       ラーナー・ダッグバーティ
       ラムヤ・クリシュナ  サティヤラージ

 予告編 https://www.youtube.com/watch?v=2dgcnzNaB7Q

 結論から先に言いますが、「伝説誕生」と合わせた「バーフバリ神話」はイマイチ僕の感覚と合わない作品でした。
 相変わらずの豪華なセットと大量の人員動員、VFX多用も2作目となると目慣れたものとなり新鮮味も感じられなくなっていました。
 只、この物語は疑似神話だからリアルでなくていい事は理解できます、神話なのにリアルな戦闘では神性が出ませんから。それでも、アクションシーンに於けるスローモーションの多用に継ぐ多用は僕の好みと正反対なのでノレないんです、で、この作品、ノレないと結構辛い。(笑)

 簡単に言うと派手なだけの「伝説誕生」より、先父バーフバリとクンタラ王国王女デーヴァセーナとのロマンスや共同戦、それによる国母シヴァガミとの確執、義弟バラーラデーヴァの陰謀というドラマ性が強い「王の凱旋」の方が面白い。
 戦闘シーンだけを取れば戦術性のある「伝説誕生」の方が、只の物量作戦になってる「王の凱旋」より優れてると思うけど、中身はドラマとユーモアのある「王の凱旋」の方がずっと優れてたと思います。

 そのドラマ性なのですが。
 確執、陰謀の部分、忠臣カッタッパの悲哀はちゃんと描けてると思います。
 でも、ドラマとして前後編を通して見ると、非常にバランスが悪い。
 物語の主役と思ってた前編の息バーフバリが通しで観ると殆ど平幕級に軽い、せいぜい関脇って感じ。
 前編のヒロイン、アヴァンティカに至っては後編になるとほぼその他大勢の一人になってて(台詞あったっけ?)、それなのに、最後、王妃として横に鎮座してる、ちゃんと、その座に座るだけの活躍がないと「何だかな」と思っちゃいます。
 「王の凱旋」の主役は父バーフバリ、即位目前、陰謀により新妻デーヴァセーナと共に失脚、庶民に混じり苦労もするが国民の厚い信頼を失う事はない。
 類まれな戦闘力、深い思慮、国民への慈愛、それがちゃんと体現出来てる、けれど、それをしっかり描写すればする程に息バーフバリが只の筋肉バカに落ちていってしまうという・・・。
 「王の凱旋」のヒロイン、デーヴァセーナも戦闘力だけでなく本質を見抜く知性、気高さ、反骨心が描かれてるから、美貌と戦闘力だけのアヴァンティカが格落ちになっちゃう。
 前編ではライバルとしてほぼ互角に描かれていた義弟バラーラデーヴァも、後編になると只の権力亡者の嫉妬深い小物に堕ちてて玉座を巡るドラマに幅がなくなり面白みに欠けてしまう。
 結局、巨額の製作費を掛けた超大作が陥ち入りやすい大味な巨編というのが、僕の率直な感想。
 でも、世間的には話題になって新しいインド映画ファンを大増産してるから、結果オーライで僕の感性が違っているのでしょう、(汗)
 僕としても前編から1年、後編を観た事でミッション完了、漸く、スッキリ出来ました。

 過去記事「バーフバリ 伝説誕生」

※しかし、カッタッパは儲け役だね、この大作で一番役者としてやりがいの有る役だと思う。
※「バーフバリ 前後編」とは、王の資質全てを備えながらも失脚した類まれなる英雄、父バーフバリの伝説物語。

 H30.3.13
 新宿ピカデリー
 
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「ダンガル きっと、つよく... | トップ | 「ウォーム・ボディーズ」 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画日記/映画雑記」カテゴリの最新記事