飯田経夫 『経済学のおわり』

2020-04-21 11:15:05 | 経済論

 経済学のおわりとは、非常にきついタイトルですが、実際は経済学が終わるわけではなく、経済成長、その中でも高度な成長が終わるということですね。

この著者の飯田経夫氏は、ものがいきわたると人々はものがほしくなくなり、それゆえに購買意欲が鈍化し、経済成長が鈍化する、という趣旨の本を多数書いてきたのです。

ゆえに日本は90年代初めにバブルがはじけてなくても、いつかは必ず昨今のような低度な経済成長率になっていたことは間違いないでしょう。

この本の中で、スミス、マルクス、ケインズといった著名な経済学の学者を引き合いに出して、それぞれの学者の書いた本の意義を現代社会に照射して検討し、この先どうなるのか、日本は、あるいは世界は…という是非を論じるのですが、飯田氏の基本モラルに全面的に依拠すれば、それは悲観的に過ぎるというのがすぐにわかります。

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しかし、この本が書かれてから20年以上が経ってますが、様相は当時とは違っていますから、そんなに悲観的にはなるまいということがいえると思います。

当時はほんの少数の人しか使ってなかったインターネットは、今やだれもが使い、そしてそこでショッピングをして、そこで売ることもしているわけです。

そこで、当時においては、店に出向いて品を探して買う、なかったらほとんどの割合で諦めるほかなかったです。

しかし、今や検索機能を使っていけば、新品の自分の欲しい商品はもちろん、中古の品も入手できるようになったことは間違いないです。

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当時は、自分の欲しい商品は何か。

それはいくらか。

それはどこで入手可能か。

といったことを紙に書いて、しまっておかなくてはならなかったです。

しかも、その紙をなくしたらもうフィニッシュでした(笑)。

しかしネットがあれば、そんなこともないですし、当時は、通販サイトのパンフをずっとしまっておくか、紙やフロッピーディスクなどに書き留めておかなくては2度と注文できなかった地方の名品のお土産も、今は手軽に購入することができるようになりました。

しかし、そのようではないですし、購入の幅も、販売の幅も大きく広がったのは間違いないです。

当時と昨今の、ネットによる成長の幅は、どれだけなのかを研究した本があったら是非とも読みたいですね。

しかし、飯田氏の抱いていた危惧が、そのまま杞憂に終わったとは思えないし、心に留めておかないといけないことは間違いないです。

ネットが発達しても、やはり限界効用の危惧はあるわけです。

21世紀においても同じ人間ですから、買う回数が重なれば、欲しいものがいつしかほしがらなくなるのは目に見えているからです。

やはりそういった面を工面すると、資本主義がこの先に存続できるのかどうか、といった危惧を抱いて本を書いている学者は多くいます。

そういった趣旨の本は当時から書かれていたようですが、当時に書かれていた本をこの本の中で紹介も兼ねています。

しかも、今もそういった趣旨の本も出ています。

それらを読んでいきたいという思いが強くなっているのが正直なところです。

でもこれは楽観視すべきなのか、あるいは悲観視すべきなのか。

私はその両方の精神で行きたいと思います。

楽観的でないと精神を張って生きていくことはできないですし、かといって物事には暗の部分が必ず含まれているわけですから、それを認識していって対策を講じながら先に進まないことには、やはり危険なことに遭遇してしまうからですね。

バブル絶頂期に、儲かっていた企業がどんどん制作の機械を購入していったけれども、「必ずバブルははじける」ということを知識として知っていたゆえに、購入を少し控える、あるいは中止した。

それゆえに、バブルがはじけた後に、損失を被らないですんだ。 というようなシナリオが描けるということですね。

こういった知識を得て行動し、自分の人生を規定していくことが学問の大きな効用であるはずです。

やみくもに、言われたことだけ、自分が生活で得てきた知識だけで、生きていくのは非常に危険なことであることは間違いないです。

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やはり楽観と悲観の両方を携えていくことが重要でしょう。

どちらか一方だけというのは、私はいただけないのです。

飯田氏がこの本をだしてから20年が経ってますが、何とか普通に資本主義は存続していますし、活気は街中には溢れています。

80年代のようなバブル華やかなりしころの栄華は望めないけれども、それなりに良い生活は送れていることは間違いないでしょう。

ただ、ずっと永遠に続く流行というものは、バブル時代であろうと昨今であろうとないわけで、その流行を作り出すことには大いに経済的なポイントになるわけで、その流行を作り出した人に大きな報酬を受け取ってもらうという方式にならないといけないわけにはなっていくのは致し方ないでしょう。

しかしすでに満ち足りた現代人に満たされた昨今においては、やはりその流行のスピードは非常に早くなることは間違いないでしょう。

それを働き手の人たちも認識していかないといけないことは間違いないですね。

そういった事を踏まえると、やはり収入の格差は出てきてしまうのは自然の成り行きでしょうし、たとえ大きな収入を得ても、流行の永遠の存続などありえないのですから、そこは脳内に戒めておきながら、生活設計をしていかなくてはならないでしょう。

ネットで莫大な額を儲けながら、自分のサイトがGoogleから飛ばされて、一気に収入減になり、それまでタワーマンションに住んでいたにもかかわらず、すぐに退去せざるを得なくなった、というようなエピソードは枚挙にいとまがないのです。

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やはり高度成長の存続は難事ですし、それが自然な法則でしょう。

ですからその再来を望むのではなく、自分の人生を見直すことが最大限重要なことでしょうね。

しかし、高度成長がなくては、年金の受給が少額になってしまうのは致しかたないですね。

その現状を、踏まえて自分がどのような経済生活を営んでいくかということを考え、行動していくというスタンスが大事でしょう。

このような本を読む人というのは、単なる時間をつぶすというよりも、問題点を自分で探し、そこでどのようなことを自分がしていくべきかというようなスタンスが大事である、ということもわかっているのだと思いますので、そのような人が多く出てくるのを私は期待しているのです。

その際に、この飯田氏の本が1つの参考になるでしょう。

●興味を抱いた方は以下よりどうぞ!

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経済学の終わり―「豊かさ」のあとに来るもの (PHP新書)

 

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